ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

涼を求めて滝巡り③白糸の滝

2023-07-28 16:33:34 | 風景写真/滝

 白糸の滝は、静岡県富士宮市にある滝で、日本の滝百選にも選ばれている他、日本三大名瀑の1つと呼ばれることもある。また、国の名勝、天然記念物。「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産として世界文化遺産に登録されている。なお、名勝、天然記念物としての指定名称及び世界文化遺産・構成資産一覧では「白糸ノ滝」と表記されている。
 高さ20m、幅150mの湾曲した絶壁から、大小数百の滝が流れ落ちているが、上部の水を通す地層である新富士火山層と下部の水を通さない地層である古富士火山層の境から出ている。本滝の一部を除いてそのほとんどが富士山の湧水であり、その姿は白糸の名にふさわしく、幾筋もの絹糸をさらしているようである。ちなみに、白糸の滝という名の滝は、全国18の道県に22ある。

 さて、涼を求めて滝巡りの最後は白糸の滝である。当初、「鐘山の滝」と「陣馬の滝」の2カ所しか計画していなかったが、「陣馬の滝」から15分ほどで行ける距離であり、時間も早いことから観光客はまだ少ないだろうとの予測で、急遽、行ってみることにした。
 白糸の滝は、過去には昼間に2回、夜中に1度訪れており、夜では、星空と撮影し「白糸の滝(星景)」として掲載したが、昼間は観光で訪れていたため、写真はほとんど撮っていなかったこともあり、滝巡りの締めくくりとして臨んだ。
 500円を払って専用駐車場に止め、10分ほど歩いて滝へ向かう。観光客は、まだ少ないが外国人が目立っていた。階段を下りて撮影開始である。こうした観光地の光景では、自分の感性が問われる。何を感じ、何を表現したいのか、自問自答と自然との対峙を続けながら。結局は定番的な写真しか撮ることができなかった。
 8時半過ぎに撮影を終え、駐車場に戻ると、汗だく。涼を求めたつもりであったが、暑さしか印象に残らなかった。撮影した写真から涼を感じていただけるだろうか・・・

 この日は、午前3時に自宅を出発し、滝を三カ所巡り終えたのが午前9時前。夜にヒメボタルの観察と撮影を予定していたので、およそ10時間近く時間がある。近くの湿原に行ってみたが、チョウもトンボの姿は少なく撮影対象にはならない。ヤマキチョウやキリシマミドリシジミの撮影も考えたが、結局は道の駅などで時間を潰し、17時からヒメボタルの生息地で待機したが、何と、残念ながら、まさかのゼロ。1頭も光ることがなかった。早い時期から猛暑続きの今年は、例年より早い発生だったようである。
 現地を20時半に引き上げ、中央道で帰路に就いたが、日曜の夜で空いているだろうと思ったのは束の間、事故と自然渋滞で小仏トンネルまで17kmの渋滞。充実感のないまま、自宅に22時半に到着した。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。 また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

白糸の滝の写真
白糸の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/5秒 ISO 50 -1 1/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2023.07.23 8:34)
白糸の滝の写真
白糸の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 0.4秒 ISO 50 -1EV(撮影地:静岡県富士宮市 2023.07.23 8:27)
白糸の滝の写真
白糸の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/6秒 ISO 50 -1EV(撮影地:静岡県富士宮市 2023.07.23 8:32)
涼を求めて滝巡り(再生時は、設定からHDお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます)
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涼を求めて滝巡り②陣馬の滝

2023-07-26 20:24:52 | 風景写真/滝

 陣馬の滝は、静岡県富士宮市の五斗目木川にかかる滝で、源頼朝が富士の巻狩りで近くに陣を張ったことから「陣馬の滝」と呼ばれている。鐘山の滝の比べれば迫力に欠けるが、川からの直瀑と、溶岩層の隙間からの潜流瀑が何本か横から流れており、小さいながらも美しい滝である。

 陣馬の滝には、近くに10台ほどが止められる専用駐車場があり、滝へは遊歩道で1分である。鐘山の滝は、撮影場所が限られたが、こちらはどこからでも自由に撮ることができる。初めて訪問する場所は、事前にネットの画像検索で情報を得るが、ネットの写真と実際に行って見たギャップはあるが、「自分は何を美しく思い、ここから何を感じ、何を表現したいのか・・・」自然との対峙が始まる。
 直瀑は、まるで天女が舞い降りたかのようであり、周囲の潜流瀑は、それを祝う天子の宴のようにも思えた。

 陣馬の滝では、私より先にコスプレイヤーたちが撮影に興じていた。鬼滅の刃のコスプレなのか定かではないが、NHKの大河ドラマ・ファンの私が扮するなら、源頼朝か北条義時だろう。かつて源頼朝が行った「富士の巻狩り」は、源頼朝が征夷大将軍たる権威を誇示するためや軍事演習などの目的があったとされる。今では、陣馬の滝がある富士宮市こそないが、富士の周囲には自衛隊の北富士及び東富士演習場があり、軍事演習が行われている。2013年にユネスコ世界遺産委員会によって「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録されたが、一部では、戦車が走り砲弾が飛び交っている。この滝の天女は、そんな歴史をずっと見てきたのだろう。ずっと平和であることを祈りたい。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

陣馬の滝の写真
陣馬の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 2秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2023.07.23 6:53)
陣馬の滝の写真
陣馬の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 3.2秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2023.07.23 6:48)
陣馬の滝の写真
陣馬の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 4秒 ISO 50 -2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2023.07.23 6:56)
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涼を求めて滝巡り①鐘山の滝

2023-07-24 16:43:51 | 風景写真/滝

 鐘山の滝(かねやまのたき)は、山梨県の山中湖、忍野八海をもととする富士山伏流水も含まれる桂川の滝である。鐘山の滝は、鐘の音を響かせるという伝説がある。それは、武田信玄がのろしをあげる時を惜しんで、早鐘を打たせた際、勢いあまって懸け金がはずれてしまい、つり鐘は転げ落ちて桂川の大滝へと深く沈みいった。それ以来、滝からは鐘の音が聞こえるという。水量が多くなければ、滝は二条に分かれ美しい。

 22日、気象庁は「関東甲信と東北南部・東北北部が梅雨明けしたとみられる」と発表した。平年より関東甲信は3日遅いが、少し前より晴れが続いており、ほぼ例年通りと言ってよいだろう。梅雨明け前から猛暑続きで、体も暑さに慣れてきた昨今だが、やはり天然クーラーの涼しさが恋しくなる。
 先日、知人が自身のFacebookに滝の素晴らしい写真を投稿されており、その滝には一度行ってみようと思っていた、それが鐘山の滝である。今回、鐘山の滝も含め、三カ所の滝巡りをしてきたので、一カ所ずつ紹介したいと思う。

 鐘山の滝は、おそらく紅葉の季節も良いと思うが、周囲の緑との組み合わせで撮っておきたかった。また、位置関係から朝陽が逆光気味の遮光で差してくるので、滝と光芒を撮ろうと23日の午前3時に自宅を出発した。「道の駅富士吉田」の駐車場に4時半に到着し、早速徒歩で10分ほどの鐘山の滝へ向かった。ふじさんミュージアムを過ぎて左に曲がると滝の轟音が聞こえた。階段を降りると展望デッキが整備されており、そこから眺めることになる。展望デッキには、お洒落な椅子も設置してあり、そこに座ってゆっくりと滝を眺め、マイナスイオンを浴びることができる。気温は20℃。清々しい朝である。
  整備される前は、滝つぼの近くまで降りて行くことができたようだが、現在は、道はあるものの「危険の為立ち入り禁止」とある。水量が少なければ違うのだろうが、この時は梅雨明け直後で水量が多く、滝は二条には分かれておらず、凄まじい轟音とともに迫力があり、表示を無視して降りて行くことは、たいへん危険であると思った。
 写真は、展望デッキから撮ることになるため構図が限られ、誰が撮っても同じカットになる。そこで、朝日の光芒を狙って日の出時刻から待機したのだが、あいにく東方向に雲が浮かんでおり、太陽の直射がない。6時まで待ったが、雲越しの柔らかい日差しのみであるため、今回は諦めて、次の滝に向かうことにした。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

鐘山の滝の写真
鐘山の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 13秒 ISO 50(撮影地:山梨県富士吉田市 2023.07.23 4:50)
鐘山の滝の写真
鐘山の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1秒 ISO 400(撮影地:山梨県富士吉田市 2023.07.23 4:59)
鐘山の滝の写真
鐘山の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F9.0 1.3秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地富士吉田市:山梨県 2023.07.23 5:44)
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滝の水のごとく

2021-05-16 16:20:16 | 風景写真/滝

 東京や大阪など4都府県に出されている新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言の期限が、5月11日から5月末まで延長された。東京都では、引き続き時短・休業要請、不要不急の外出と都外の移動自粛が求められている。GW期間中は、前記事のように1日だけ遠征したが、それ以来、平日の仕事以外はほとんど外出していない。風薫る5月に、二年連続で撮りたての写真を掲載できないのは悲しい。
 昨年5月の緊急事態宣言中には、本ブログにて「心如水」(心は水のごとく)という記事を書き、自粛に関する人の心の複雑さについて考えたが、今年は「水の流れ」にまつわる話を記して、自身のストレスを軽減させたい。

 水の流れと言えば川が思い浮かぶ。日本には川が多く水と親しんできた。古来より「水」に対して象徴的な意味を与え、日本ならではの「水の文化」が発展し、人々の精神や考え方にも大きな影響を与えてきた。
「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」
という鴨長明『方丈記』の冒頭は、日本人の水に対する考え方を象徴している。これは流れていった水はもう戻ってこない、世界はいつも変わっているという無常観を表現したものである。
 流れの途中にある滝に対しても、日本人は独特な感覚を覚える。滝に神を見てきたとも言われ、信仰の対象とする所もある。川の流れよりも、魅力的で神秘さを感じるのは私だけではないだろう。滝壺に入り滝に打たれながら経を唱え続ける精神修行方法である水行・滝行も行われてきた。邪念を振り払い、自らを浄化することが目的だが、滝行を行わなくとも、その場に行くだけで様々な精神的効果がある。
 滝は、大自然の中にあるパワースポットとして注目されてもおり、滝マニアや滝ガールといった存在もいる。滝の周辺には、水が落下して飛び散る飛沫によるマイナスイオン(負の大気イオン)の効果でストレスが軽減し、エネルギーをチャージすることができると言われている。
 ストレスは「三つのR」で対処すると良いと言われている。①Rest(レスト=休養)、②Relaxation(リラクゼーション=くつろぎ)、③Recreation(リクリエーション=活性化)である。ストレスの語源は「歪む」とある。心も体も歪んでしまった状態は、休養してリラックスすればそれ以上悪化はしないが、元には戻らない。ストレスのない状態に自分を活性化する必要がある。
 マイナスイオンの効果は、科学的に証明されてはおらず、論文によれば、マイナスイオンは、自覚症状や一般生化学検査や血圧・脈拍数などに有意性は認められていないが、ストレス対策の効果はあるように思う。見に行かなくとも、こんな効果もあるようだ。風水では「滝」の写真や絵を飾ると金運がアップするという。上から下にまっすぐに向かって流れる「滝」の写真か絵を飾ることで、富が家の中に降り注ぐようになるという。右や左に「滝」が曲がっている写真や絵では、飾る場所によっては金運が外に流れて出しまうので注意との事である。外出自粛のコロナ過においては、せめて金運だけでもアップさせたいものである。

滝の上に水現れて落ちにけり 後藤夜半

 客観写生を体現した句として名高い作品で、一瞬の「静」の世界と無限の「動」の世界を表している。水は、滝の上で見えた後は、勢いよく滝つぼへと流れ落ちていく。時の流れに身を任せるだけの昨今、見えない滝つぼに流れ落ちる前に、しっかりと立ち止まって物事を見て考えなければならないと思う。そして、水に流してきたことを反省し、流れに逆らうことなく生きることが大切だ。

 掲載写真は、称名滝と浄蓮の滝である。称名滝(しょうみょうだき)は、富山県立山町にある立山連峰を源流とし、弥陀ヶ原台地をV字状にえぐる落差350mの日本一の大瀑布である。 日本の滝百選に選定されている。雪解け水が多く流れ込む春などには、称名滝の右側に幻の滝「ハンノキ滝」が現れて、2つの滝が流れ落ちる。また、特に流量が増した場合には、ハンノキ滝の右側にソーメン滝も現れて、3つの滝が並んだ光景を見ることができる。ハンノキ滝の落差は497m(一般には500mとされる)で、350mの称名滝よりも大きいものの、いつも存在している滝ではないとして、日本一の落差の滝として認められないことも多い。
(国土地理院によれば、「滝とは流水が急激に落下する場所をいい、基本は高さが5メートル以上で、いつも水が流れている所」としている。)
 浄蓮の滝(じょうれんのたき)は、静岡県伊豆市湯ヶ島にある滝で、こちらも日本の滝百選の一つ。落差25m、幅7mの直瀑である。

参考文献/渡部一郎:負イオンの生理効果 エアロゾル研究, 18(1), 27-32 (2003)

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

称名滝の写真

称名滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F25 1/160秒 ISO 500(撮影地:富山県立山町 2013.6.01 8:12)

称名滝の写真

称名滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F25 1/125秒 ISO 640(撮影地:富山県立山町 2013.6.01 8:19)

浄蓮の滝の写真

浄蓮の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 0.5秒 ISO 100 -1EV(撮影地:静岡県伊豆市 2012.1.02 10:07)

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西沢渓谷 三重の滝

2020-10-19 22:20:18 | 風景写真/滝

 西沢渓谷 三重の滝を撮ってきた。西沢渓谷は、秩父多摩甲斐国立公園内に位置し、国内屈指の渓谷美を誇り“一生に一度は行きたい!”と言われる景勝地。巨大な花崗岩を清流が浸食してできた渓谷は、いくつもの滝を作り、神秘的な魅力に満ちあふれている。中でも日本の滝100選に選ばれた「七ツ釜 五段の滝」は圧巻と言われている。
 渓谷には、一周4時間ほど(約10キロ)のハイキングコースが整備されているが、落石により登山道に大きな滑落箇所が確認され「三重の滝~カワズ池」間については工事のため、令和3年4月下旬まで通行止めとなっており、今回は西沢渓谷で最初のハイライトである「三重(みえ)の滝」だけを堪能した。

 西沢渓谷へは、今回が初の訪問。「渓谷は、雨上がりの曇天に撮るべし」と思っているため、10月になってからチャンスを伺っていたが、木々も色付き始めた18日に機会が訪れた。
 午前3時に起床して出発。紅葉のトップシーズンではないが、万が一人が多いことも考え、朝一番の光景を撮るための早起きである。中央道の勝沼ICで降り、フルーツライン(通称)を通って現地の市営駐車場(無料)に5時半着。すでに5台の車が止まっていたが、釣り人のようである。気温は8℃。空が明るくなってきたところで、早速、今年初の冬用コートを着て西沢渓谷へ向けて歩き出した。
 市営駐車場がある渓谷入口から「西沢山荘」までは、なだらかで歩きやすい舗装道路(一般車は通行止め)が続くが、「西沢山荘」を過ぎると道は細い登山道に変わる。幅は1.5mほどであろうか、右側は急斜面の崖。左側は谷で50m下に川。ふと、ここで熊に遭遇したらどうしようという不安が過る。走って逃げるか、戦うか・・・そんな事を考えながら進むと、道は行き止まりで右の谷側につり橋。「二俣吊り橋」である。笛吹川にかかる「二俣吊り橋」の長さはおよそ100m。若干揺れる。睡眠不足も相まって頭がクラクラする。足がすくんで周囲の光景を見る余裕はなく、真っすぐしか見ることが出来なかった。
 つり橋の先からは、急こう配の上りである。濡れた石で滑らないように設置された鎖に捕まって慎重に歩く。息を切らしながら小一時間歩いて、ようやく西沢渓谷 三重の滝に到着した。登山道から脇に降りる道があり、ここも鎖に捕まりながら降りると滝を眺めるための展望デッキがあり、そこからの撮影になる。

 西沢渓谷 三重の滝は、文字通り3段の滝。落差は10m程だが、流形の美しさは自然が造った芸術品と言える。ただし、決まった被写体を狭い展望デッキから撮るので、その場に行けば誰でもスマホでも撮れるし、インターネット上に掲載されている多くの「三重の滝」の写真は、どれも構図がほとんど同じである。それでもこの「西沢渓谷 三重の滝」の魅力を自分なりに写真として残しておきたいという思いがあった。そのために「雨上がりの曇天の早朝」を選んだのである。
 天気の良い日中では、周囲の花崗岩は乾いて白くなり、滝のいちばんの魅力である3段目の流れが引き立たない。雨後の朝であれば、岩肌は濡れて落ち葉も程よく付く。柔らかい光でコントラストが弱く、木々の葉も落ち着いた色合いになる。紅葉は、まだ色づき始めたばかりであるが、思った通りの状況の中、誰もいない展望デッキを独り占めにして西沢渓谷 三重の滝を堪能した。
 帰る頃には、青空が見えていたが、どこにも寄らず10時に帰宅した。

 次の週末は、和歌山へ行く予定である。サツマシジミの開翅写真が一番の目的だが、絶景と言われる風景も予定している。気象状況が良いことを祈りたいと思う。

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西沢渓谷 三重の滝の写真

西沢渓谷 三重の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / CPLフィルター使用 / 絞り優先AE F11 20秒 ISO 100 -1EV(撮影地:山梨県山梨市 2020.10.18 6:17)

西沢渓谷 三重の滝の写真

西沢渓谷 三重の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / CPLフィルター使用 / 絞り優先AE F11 13秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:山梨県山梨市 2020.10.18 6:32)

西沢渓谷 三重の滝の写真

西沢渓谷 三重の滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / CPLフィルター使用 / 絞り優先AE F11 13秒 ISO 100 -1EV(撮影地:山梨県山梨市 2020.10.18 6:18)

西沢渓谷の写真

笛吹川と紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 1/20秒 ISO 100 -1EV(撮影地:山梨県山梨市 2020.10.18 7:23)

西沢渓谷の写真

笛吹川と鶏冠山
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 1/20秒 ISO 100 -1EV(撮影地:山梨県山梨市 2020.10.18 7:23)

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白糸の滝(星景)

2018-01-14 16:44:51 | 風景写真/滝

 白糸の滝は、静岡県富士宮市にある滝で、高さ約20m、幅およそ200mの湾曲した岩壁の間から大小数百の滝が白い絹糸のように流れ落ちる様が美しい。上部の水を通す地層である新富士火山層と下部の水を通さない地層である古富士火山層の間から富士山の雪解け水が流れ出ており、 日本の滝百選に選ばれている他、昭和11年に国の名勝及び天然記念物に指定され、平成25年には「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一部として世界文化遺産にも登録されている。
 白糸の滝は、新緑の時期の昼間に何回か訪れているが、今回初めて夜間に訪れ、星空とともに幻想的な光景の撮影に挑戦した。

 13日14時。自宅を出発。この小遠征の主目的は「富士と星空」であるが、他に「富士と山中湖の夕景」、「忍野の紅富士」、そして「白糸の滝の星景」を予定に組み込んだ。まずは、山中湖(後日掲載)で撮影し、その後、白糸の滝に向かった。
 車を止めて、懐中電灯を照らしながら階段を下りていく。漆黒の闇に滝の轟音が響き渡る。若干の恐怖を感じながら、滝に一番近い遊歩道に到着。微かに白い滝が見える。見上げれば満天の星。撮影してみると、冬の天の川も写すことができた。

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白糸の滝(星景)の写真

白糸の滝(星景)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 22秒 ISO 1600(撮影地:静岡県富士宮市 2018.1.13 19:07)

白糸の滝(星景)の写真

白糸の滝の星景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 25秒 ISO 1600(撮影地:静岡県富士宮市 2018.1.13 19:17)

白糸の滝(星景)の写真

白糸の滝の星景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 25秒 ISO 1600(撮影地:静岡県富士宮市 2018.1.13 19:25)

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濃溝の滝

2017-03-18 21:05:16 | 風景写真/滝

 濃溝の滝は、千葉県君津市にある洞窟(というよりもトンネル)である。洞窟(トンネル)は、大きく迂回していた川の流れを水田耕作のために変える目的で江戸時代に人工的に掘られたもので、地元では、「川廻しのトンネル」「亀岩の洞窟」などと呼ばれていたそうである。
 「濃溝の滝」は、近くにある「濃溝温泉千寿の湯」から付けられた最近の呼び名らしい。以前は、あまり訪れる人がいなかったようだが、2015年の秋にインスタグラムに写真が投稿されると 「神秘的で、まるでジブリの世界!」と話題になった。周囲の緑に洞窟と澄んだ流れ、何より洞窟の奥から日光が差し込む情景が幻想的で、光が水面に反射してハート型に見えることから、カップルや片思い成就、恋愛に良いことがありそう・・・と瞬く間に人気観光スポットになったのである。昨今では、旅行会社で「日本の秘境・絶景ツアー」が組まれ、関西方面からもバスツアーで 来るほどの人気ぶりである。

 濃溝の滝。話題の場所ならば1枚は写真を撮っておきたい。それも、洞窟(トンネル)の奥から日光が差し込む光景を狙いたい。そのチャンスは、日の出の方角から春分の日と秋分の日の前後数日しかなく、日の出から1時間半後の数十分だけである。実は、昨年の3月にも訪れているが、東の空に低い雲があって朝日が臨めなかった。9月は天候が悪く断念。そして、今年。3連休とも晴れの予報。太陽の方角的には20日が良いが、初日の朝は快晴の予報なので迷わず決行である。
 18日。午前3時前に自宅を出発し、アクアライン経由で館山自動車道の君津ICで降り、房総スカイラインで現地へ。深夜に雨が降ったようで、君津ICを降りてから濃霧である。なかなかの好条件である。現地駐車場に4時半到着。なんと、すでに30台ほどが駐車している。名古屋ナンバーの車もあり、車中拍の方もいるようだ。ゆっくりしていたら撮影場所がなくなると思い、懐中電灯を照らしながら滝まで向かった。撮影ポイントに着くと、驚いたことにもう三脚がズラリと立ち並んでいる。しかも、昨年は無かったロープが張られていて、撮影できる場所がとても狭い。何とかポジションを確保しカメラをセットした。気温は2℃。少しだけ川の中に入っているので足が凍りそうである。
 自然風景の撮影で様々な場所へ行くとカメラマンの多くは同年代以上だが、この場所は、若者が多い。SNSの拡散で人気が広まったからだろうか。隣の若者と会話をしながら夜明けを待つこと2時間半。ようやく朝日が差し込んできた。人も増え、最終的に50人以上はいたのではないだろうか。まるで山手線の通勤電車の中のようだ。最前列は三脚組。後方は手持ち、スマホ、観光客。

 この日は、1月29日に山梨県の精進湖より富士山を撮って以来、久しぶりに気合を入れた小遠征。話題の場所のそれなりの光景も撮ったが、私的には、「まるでジブリの世界!」であるとか「日本の秘境・絶景」と言われるほどの感動はなかった。SNSに躍らせれた若者達とそれにあやかる地元の観光客誘致戦略の産物なのか。あるいは、「モネの池」を訪れた時と同様に、私の感性が鈍いのであろうか。
 感動が薄くても、条件の良い日に気合を入れて行ったからには、キッチリと撮影した。そして見て頂くからには丁寧に現像し仕上げている。例えば、洞窟(トンネル)の向こう側見える護岸壁が、いかにも人工的で雰囲気を壊してしまうので、朝日の光芒を白とび覚悟でハイキーにして隠している。また、そのことによって、洞窟(トンネル)の向こう側が別世界のように感じる。
 これから写真を撮ろうと思われる方で、横向きの綺麗なハート型を狙うのであれば、3月と9月の20日~23日の間で、雲のない晴れの朝に行かれると良いと思う。当然、撮影者も多いので、午前3時くらいから三脚とカメラをセットして待機する覚悟は必要だろう。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

濃溝の滝の写真

濃溝の滝 Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F13 0.5秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:千葉県君津市 2017.3.18 7:20)

濃溝の滝の写真

濃溝の滝 Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F13 1/4秒 ISO 100(撮影地:千葉県君津市 2017.3.18 7:20)

濃溝の滝の写真

濃溝の滝 Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F13 1/4秒 ISO 100(撮影地:千葉県君津市 2017.3.18 7:20)

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竜返しの滝

2016-08-14 22:01:36 | 風景写真/滝

 竜返しの滝は、長野県軽井沢町の有名な「白糸の滝」の下流にある。高さ7m、幅2mほどであるが、水量が多く轟音を響かせており迫力がある。昔は、数段に落下する大きな滝で、各々円形の滝壺では爆水が渦巻いて、それが数珠玉を連ねたように見えたことから「すずが滝」と呼ばれていたが、後に、竜のように大蛇が滝を渡りそびれて、豪水に飲まれ姿を消してしまったという伝説から、「竜返しの滝」と言われている。

 今夏は、計画した昆虫の写真が思うように撮れず、悔しい毎週末を過ごしている。この週末もトンボとチョウを撮るために、車中一泊二日の遠征に出かけたが、結果は惨敗。昆虫なら何でも撮るというのではなく、目標を決めて、それだけを狙うから、発生時期や天候に左右されての結果である。ただ、今回は、久しぶりに自然風景写真の撮影も予定に組み込んだ。風景撮影は5月の「奥四万湖/浮島」、6月の「モネの池」以来であろうか。狙うは、「竜返しの滝」である。
 軽井沢の美しい林と緑に囲まれた清流と滝であるから、それだけでも絵にはなるが、「光芒」というドラマティックな演出を期待して向かった。午前1時半に自宅を出発し、5時半に到着。ロケハンをした後、滝の前で待機。天気は曇り。しかし、晴れるという予報を信じて、ひたすら待つ。日の出時刻は5時4分だが、深い谷に日が差してくるのは7時半頃だ。
 徐々に雲間から青空が見えるようになり、谷の上部の木々に朝日が当たり始めた。「これなら大丈夫。」そう自分に言い聞かせて待っていると、7時半、夏の強い日差しとまではいかないが、木々の間から光芒となって朝日が差し込みはじめた。日の出の方角から、9月になると滝への光芒は見られない。6月20日くらいだと正面近くから朝日が当たるが、梅雨の時期に軽井沢で晴れを期待するのは難しいだろう。
 竜返しの滝を8時半頃に引き上げたが、カメラマンは自分を含めて8人、駐車場を出るときに観光客3人とすれ違っただけであった。一方、通り過ぎただけの「白糸の滝」は、8時半過ぎで 駐車場は乗用車で半分ほど埋まっており、観光バスも2台。その先の国道146号線も大渋滞で、お盆期間中の軽井沢は車と人で溢れていたが、昆虫はまったくいなかった。
 滝と光芒の組み合わせは、来月に別の場所で撮る予定だ。

以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

竜返しの滝の写真
竜返しの滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F13 13秒 ISO 100 -1EV(撮影地:長野県軽井沢町 2016.8.13 7:40)
竜返しの滝の写真
竜返しの滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F22 10秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県軽井沢町 2016.8.13 8:01)
竜返しの滝の写真
竜返しの滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F22 10秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県軽井沢町 2016.8.13 8:01)
竜返しの滝の写真
竜返しの滝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F13 25秒 ISO 100 -1EV(撮影地:長野県軽井沢町 2016.8.13 5:57)
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