ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

痛恨の大失敗

2022-11-28 11:50:17 | 風景写真/星

 10月14日以来の写真撮影。場所は、前回の「鏡池の紅葉」を撮った同じ鏡池である。結果から言うと痛恨の大失敗であった。ピントリングが回らないようにテープで止めたつもりが、レンズヒーターを巻いたときに少しだけ動いてしまいピンボケ写真の量産。撮影時にカメラ背面のモニターでは気付かなかった。
 以前、ヒメボタルの飛翔を撮影した時、レンズキャップを外し忘れて撮った200カットすべてが真っ黒ということがあったが、今回もタイムラプス用に写した200カットがすべてピンボケ。見るに堪えない写真だが、失敗の記録として以下に2枚だけサイズを小さくしたものを掲載しておきたい。

 鏡池の星空は、紅葉を撮った時からチャンスを伺っていた。月明かりがなく、快晴無風の夜という条件で、勿論、私の休日とも合致しなければならない。その時がようやく11月27日の夜に叶いそうであったため、自宅を午前11時に出発して向かった。東京の天候は朝から晴れで、途中も気持ちの良い天気であった。ただし風が強いのが気になったが、現地の夜は快晴無風という予報を信じて車を走らせた。
 長野市内に入ると、戸隠・妙高方面に黒い雲がかかっていた。上信越道の信濃町ICで降り長野県道36号信濃信州新線で戸隠方面に向かうと、小雨で霧も立ち込めていた。鏡池の駐車場に16時に到着したが、やはり曇。1時間待ってから今後の予定を考えることにした。
 17時になっても曇っていたため、霧ヶ峰の星空に変更しようと10分ほど車を走らせると上空は快晴。妙高・戸隠連山の上だけに雲がかかっているのである。車を止めて高台から見ていると、戸隠連山の一部が見え隠れしている。折角来たのだから、ここはGPVなどの天気予報に賭けようと戻ることにした。
 鏡池の駐車場で待機していると、18時頃には戸隠連山のすべてが見え、星も輝き始めていた。19時から池畔で準備を開始。同じく星空を撮影しようと2名がやってきたが、カメラマンはそれ以上増えることはなかった。鏡池は撮影場所の位置関係から真北にカメラを向けることになるので、北極星を中心にした日周運動と冬の天の川を収められるようセットして、後は車に戻って待機していた。
 21時近くになったので、カメラを見に池に行くと、三脚は霜が付いて白くなっていた。レンズヒーターを巻いていなければ、レンズが曇っていただろう。レンズが曇って写真が白くなってしまった失敗もあったことを思い出す。空を見ると薄雲が広がり始めていた。予報では夜半から曇で朝も曇り。朝まで快晴ならば放射冷却で霧氷も付くのだろうが、今回は期待できないため、21時で引き上げることにした。

 今回の大失敗は、二度と繰り返さないようにしなければならないが、もしピンボケではない綺麗な写真が撮れていたとしても、紅葉の時のインパクトはないように思う。また、「乗鞍高原まいめの池より天の川」比べても、ここの星空を絵にするのは難しいかもしれない。難しいからこそ、インターネット上でも良い写真を見ることが稀である。それならばと再度挑戦したいところだが、鏡池までの道路がまもなく冬期通行止めになるので、4月下旬以降に考えたい。

鏡池の星空の写真
鏡池の星空
Canon 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2500(撮影地:長野県 2022.11.27 20:53)
鏡池の星空の写真
鏡池の星空
Canon 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2500(撮影地:長野県 2022.11.27 20:57)

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ムラサキツバメ

2022-11-25 16:20:06 | チョウ/シジミチョウ科

 ムラサキツバメ Narathura bazalus turbata (Butler, 1881) は、ジミチョウ科(Family Lycaenidae)ムラサキシジミ属(Genus Narathura)で、世界におよそ200種からなるグループの中の1種である。分類は未だに定まっていない。(シノニム:Arhopala bazalus)
 オスの翅の表側はほぼ全体が深い紫色で、メスでは黒褐色の地色の中の狭い部分が明るい紫色に輝く。近縁種のムラサキシジミ Narathura japonica japonica (Murray 1875) (参考までに以下に写真を掲載)とは、後翅に尾状突起があることで容易に区別できる。成虫は5月下旬から6月頃から現れ、3~4世代を繰り返しながら11月頃まで見られる。
 ムラサキツバメは、成虫で集団越冬することでも知られている。何頭ものムラサキツバメが葉の上に集まり越冬するのだが、寒さが厳しくなると散らばって個々に越冬するようである。千葉県の生息地(都市公園)では、毎年、葉の上に数匹が集まって越冬する姿を観察することができる。実験的に木を揺らしてみると、それぞれ散り散りに飛んでいくが、数分するとまた同じ木のほとんど同じ葉の上に集まってくる。
 公園には、個々の木の名前の札が付いている。ムラサキツバメが越冬に選んだ木は「カクレミノ」。ウコギ科の常緑亜高木で、着ると体が見えなくなるという想像上の宝物の一つである「隠れ蓑」に葉の形が似ていることが名前の由来らしい。ムラサキツバメが、カクレミノで身を隠して越冬するのも面白い。

 前記事で地球温暖化について記したが、ムラサキツバメも温暖化と関係が深い。もともと近畿地方以西の本州、四国、九州に分布していたが、1990年代後半以降は東海、関東地方でも普通に見られるようになった。
 チョウの分布北上は、気候の温暖化を介さずともチョウ自らが耐寒性を増大させたり休眠期間を長くさせる等の適応を通じて北上することもできるが、埼玉県環境科学国際センターの嶋田知英氏の研究によれば、ムラサキツバメの関東地方へ侵入した個体の過冷却点(体組織の凍結開始温度)は意外に高く、本種が耐寒性を増大して北に分布を拡大した可能性は低いという。つまり、温暖化によって生存可能な温度帯の地域が北上しているということである。
 北陸や栃木県の一部でも成虫が確認されているが、越冬はできずに、発生期間中に飛来したものと考えられている。また、ムラサキツバメは、温暖化の他に食草であるマテバシイが街路樹や庭木として盛んに植樹されていることが関係しているとも言われている。
 南方系のチョウ類がその分布域を北方に広げていく現象は、ムラサキツバメ以外にもナガサキアゲハ、モンキアゲハ、ツマグロヒョウモン、クロコノマチョウなどが広く知られており、いずれも地球温暖化が影響している。一方、高山蝶は、温暖化により生息できる標高がどんどんと高くなり、本州のクモマベニヒカゲにおいては、昨今2,500mを越えないとなかなか見られない状況である。

参考文献/北原正彦(2006)チョウの分布域北上現象と温暖化の関係,地球環境研究センターニュース Vol.17 No.9

関連ブログ記事/チョウの北上

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ムラサキツバメの写真
ムラサキツバメの越冬
Canon 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 3200(撮影地:千葉県 2010.11.13 11:03)
ムラサキツバメの写真
ムラサキツバメの越冬
Canon 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 3200(撮影地:千葉県 2010.11.13 11:11)
ムラサキツバメの写真
ムラサキツバメのオス
Canon 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 -1/3EV(撮影地:千葉県 2010.12.11 10:15)
ムラサキツバメの写真
ムラサキツバメのオス
Canon 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 320 -1/3EV(撮影地:千葉県 2010.12.11 10:37)
ムラサキツバメの写真
ムラサキツバメのメス
Canon 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250 -1/3EV(撮影地:千葉県 2010.12.11 10:39)
ムラサキシジミの写真
ムラサキシジミのオス
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 1000(撮影地:埼玉県 2017.6.11 10:31)
ムラサキシジミの写真
ムラサキシジミのメス
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 500 -2/3EV(撮影地:東京都 2017.8.19 12:23)

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温暖化で消える風景

2022-11-23 14:35:35 | 風景写真/霧氷

 11月23日勤労感謝の日。今年最後の祭日は冷たい雨である。かつて、この時期には信州・美ヶ原高原によく出掛けていた。ビーナスラインが冬期通行止めになる前に霧氷を撮るためである。霧氷が付くには様々な自然の条件が重なる必要があり、その条件と私の休日が合致しなければ撮影は叶わない。今年は11月16日と19日に薄っすらと霧氷が付いたようだが、肝心の私の休日とは合わなかった。
 美ヶ原高原では、2011年、2012年、2013年、そして2017年に霧氷を撮影しているが、例年11月後半から見られた霧氷が年々見られなくなってきたように思う。前述のように様々な条件の合致が必要だが、条件の1つが気温である。氷点下になることが減ってきているのである。気象庁が発表している過去の気象データから美ヶ原高原の11月における「マイナス5℃以下の日数」「平均気温の推移」「最低気温の推移」をグラフ化してみた。グラフは、クリックすると拡大表示される。
 以下3つのグラフから共通して言えることは、年々暖かくなっているということである。これは、温暖化の影響と言って良いのではないだろうか。

マイナス5℃以下の日数のグラフ 平均気温の推移のグラフ 最低気温の推移のグラフ

 干ばつによる森林火災や豪雨による洪水と土石流。近年こうした観測記録を更新する異常気象が世界中で相次いでいる。背景にあると指摘されるのが気候変動である。 ここ数十年の気候変動は、氷河の融解や海面水位の変化、洪水や干ばつなどの影響、陸上や海の生態系への影響、食料生産や健康など人間への影響も観測され始めており、その気候変動の原因は地球温暖化と言われている。様々な災害には社会的な要因や偶然性も大きく関わっているが、イベント・アトリビューション(Event Attribution)という新しい技術によって、地球温暖化と異常気象や災害の因果関係が具体的に示されつつある。
 大気中のCO2濃度は、産業革命前に比べて40%も増加し、陸域と海上を合わせた世界平均地上気温は、1880年から2012年の期間に0.85℃上昇している。有効な温暖化対策をとらなかった場合、21世紀末の世界の平均気温は、2.6~4.8℃上昇すると予測されている。東京では、現在の真夏日は年間約46日だが、21世紀末には年間約103日、1年の3割近くが真夏日となると言われている。また平均海面水位は、最大82cm上昇する可能性が高いと予測されており、標高の最も高いところでも海抜4.6メートルしかない南太平洋の島国ツバルは、海面が上昇した場合、水没する危険性があると言われている。
 今年も11月6日からエジプトで、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が開催された。COPは「Conference of the Parties」の略で今回が27回目である。温暖化対策の国際ルールによって、世界は温室効果ガスの排出を実質ゼロにする“脱炭素”へ動きだし、社会は構造変革が迫られている。ホスト国のエジプトのシシ大統領は「将来世代のことを考えると、躊躇している暇はない」と具体的行動を呼び掛ける。温暖化対策は待ったなしの状況である。

 美ヶ原高原も12月になれば気温が下がり雪も降り、霧氷が付く条件も増える。麓から歩いて登るか、王ヶ頭ホテルに宿泊し送迎してもらえば撮影も叶うが、11月ならではの晩秋と初冬における霧氷光景を撮ることは出来ない。
 以下に掲載した写真は、美ヶ原高原で11月に撮影した霧氷の風景である。温暖化で消える風景ならば私自身の行動も原因の1つである。撮影に出掛ける時も、日々の生活の中でも改めるべきことが沢山ある。温暖化は、災害という大きなインパクトで我々に言ってみれば仕返しをしているが、温暖化で消える風景も地球からの叫びと捉えるべきである。11月の霧氷が貴重な記録とならないよう温暖化防止の為に行動しようと思う。

参考

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

美ヶ原高原の霧氷の写真
美ヶ原高原の霧氷
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/40秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県/美ヶ原高原 2012.11.25 7:14)
美ヶ原高原の霧氷の写真
美ヶ原高原の霧氷
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 4秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県/美ヶ原高原 2011.11.23 6:41)
美ヶ原高原の霧氷の写真
美ヶ原高原の霧氷
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 0.8秒 ISO 100 +1 2/3EV(撮影地:長野県/美ヶ原高原 2012.11.18 7:58)
美ヶ原高原の霧氷の写真
美ヶ原高原の霧氷
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.4秒 ISO 100(撮影地:長野県/美ヶ原高原 2011.11.23 6:49)
美ヶ原高原の霧氷の写真
美ヶ原高原の霧氷
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県/美ヶ原高原 2017.11.19 7:29)
美ヶ原高原の霧氷の写真
美ヶ原高原の霧氷
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県/美ヶ原高原 2017.11.19 7:59)
美ヶ原高原の霧氷の写真
美ヶ原高原の霧氷
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県/美ヶ原高原 2017.11.19 8:16)
美ヶ原高原の雪景色の写真
美ヶ原高原の雪景色
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 20秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:長野県/美ヶ原高原 2017.11.19 6:03)

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トキナー AT-X 300mm F4

2022-11-14 15:12:33 | 撮影済み昆虫リストと撮影機材

 トキナー AT-X 300mm F4とは、望遠レンズのことである。

 紅葉のシーズンでありながら、10月14日に「鏡池の紅葉」を撮って以来、まったく写真を撮っていない。先日に見られた442年ぶりという皆既月食と惑星食(天王星食)が重なった天体ショーは仕事中で肉眼で見ただけ。この週末は愛車の定期点検とタイヤ交換。先週は高知県で観察会の指導。その前は義父の葬儀。祭日は出勤。それ以前は天候とのタイミングが悪く等々・・・紅葉は、まだ千葉県の南房総等ではこれからなので ルーミスシジミの撮影と併せて計画したいと思っている。
 そんなわけで新たな写真を紹介することができないことから、今回はトキナー AT-X 300mm F4というレンズの話を写真と共に記したいと思う。

 私の昆虫写真撮影では、TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 と TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO を愛用しており、この2本でほとんどの昆虫は撮れるのだが、かつて、どうしても写せないものがいた。キリシマミドリシジミである。
 関東におけるキリシマミドリシジミの生息地はアカガシの大木が茂る谷で、一番近くの葉上に止まっても距離は5m。多くは20m先である。500円玉ほどの大きさしかないチョウを大きく、しかも鮮明に撮るには、所持しているレンズでは無理であった。しかし300mmを越える新品の望遠レンズを購入するとなると、ズームで数十万円~百数十万円、単焦点ではもっと高額である。使用頻度を考えて中古レンズを探すことにした。2013年のことである。
 新宿の中古レンズ専門店に行って見ると、Canonの棚にトキナー AT-X 300mm F4という単焦点の望遠レンズを見つけた。1998年に生産が終了したレンズで、価格は21,000円。かなりのお手頃価格である。このレンズに既に持っていたケンコー・トキナーのコンバージョン・レンズ/デジタルテレプラスPRO300 2X DGX を付ければ600mmレンズになる。CanonのEOS 7D はAPS-Cサイズだから、35mm換算で960mmの超望遠レンズになるのである。テレプラスは、300mmレンズを基準に設計された望遠専用であり、同じメーカー同士の組合せならば問題はないだろう。迷うことなくトキナー AT-X 300mm F4を買ったのであった。

 さて、写りはどうであろうか?2013年8月。早速、キリシマミドリシジミの撮影に向かった。300mm F4としては最小クラスで1,140gしかないが、オートフォーカスは遅く、手振れ補正もない。コンバージョン・レンズを取り付けた960mmの超望遠では、三脚に固定しモニターで拡大してピントはマニュアルで合わせ、シャッターはレリーズで切らねばカメラブレを起こしてしまう。
 結果は、以下に掲載した1枚目である。目線より少し高い位置に止まっているため、キリシマミドリシジミの美しい翅表は撮れていないが、ここまでは撮ることが出来た。また、コンバージョン・レンズを付けたことで、やはり撮影難易度が高かったウラクロシジミの開翅も撮影が可能となった。(写真2)
 昨今では、トンボ類を撮る時にコンバージョン・レンズを付けない単体での使用頻度が高くなっている。どのレンズを使うのかは、撮りたい絵とその時の状況によって決まる。生息する周辺環境も一緒に撮りたい時は、所持している広角レンズやマクロズームレンズが役に立つ。しかし被写体までの距離が遠く、更には被写体を大きく写したい時などにトキナー AT-X 300mm F4を使えば、遠くから環境を荒らすことなく昆虫の生きる姿を撮ることができる。撮影方法は、勿論三脚には必須アイテム。被写体をファインダーで捉えながらマニュアルでピントを合わせてシャッターを切るだけである。
 単焦点ならではの解像度と望遠レンズ特有である背景のボケが得られ、飛翔中のトンボでも、頭の先から尾端までクリアで、体毛も鮮明に写すことができる。勿論、画質や色合いなどに賛否両論あるだろうが、安い中古のレンズでここまで写れば申し分ないと思っている。私的には「神レンズ」である。
 以下には、これまでにトキナー AT-X 300mm F4で撮影した中から11枚を選んで掲載した。次の休日こそ、撮影に出掛けたいと思っている。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

キリシマミドリシジミの写真
写真1.キリシマミドリシジミ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS PRO300 2X DGX / 絞り優先AE F10 1/800秒 ISO 1000 -2/3EV(撮影地:静岡県 2013.8.03 10:02)
ウラクロシジミの写真
写真2.ウラクロシジミ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS PRO300 2X DGX / 絞り優先AE F9.0 1/1000秒 ISO 2500(撮影地:東京都 2017.6.17 15:44)
ヒサマツミドリシジミの写真
写真3.ヒサマツミドリシジミ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 3200(撮影地:富山県 2021.6.11 11:32)
スナアカネの写真
写真4.スナアカネ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20 13:01)
マダラヤンマの写真
写真5.マダラヤンマ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 160(撮影地:長野県 2019.9.22 8:58)
マダラヤンマの写真
写真6.マダラヤンマ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 400 +1EV(撮影地:長野県 2019.9.22 8:39)
ルリボシヤンマの写真
写真7.ルリボシヤンマ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F4.0 1/500秒 ISO 800 +2/3EV(撮影地:東京都 2014.9.15 8:41)
オオキトンボの写真
写真8.オオキトンボ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 640 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:40)
マダラナニワトンボの写真
写真9.マダラナニワトンボ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 640 +2/3EV(撮影地:新潟県 2017.10.08 10:53)
カトリヤンマの写真
写真10.カトリヤンマ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 800 +1EV(撮影地:神奈川県 2016.10.23 13:06)
ハネビロエゾトンボの写真
写真11.ハネビロエゾトンボ
Canon 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 100 +1EV ストロボ発光(撮影地:栃木県 2022.8.15 7:29)
Tokina AT-X 304AF 300mm F4の写真
写真12.トキナー AT-X 300mm F4

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ヒメボタル幼虫観察会

2022-11-07 16:24:10 | ホタルに関する話題

 今年の6月にヒメボタルの保全指導で訪れた高知県いの町波川地区の木漏れ日公園に、再度、国土交通省 四国地方整備局 高知河川国道事務所から依頼があり、今回はヒメボタルの幼虫の生息場所調査と観察会のため訪れてきた。
 2週間前に公園内の13カ所に10個ずつのトラップを仕掛けておいてもらい、午前中にすべてを回収して中身を確認し、夕方から参加者とともに大鍋をご馳走になり、陽が沈んでから林内を探索した。
 残念ながらトラップにヒメボタルの幼虫はかかっておらず、また夜間においても幼虫の発光を確認することはできなかった。そのかわり、オオマドボタルの幼虫数頭が発光している様子を観察することができ、ウスカワマイマイを食べている様子も見ることが出来た。多くのお子さんを含む参加者全員が、ホタルの幼虫の発光を初めて見たとのことで喜んで頂き、無事に終了した。
 目的は、公園の整備とヒメボタルの保全であり、来年も引き続き調査を行いながら整備保全計画を進める予定である。

 高知へは、11月6日(日)羽田7:35発JAL491便、高知龍馬空港9:00着で向かい、その夜は高知グリーンホテルに宿泊。翌7日(月)に高知龍馬空港11:45発JAL494便、羽田13:00着で帰路に就いた。6日は、駐車場が空いていないといけないという不安から朝6時に羽田に着いたが、駐車場の空はかなり多かった。しかしながら、空港の出発ロビーは人で溢れていた。こんなに混雑している羽田は3年ぶりである。
 以下には6日の昼間の空き時間に高知河川国道事務所の方々とともに訪れた仁淀川の名越屋沈下橋とにこ淵の写真も掲載した。にこ淵では「仁淀ブルー」と呼ばれる美しい水の色を見ることが出来た。写真はすべてスマートフォンでの撮影である。昼食は、いの町のトンカツ専門店「とんかつ芳松」にて四万十とんかつ定食160gを頂いた。ちなみにここのカツサンドは、「高知家のうまいもの大賞」を受賞している。

関連投稿記事「高知県いの町のヒメボタル保全

ヒメボタル幼虫観察会
ヒメボタル幼虫観察会
ヒメボタルの生息環境の写真
ヒメボタルの生息環境
大鍋を囲んでの写真
観察会参加者と大鍋を囲んで
オオマドボタルの幼虫の写真
オオマドボタルの幼虫
名越屋沈下橋の写真
名越屋沈下橋
にこ淵の写真
にこ淵(仁淀ブルー)

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