ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

ヤマトンボ科

2023-09-11 09:46:30 | トンボ/ヤマトンボ科

 ヤマトンボ科は、かつてエゾトンボ科(Family Corduliidae)に属するヤマトンボ亜科(Subfamily Macromiinae)に分類されていたが、現在では、ヤマトンボ科として分類され、国内には以下の2属6種が生息している。尚、以前は北海道のみに分布する種をエゾコヤマトンボとし、コヤマトンボの北海道亜種としていたが、DNA鑑定の結果、コヤマトンボとの違いが見受けられないとのことからコヤマトンボとなっている。
 ヤマトンボ科では、オオヤマトンボとコヤマトンボの2種を撮影しており、ブログ(PartⅠ)ではエゾトンボ科として紹介しているが、本ブログ(PartⅡ)では取り上げていなかったので、今回改めてヤマトンボ科として掲載した。

ヤマトンボ科 (Family Petaluridae)
  1. オオヤマトンボ属(Genus Epophthalmia
    • オオヤマトンボ Epophthalmia elegans elegans (Brauer, 1865)
  2. コヤマトンボ属(Genus Macromia
    • キイロヤマトンボ Macromia daimoji Okumura, 1949
    • ヒナヤマトンボ Macromia urania Ris, 1916
    • コヤマトンボ Macromia amphigena amphigena Selys, 1871
    • オキナワコヤマトンボ Macromia kubokaiya Asahina, 1964
    • タイワンコヤマトンボ Macromia clio Ris, 1916

 掲載した2種は、どちらも頭部と胸部が金属光沢のある青緑色で、黄色の条斑をもつ美しいトンボである。よく似ているが、額面の黄色条2本がオオヤマトンボで1本がコヤマトンボである。また、生息環境も異なっている。
 オオヤマトンボは北海道から南西諸島まで分布し、平地や丘陵地、低山地の比較的開けた止水域(池や湖)に生息している。都心にある公園の池などでも稀に見ることがある。一見オニヤンマと見間違えるほど大きく、池の周囲を高速で巡回するように飛んでいる様子が観察できる。一方、コヤマトンボは北海道から九州まで分布し、平地や丘陵地、低山地の河川中流域に生息している。ただし、止水域(池沼)で発生する事例もある。流れの一定の範囲を行ったり来たりパトロール飛翔する様子がよく見られる。
 写真は、いずれも10年以上も前に撮影したもので、オオヤマトンボの飛翔写真はピントが甘い荒れた画像である。草木に静止した場面は偶然であり、コヤマトンボは、朝方に羽化した個体が、草に止まっていたと思われる。いずれ、どちらの種も飛翔写真はリベンジしたいと思っている。

 今年は、チョウといえば5月にギフチョウのイエローバンドを撮影したのみで、他にはまったく撮っていない。7月の沖縄では、コノハチョウ、フタオチョウ、イワカワシジミ、リュウキュウウラボシシジミの撮影を計画したが、リュウキュウウラボシシジミを確認しただけで、撮ることはできなかった。季節はすでに9月。今月は、ミヤマシジミやシルビアシジミ、晩秋にはルーミスシジミが見られるが、同じ写真ばかりになりそうなので、今年は計画していない。運が良ければ、かつて宮古島で撮ったアオタテハモドキを東京都内で撮ってみたいとは思う。
 チョウの撮影は、まだ1種だけだが、今年はトンボとの出会いが多かった。沖縄での成果が主であるが、こうなればトンボ類で攻めていくしかないだろう。今月下旬以降には、まだ綺麗に撮れていないマダラナニワトンボとキトンボの産卵の様子を観察し写真に収めたいと思っている。また、来年は未撮影のキイロヤマトンボを撮りたいと思っている。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

オオヤマトンボの写真
オオヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 1/60秒 ISO 400(撮影地:長野県 2012.08.25 13:58)
オオヤマトンボの写真
オオヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/60秒 ISO 400(撮影地:長野県 2012.08.25 13:55)
オオヤマトンボの写真
オオヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 1600(撮影地:埼玉県 2011.06.19 8:31)
オオヤマトンボの写真
オオヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 3200(撮影地:栃木県 2011.07.09 14:08)
オオヤマトンボ(羽化殻)の写真
オオヤマトンボの羽化殻
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 3200(撮影地:栃木県 2011.07.09 13:34)
コヤマトンボの写真
コヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 250(撮影地:山梨県 2012.06.23 13:30)
コヤマトンボの写真
コヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 250(撮影地:山梨県 2012.06.23 13:29)
コヤマトンボの写真
コヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 2500(撮影地:福島県 2012.06.30 10:38)
コヤマトンボの写真
コヤマトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 2500(撮影地:福島県 2012.06.30 10:38)
コヤマトンボの写真
コヤマトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 500 -1/3EV(撮影地:岐阜県 2024.05.10 9:19)
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エゾトンボ科の飛翔

2023-09-08 17:29:19 | トンボ/エゾトンボ科

 先月、ホソミモリトンボを撮ることができたので、今回はエゾトンボ科の飛翔写真をまとめてみた。日本に分布するエゾトンボ科は以下の4属13種であるが、そのうち小笠原、北海道、南西諸島等に分布する種を除いた3属7種を撮影しており、それぞれ1枚ずつ飛翔の写真を掲載した。尚、撮影済みの種には各々の記事へのリンクを貼っておいたので参照頂きたい。

  1. ミナミトンボ属(Genus Hemicordulia
    • ミナミトンボ Hemicordulia mindana nipponica Asahina, 1980
    • オガサワラトンボ Hemicordulia ogasawarensis. Oguma, 1913
    • リュウキュウトンボ Hemicordulia okinawensis Asahina, 1947
  2. トラフトンボ属(Genus Epitheca
  3. カラカネトンボ属(Genus Cordulia
  4. エゾトンボ属(Genus Somatochlora

 写真は、昆虫少年だった頃からフィルムで撮っており、今でも趣味として続いている。美しい自然の風景やチョウやトンボ、様々な動植物に出会い、それらを一枚に残すことで、実に多くのことを学ぶことができる。私は、ホタルの生息環境や生態について細かく調べ保全活動をしているが、その学びはホタルの保全にも役立っている。ホタルは里山環境の結晶であるから、ホタルについてだけ詳しくてもダメなのである。そんな理屈からあちこち出掛けては、チョウやトンボを追いかけ、各種の生息環境や生態を学ぶとともに、各種の図鑑的写真や生態写真を残したいと思っている。
 私はプロの写真家ではないが、アマチュアの誰もが思っている「各種の特徴がわかる美しい図鑑写真」を私も撮りたい。チョウならば翅の裏と表を撮る。開翅写真には苦労するが、花や葉上等にいてさえすれば撮ることはできる。トンボの場合は、アカネ属のように枝などに止まれば、それぞれの種が分かる写真が撮れる。羽化などの生態写真では、被写体がその場から移動しないので、構図もピントも思いのままの場合が多いが、成虫はなかなか枝などの撮影しやすい場所に止まってくれないトンボも多い。そのような種は、止まるまで待つか、あるいは飛んでいる姿を撮るしかないのである。

 トンボの仲間では、同じ場所でホバリングしながら静止飛翔する種がいる。ルリボシヤンマもその1種で、体は大きく10秒以上も同じ位置で静止飛翔するから、それなりの結果が残せるが、静止飛翔しなかったり、ホバリングしても数秒だけの種類も多い。エゾトンボ科がそうである。
 ヤンマに比べて体が小さく、飛び回りながらあちこちでランダムに静止飛翔する。その瞬間を撮ろうと言うのだから、フィルムだったら何本無駄にするか分からない。ところが、最新のデジタルカメラ(オリンパス)では、AI技術の一種であるディープラーニング技術を用いて開発された「インテリジェント被写体認識AF」に「鳥認識」を追加することで、カメラが自動で鳥を検出し、鳥の瞳に対して優先的にフォーカス・追尾するため、撮りたい瞬間を逃さず、構図に集中して撮影することができるという。さらに、この鳥認識AFはトンボも認識するというのである。技術の進歩は素晴らしいが、新たにカメラとレンズを購入する余裕はない。

 私は、自然風景は2009年に購入した Canon EOS 5D Mark Ⅱ を使用し、昆虫は2010年に購入した Canon EOS 7D を未だに使っている。レンズも新しいものではない。この記事で掲載している写真のほとんどは、中古で購入した Tokina AT-X 304AF 300mm F4 というレンズで撮っており、オートフォーカスは遅く、勿論、手振れ補正などない。機能では最新機種に太刀打ちできないが、時間をかければ何とか図鑑的な飛翔写真を写せるようになってきた。ただし、トラフトンボ属を除くエゾトンボ科の同定は、尾部付属器の形状が重要になり、その尾部付属器の形状までを飛翔写真1枚に写すことは種によっては不可能である。それは、最新機種でも同じであろう。
 飛び回るだけでまったく静止飛翔しないトンボに対しては、流し撮りのテクニックが必要で、昨年、沖縄においてカラスヤンマを撮った時は、ピンボケでブレブレの写真しか撮れなかった。こんな出会いのチャンスが少ない時でも、最新機種ならば良い結果を残せるのだから羨ましいが、今後も古い機種で頑張りたいと思う。
 今回は、エゾトンボ科の飛翔写真をまとめたが、「アカネ属の連結飛翔と産卵」もブログに掲載しているので、ご覧頂ければ幸いである。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

トラフトンボの写真
トラフトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 200(撮影地:千葉県 2013.5.05 13:58)
オオトラフトンボの写真
オオトラフトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 2500 +1/3EV(撮影地:新潟県 2017.5.27 12:16)
カラカネトンボの写真
カラカネトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 800(撮影地:新潟県 2017.5.20 6:11)
タカネトンボの写真
タカネトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 500 +2/3EV(撮影地:東京都 2010.08.28)
エゾトンボの写真
エゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F8.0 1/1000秒 ISO 1250(撮影地:長野県 2020.9.12 9:53)
ハネビロエゾトンボの写真
ハネビロエゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Nissin i40 / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 100 +1EV(撮影地:栃木県 2022.8.15 7:29)
ホソミモリトンボの写真
ホソミモリトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 200(撮影地:本州中部 2023.08.27 12:46)
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