開田高原の星空を撮影してきた。テーマは「天と地の融合」である。写真撮影は2月27日以来3週間ぶりとなる。
東京では3月14日にソメイヨシノの開花が発表され、春の到来である。昆虫関係においては、都内でオツネントンボが産卵を開始し、神奈川県内ではギフチョウも飛び始めた。虫屋としては、すぐにでもそれらの観察と撮影に駆け付けたい気持ちは当然あるのだが、新型コロナウイルスの感染拡大の緊急事態宣言中は、「写真撮影は人が集まらない夜の光景を単独で」と自分で決めたからには、緊急事態宣言が解除される21日までは守り抜きたい。
この週末、東京の天気は20日土曜日が曇り、21日日曜日は雨で強風という天気。土曜の夜が雨ならば、迷わずゲンジボタル幼虫の上陸観察に出掛けるが、残念ながら雨は日曜日になってから。月曜日からの仕事を考えると出掛ける訳にはいかない。
東京はこのような天気でも、信州は金曜から土曜日にかけて晴れの予報が出ていた。月は午前0時に沈む。GPV気象予報を見ても、雲がなく絶好の星空撮影日和である。目的は、夏の天の川のアーチを撮ること。単に天の川アーチを撮るだけならば、晴れの区域で南北が見渡せる光害のない所ならどこでも良いと思うが、主役には脇役が必要だ。しかも「天と地の融合」がテーマである。2月20日に「富士山と天の川アーチ」を撮って本ブログに掲載しているが、勿論、満足できる結果ではなかった。そこで今回は、過去に何度も訪れている長野県木曽町の開田高原にある「木曽馬の里」に行くことにした。
19日金曜日は、会社に5時40分に出社し、19時に退社。自宅には帰らずそのまま開田高原へ向かった。「木曽馬の里」には、翌0時半に到着。カメラのセッティング位置などは予め決めておいたので、天の川が昇り始めるまで車内で待機し、午前1時半から撮影を開始した。二か所でタイムラプス動画用の撮影を行い、最後は天の川アーチ。春霞と東の低い空に薄い雲がかかっていたことで、2019年5月に撮った時よりも、天の川は肉眼で薄っすらとしか確認できなかったが、何とか撮影だけは行い、現地を4時半に撤収、帰路についた。
久しぶりの徹夜。しかも会社出勤前から撮影遠征で帰宅するまで30時間以上一睡もしていなかった。事故もなく無事に帰宅したが、年齢を考え、今後は無理のない計画にしようと思う。
撮影は、ピントは無限大にし絞りは開放。開放では、写真四隅の周辺光量落ち等のケラレが目立つが、これは現像時のレンズプロファイルで補正するとし、今回は「光を集める」ことにした。次に、星を点で捉えるためにNPFルールで計算した露光時間に近くなるようにISO感度を設定し、絞り優先AEで連写モードで撮影した。また今回は、アンタレスの赤など「星の色」を出すためにソフトフィルターを使用した。RAW現像は、Lightroomで行い、パノラマ合成もLightroomである。結果はご覧の通りで、今のカメラとレンズでは、これが限界である。高感度でもノイズレスな最新のデジタルカメラとF2くらいの明るい単焦点超広角レンズなら、きっと美しい結果が得られるだろう。
タイムラプス動画は、フリーソフトのSequatorで加算平均合成を行った後、SiriusCompで作成した。尚、以下に掲載した動画は、過去に撮影した動画を含めて編集した。
今回のテーマは「天と地の融合」である。丘の上にある一本の「ナラの木」を地上の象徴とし、その上に天の川のアーチを配置することでイメージに近づけた。「天と地」は「二つのものの間に大きなへだたりや違いのあるさまのたとえ」であるが、その融合は、相反する世界が一つになり自然と共に美しく融合してゆく世界であり、平和を表すと思う。ただし、平和には「人」の存在が欠かせない。
中国戦国時代の思想家「孟子」の言葉に「天の時は地の利に如かず 地の利は人の和に如かず」がある。何事かを達成しようとする時、天の時を得ていて、地の利がなければ成就できない。しかし、それらを得ていても、人の和がなければ成就できないという意味である。この世は「天・地・人」の三つの関係で成り立っており、宇宙間に存在する万物はバランスで成り立っているが、「人」は和を乱しバランスを崩そうとしている。「人」は自然に順応し、その一部として生き、自然の理法に従うことが大切だと改めて思う。
以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。
また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。
開田高原の星空(天の川アーチ)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F2.8 20秒 ISO 2000 10カットをパノラマ合成(撮影地:長野県木曽町/開田高原 2021.3.20 3:22)
開田高原の星空(天の川アーチ)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F2.8 20秒 ISO 2000 20カットをパノラマ合成(撮影地:長野県木曽町/開田高原 2021.3.20 3:41)
開田高原の星空(天の川アーチ)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F2.8 25秒 ISO 2000 28カットをパノラマ合成(撮影地:長野県木曽町/開田高原 2021.3.20 3:49)
開田高原の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F2.8 20秒 ISO 2000(撮影地:長野県木曽町/開田高原 2021.3.20 2:47)
開田高原の星空(夏の天の川)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / 絞り優先AE F2.8 25秒 ISO 2000 Sequatorで5カットを加算平均合成(撮影地:長野県木曽町/開田高原 2021.3.20 3:12)
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