人は何故、ホタルに懐中電灯を向けるのか?
光害によって、確実にホタルは減少、絶滅する
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今年は、毎年東京で観察を続けている場所を離れ、各地のホタル生息地に出かけているが、行く先々でたいへんがっかりしてしまう。何故なら、ホタル観賞に訪れる人々が懐中電灯を照らすからである。足下だけを照らすのならまだしも、ホタルに向けて照らす人々の何と多いことか!足下を照らすだけでも、ホタルは谷戸の茂みから出てこれず、谷戸全体を悠々と乱舞することができず、暗い茂みの中だけで繁殖行動をせざるを得ない。それにも関わらず、人々はホタルのいる暗い茂みに懐中電灯を向けるのである。ホタルは光るのを止めてしまう。つまり、子孫を残すための繁殖行動ができないのだ。
ひっきりなしに訪れるホタル観賞者。そのほとんどの手に懐中電灯。遠くまで明るく照らすLEDを子供は無邪気に振り回す。ホタルを見に来ているのか、それともホタルを殺したいのか!遠くまで聞こえるように「明かりは足下だけにしてください」と大きな声で叫ぶと、「写真を撮っているおじさんがいるから、明かりを消しなさい。」母親が子供に注意する。そうではない!写真のためではなく、ホタルのために私は叫んだのである。
ホタルは、発光によってのみコミュニケーションを図っている昆虫だ。暗闇があってはじめて会話が成立する。月明かりでさえ嫌うのだ。このままの状態が続けば、確実にホタルは減少する。ホタル保存会がホタル幼虫やカワニナを放流して一時的にホタルが増えたとしても、ホタル観賞のマナーを改善しなければ、確実にホタルは絶滅する。人間は、何て無知で身勝手なのだろうか。私は、懐中電灯は一切使わない。照らす必要もない。日没前からそこにいれば、目が慣れるからだ。
お願いだから、懐中電灯で照らすのは止めてほしい。赤いセロファンもダメだ!これは、私からではなく、ホタルからの切なる願いである。
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