先月、ホソミモリトンボを撮ることができたので、今回はエゾトンボ科の飛翔写真をまとめてみた。日本に分布するエゾトンボ科は以下の4属13種であるが、そのうち小笠原、北海道、南西諸島等に分布する種を除いた3属7種を撮影しており、それぞれ1枚ずつ飛翔の写真を掲載した。尚、撮影済みの種には各々の記事へのリンクを貼っておいたので参照頂きたい。
- ミナミトンボ属(Genus Hemicordulia)
- ミナミトンボ Hemicordulia mindana nipponica Asahina, 1980
- オガサワラトンボ Hemicordulia ogasawarensis. Oguma, 1913
- リュウキュウトンボ Hemicordulia okinawensis Asahina, 1947
- トラフトンボ属(Genus Epitheca)
- トラフトンボ Epitheca marginata (Selys, 1883)
- オオトラフトンボ Epitheca bimaculata sibirica Selys, 1887
- カラカネトンボ属(Genus Cordulia)
- カラカネトンボ Cordulia aenea amurensis Selys, 1887
- エゾトンボ属(Genus Somatochlora)
- タカネトンボ Somatochlora uchidai Forster, 1909
- エゾトンボ Somatochlora viridiaenea (Uhler, 1858)
- ハネビロエゾトンボ Somatochlora clavata Oguma, 1913
- ホソミモリトンボ Somatochlora arctica (Zetterstedt, 1840)
- クモマエゾトンボ Somatochlora alpestris (Selys, 1840)
- コエゾトンボ Somatochlora japonica Matsumura, 1911
- モリトンボ Somatochlora graeseri Selys, 1887
写真は、昆虫少年だった頃からフィルムで撮っており、今でも趣味として続いている。美しい自然の風景やチョウやトンボ、様々な動植物に出会い、それらを一枚に残すことで、実に多くのことを学ぶことができる。私は、ホタルの生息環境や生態について細かく調べ保全活動をしているが、その学びはホタルの保全にも役立っている。ホタルは里山環境の結晶であるから、ホタルについてだけ詳しくてもダメなのである。そんな理屈からあちこち出掛けては、チョウやトンボを追いかけ、各種の生息環境や生態を学ぶとともに、各種の図鑑的写真や生態写真を残したいと思っている。
私はプロの写真家ではないが、アマチュアの誰もが思っている「各種の特徴がわかる美しい図鑑写真」を私も撮りたい。チョウならば翅の裏と表を撮る。開翅写真には苦労するが、花や葉上等にいてさえすれば撮ることはできる。トンボの場合は、アカネ属のように枝などに止まれば、それぞれの種が分かる写真が撮れる。羽化などの生態写真では、被写体がその場から移動しないので、構図もピントも思いのままの場合が多いが、成虫はなかなか枝などの撮影しやすい場所に止まってくれないトンボも多い。そのような種は、止まるまで待つか、あるいは飛んでいる姿を撮るしかないのである。
トンボの仲間では、同じ場所でホバリングしながら静止飛翔する種がいる。ルリボシヤンマもその1種で、体は大きく10秒以上も同じ位置で静止飛翔するから、それなりの結果が残せるが、静止飛翔しなかったり、ホバリングしても数秒だけの種類も多い。エゾトンボ科がそうである。
ヤンマに比べて体が小さく、飛び回りながらあちこちでランダムに静止飛翔する。その瞬間を撮ろうと言うのだから、フィルムだったら何本無駄にするか分からない。ところが、最新のデジタルカメラ(オリンパス)では、AI技術の一種であるディープラーニング技術を用いて開発された「インテリジェント被写体認識AF」に「鳥認識」を追加することで、カメラが自動で鳥を検出し、鳥の瞳に対して優先的にフォーカス・追尾するため、撮りたい瞬間を逃さず、構図に集中して撮影することができるという。さらに、この鳥認識AFはトンボも認識するというのである。技術の進歩は素晴らしいが、新たにカメラとレンズを購入する余裕はない。
私は、自然風景は2009年に購入した Canon EOS 5D Mark Ⅱ を使用し、昆虫は2010年に購入した Canon EOS 7D を未だに使っている。レンズも新しいものではない。この記事で掲載している写真のほとんどは、中古で購入した Tokina AT-X 304AF 300mm F4 というレンズで撮っており、オートフォーカスは遅く、勿論、手振れ補正などない。機能では最新機種に太刀打ちできないが、時間をかければ何とか図鑑的な飛翔写真を写せるようになってきた。ただし、トラフトンボ属を除くエゾトンボ科の同定は、尾部付属器の形状が重要になり、その尾部付属器の形状までを飛翔写真1枚に写すことは種によっては不可能である。それは、最新機種でも同じであろう。
飛び回るだけでまったく静止飛翔しないトンボに対しては、流し撮りのテクニックが必要で、昨年、沖縄においてカラスヤンマを撮った時は、ピンボケでブレブレの写真しか撮れなかった。こんな出会いのチャンスが少ない時でも、最新機種ならば良い結果を残せるのだから羨ましいが、今後も古い機種で頑張りたいと思う。
今回は、エゾトンボ科の飛翔写真をまとめたが、「アカネ属の連結飛翔と産卵」もブログに掲載しているので、ご覧頂ければ幸いである。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。
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