今年も所属団体主催の「ホタル観察会」が開かれた。毎年、様々な地域において地元保存会との交流会を交え、様々な取り組みを学び、情報交換も行っているが、所属する団体は、ホタルの保護方法を実践から学び、研究し、発信することも目的としている。
今年の観察会は、東京の西部にある小さな谷戸を訪れた。この谷戸は、30年ほど前までは水田耕作が営まれ、源頭部には池があった。現在では水田は荒れ果て、池は、カサスゲの生い茂る湿地へと変貌している典型的な放置放棄された谷戸である。植生遷移も進んでいるが、植物147科592種類、昆虫107科368種類(ホタル科7種類)が生息し、その中には東京都にしか生息していない絶滅危惧種も含まれているほど、豊かな生物層がまだ残されている。
この場所は、かつて町内会、自治体、自然保護団体などの間で、「保全」か「公園造成」かをめぐって意見の対立があり、保全派に対しては、悪徳業者による土地の買収、不法投棄、埋め立て、その他嫌がらせや脅迫などもあり、法廷内外において激しい争いがあったと言う。ようやく20年以上という歳月を経て、保全が最優先となり、現在では保存会による保全作業が進められるようになったものの、また新たな難題を抱えている。
”豊かな生態系を維持するために、今の5万平米という広さで十分なのか。里山保全のために、
この目前の1本の木を切るべきなのか。どなたに聞いても確たる答えは返ってこない。米作り復活も困難である。保全作業にはマニュアルもない。すべて試行錯誤で、生息する生物の生態研究と平行しながら、地道にこの場所に合う方法を見つけるしかない・・・”
里山の小川で自然発生するホタルを守り、増やすためには、里山全体の生態系の維持管理が
できてこそだが、放置放棄された里山を回復させ、保全するためには、乗り越えなければならない高いハードルがいくつも存在し、困難な道のりである場合が多い。以前、環境省関連の自然保護団体の事務局長と面談した際、”どんなにすばらしい里山でも、地権者の理解を得なければ何もできない。その地権者の理解を得るのが難しく、大抵は、反対派だ。”と言う。
”里山の大切さや言うことは分かるが、自分の土地をどうしようと勝手だ。ホタル?人が大勢来て迷惑だね・・・”
ホタルを見たことのない人々の方が多い時代である。ホタルの生息する本来の環境となればどうだろう。「昔はここでもホタルがたくさん飛んでいたけどね・・・」よく聞く言葉だが、人々に今の状況は見えても、当時の情景やその背後の環境を知ることはできない。
今でも素晴らしい環境があり、ホタルが乱舞している所はある。しかし、里山でもなく、豊かな生態系がない場所でホタルが飛んでいる所も、日本にはたくさんある。
小さな水槽、ビニールハウス、小学校の校庭、ホテルの庭園、運動公園の水路・・・
いつの間にか、ホタルは「里山環境の結晶」ではなくなり、ホタルを通じて自然を学ぼうとしても、ホタルが自ら舞う里山環境はなくなり、学ぶことも継承することもできなくなるかも知れない。
今年の観察会は、東京の西部にある小さな谷戸を訪れた。この谷戸は、30年ほど前までは水田耕作が営まれ、源頭部には池があった。現在では水田は荒れ果て、池は、カサスゲの生い茂る湿地へと変貌している典型的な放置放棄された谷戸である。植生遷移も進んでいるが、植物147科592種類、昆虫107科368種類(ホタル科7種類)が生息し、その中には東京都にしか生息していない絶滅危惧種も含まれているほど、豊かな生物層がまだ残されている。
この場所は、かつて町内会、自治体、自然保護団体などの間で、「保全」か「公園造成」かをめぐって意見の対立があり、保全派に対しては、悪徳業者による土地の買収、不法投棄、埋め立て、その他嫌がらせや脅迫などもあり、法廷内外において激しい争いがあったと言う。ようやく20年以上という歳月を経て、保全が最優先となり、現在では保存会による保全作業が進められるようになったものの、また新たな難題を抱えている。
”豊かな生態系を維持するために、今の5万平米という広さで十分なのか。里山保全のために、
この目前の1本の木を切るべきなのか。どなたに聞いても確たる答えは返ってこない。米作り復活も困難である。保全作業にはマニュアルもない。すべて試行錯誤で、生息する生物の生態研究と平行しながら、地道にこの場所に合う方法を見つけるしかない・・・”
里山の小川で自然発生するホタルを守り、増やすためには、里山全体の生態系の維持管理が
できてこそだが、放置放棄された里山を回復させ、保全するためには、乗り越えなければならない高いハードルがいくつも存在し、困難な道のりである場合が多い。以前、環境省関連の自然保護団体の事務局長と面談した際、”どんなにすばらしい里山でも、地権者の理解を得なければ何もできない。その地権者の理解を得るのが難しく、大抵は、反対派だ。”と言う。
”里山の大切さや言うことは分かるが、自分の土地をどうしようと勝手だ。ホタル?人が大勢来て迷惑だね・・・”
ホタルを見たことのない人々の方が多い時代である。ホタルの生息する本来の環境となればどうだろう。「昔はここでもホタルがたくさん飛んでいたけどね・・・」よく聞く言葉だが、人々に今の状況は見えても、当時の情景やその背後の環境を知ることはできない。
今でも素晴らしい環境があり、ホタルが乱舞している所はある。しかし、里山でもなく、豊かな生態系がない場所でホタルが飛んでいる所も、日本にはたくさんある。
小さな水槽、ビニールハウス、小学校の校庭、ホテルの庭園、運動公園の水路・・・
いつの間にか、ホタルは「里山環境の結晶」ではなくなり、ホタルを通じて自然を学ぼうとしても、ホタルが自ら舞う里山環境はなくなり、学ぶことも継承することもできなくなるかも知れない。