ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

桜のリフレクション

2022-04-29 17:45:35 | 風景写真/桜

 本日からゴールデンウイークの始まり。今日は生憎の雨。明日は天気が良いようだが、私は出勤。最長10連休の方もいらっしゃると聞くが、私は間に飛び飛びの出勤である。仕方がない。天気もGW前半は落ち着かず、後半は晴が続くようなので、信州にギフチョウを撮りに行く計画である。あとは、5月末に「ホタルの講演会と勉強会」の講師の依頼があるため、その準備に当てようと思っている。
 写真は「桜のリフレクション」と題して3点を掲載した。先週、新潟県にて「儀明の棚田」と「中子の桜」を撮影したが、中子ではリフレクションの光景は撮れなかった。そこで、過去に撮影した「中子の桜」とともに「駒つなぎの桜」「中綱湖のオオヤマザクラ」を再現像して掲載した。桜は、それぞれの場所に根付いているから、その風土ならではの色彩を表現することも大切だと思っている。
 来年は、これまでに撮ったことがない桜のリフレクションを撮りたいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

駒つなぎの桜の写真

駒つなぎの桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F3.5 8秒 ISO 100 -1 1/3EV(撮影地:長野県下伊那郡阿智村 2011.4.29)

中綱湖のオオヤマザクラの写真

中綱湖のオオヤマザクラ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 0.5秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県大町市 2017.5.04)

中子の桜の写真

中子の桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 1/60秒 ISO 100 +1EV(撮影地:新潟県津南町 2015.4.25)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2022 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.


星峠より夏の天の川

2022-04-27 16:20:27 | 風景写真/星

 星峠より夏の天の川を撮影してきた。

 新潟県十日町市にある星峠から星空を撮るのは今回が4回目。前回は、昨年の12月に「星峠から初冬の星空とレナード彗星」を撮っており、夏の天の川は2018年4月に、今回同様「儀明の棚田」の遠征時に撮っており「星峠より天の川」として掲載している。しかし、田んぼの水面に星々が映りこむ様子と夏の天の川は何とか撮れたものの、撮影位置の調査が足りず「星峠」らしさが感じられない写真であった。また、車中泊で寝坊した失敗も重なって、天の川がかなり昇ってしまってからの撮影であった。
 今回も儀明の棚田とともに、再チャレンジとして星峠より夏の天の川の撮影を計画した。天の川が昇り始める午前0時に月はなく、GPV気象予報でも深夜から快晴。今回は、天の川全体と星峠の棚田を見渡せる場所を見つけたので、天の川アーチも撮る予定での遠征である。

 24日の夕方に儀明の棚田の撮影を終え、コンビニで夕食を買った後、星峠の駐車場へ移動。峠までの道路に雪は全くないが、棚田の所々にはまだ雪が残っている。駐車場には数台が止まっていたが、暗くなるとともに引き上げていった。まずは明るいうちにロケハン。撮影場所までは車両通行止めのため徒歩で向かった。良い感じである。三脚を据える場所を決め車に戻った。さあ、寝坊はできない!とりあえず午前0時に目覚ましをセットし、バッハを聴きながら仮眠である・・・
 目覚ましの音で目が覚める。見上げれば快晴の夜空に星が瞬いている。早速、撮影場所に向かう。気温は8℃だが、残雪が多い所は通り向ける風が冷たい。誰もいない。南東方向に目を向ければ夏の天の川が目視で確認できる。
 夜空の明るさが客観的に評価できる数値「等級(mag/□"):(マグニチュードパー平方秒角)」で表すと、私が星空をよく撮影する開田高原では21.78mag/□"、乗鞍高原が、21.79mag/□" 。値が大きいほど夜空が暗く星が見えやすいことを示しており、19~20で天の川がぼんやり見え、21を超えると天の川の複雑な構造が確認できる。星峠の数値は公表されていないが、上越市や長岡市で20.85~20.89mag/□"なので、21mag/□"くらいはあるだろう。
 徒歩で来たため、あまり長時間の滞在はしたくないことから、今回はタイムラプス撮影は止め、1カットずつ構図を変えて撮影。更にパノラマ合成によって天の川のアーチになるようカメラを少しずつ動かしながらの撮影もした。
 雪が解けていない田が多くあったため、水田に映る星々は少しであったが、全ての田んぼが水鏡になり天候や月明り等の条件をクリアすれば、この撮影場所からは素晴らしい光景が撮れるに違いない。いつかまた挑戦したいと思うが、その前に、21.79mag/□"である乗鞍高原にて夏の天の川アーチを撮りたいと思う。

参考:環境省「令和2年度 夏の星空観察 デジタルカメラによる夜空の明るさ調査の結果について

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

星峠より夏の天の川の写真
星峠より夏の天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000(撮影地:新潟県十日町市 2022.4.25 1:41)
星峠より夏の天の川の写真
星峠より夏の天の川(人工衛星の軌跡)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 25秒 ISO 2000(撮影地:新潟県十日町市 2022.4.25 0:33)
星峠より夏の天の川アーチの写真
星峠より夏の天の川アーチ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000 10カットパノラマ合成(撮影地:新潟県十日町市 2022.4.25 1:25)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2022 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.


儀明の棚田と中子の桜

2022-04-25 17:16:41 | 風景写真/桜

 新潟県十日町市にある「儀明の棚田」と新潟県津南町の「中子の桜」がどちらも満開と聞き遠征してきた。

 儀明の棚田へは過去に何度も訪れ、紅葉や雪景色も撮っているが、畦の山桜が棚田の水鏡に映り込む「桜の棚田」として有名であり、2018年4月21日に桜も撮影し「儀明の棚田」として掲載している。ただし、その時は早朝の光景であった。儀明の棚田が一番美しい時は、オレンジ色の夕日が逆光気味の斜光で差し込む「日の入り前」である。そこで今回、24日の日曜日の夕方に当地へ。深夜は、星峠にて夏の天の川。最後は25日の夜明け時刻に中子の桜に立ち寄るという計画で遠征した。石垣島遠征を除き、車中泊遠征は3月7日の「富士と天の川(精進湖)」以来となる。

 24日の午前11時に自宅を出発。一般道を走り入間ICから圏央道、関越道で進む。途中、赤城高原SAでプー次郎味噌ラーメンとミニチャーハンの昼食。関越道はがらがら。時間に余裕があったので、いつもは六日町ICで降りるが、今回は手前の湯沢ICで降り、あとはゆっくりと一般道を進んで儀明の棚田へと向かった。
 現地には15時過ぎに到着。日曜の午後だから観光客やカメラマンは多くはないだろうと思っていたが、それなりに20人ほど。土曜日は大混雑だったかもしれない。桜は満開。無風で田んぼの水鏡に桜がバッチリ映っている。三脚を立てる場所はまだまだ自由が利く。2本の桜(正確には間に小さな桜があるので3本)と田んぼ、そして水鏡の桜のバランスを考えてセット。後は、夕暮れを待つだけである。
 空は薄曇り。直射ではない優しい夕日が桜を照らす。日没直後には西の空がオレンジ色に染まった。

 夜は星峠に移動し天の川を撮影。(次回掲載)午前2時に星峠を出発し、まずは「道の駅 信越さかえ」で小休止。そこから中子の桜までは車で10分ちょっとの距離であるが、途中から細い山道。舗装はされているが、すれ違いはできない。ゆっくりと進み、現地の駐車スペースに4時に到着。空が少し白んできた頃に徒歩で桜まで移動した。何とすでに大勢のカメラマン!
 中子の桜は、今回で3回目である。前回前々回の「中子の桜」の時は、蒲生の棚田や美人林の後に立ち寄っているので、夜明け前からは今回が初。この桜は、満開・残雪・水鏡・朝靄が揃ってこそ他にはない美しさを楽しめるのだが、初回は残雪と水鏡はあったものの桜の蕾が鳥に食べられて花が少ない状況。2度目は、満開と水鏡のコラボは楽しめたが、雪が残っていなかった。今回はどうであろうか?
 満開と残雪・・・残念ながら風が強く湖面が波立ったまま。水鏡も朝靄もなし。なかなか条件が揃わないものである。しかしながら、見上げれば月齢 23.9の三日月。東山魁夷画伯の「花明かり」が頭に浮かんだ。作品の良し悪しは別として、この時100人以上いたカメラマンの中で三日月とともに桜を撮影した方は、見渡した限りいないと思う。
 風は止む気配がない。結局、日の出を待たずに5時に現地を出発し、帰路に就いた。自宅には8時半到着。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

儀明の棚田の写真
儀明の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/13秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:新潟県十日町市 2022.4.24)
中子の桜の写真
中子の桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1秒 ISO 400 -1 2/3EV(撮影地:新潟県津南町 2022.4.25)
中子の桜の写真
中子の桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 0.8秒 ISO 400 -1 2/3EV(撮影地:新潟県津南町 2022.4.25)
中子の桜の写真
中子の桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 5秒 ISO 100(撮影地:新潟県津南町 2022.4.25)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2022 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.


里山散策

2022-04-11 17:44:30 | 風景写真/春

 関東地方は土曜から初夏のような陽気が続いているが、日曜日は25℃を越えて、多摩地域ではムカシトンボの羽化も始まったようだ。
 前夜から、信州へ夏の天の川撮影とも思っていたのだが、石垣島遠征の後は月曜から出勤。6連勤ではさすがに疲れがたまり、日曜日は休養日。一日中、6月末の沖縄遠征(航空機・ホテル・レンタカーは予約済み)の細かな計画を立てていた。
 翌月曜日も良い天気。休みである。気晴らしに久しぶりに里山を散策することにした。車で小一時間のところ。朝9時過ぎから谷戸の湿地や田んぼを見て回った。かつては多くの昆虫に出会ったものだが、昨今は生態系が貧弱で、この場から姿を消したトンボやチョウは多い。イモリの姿も見かけず、トウキョウサンショウウオの卵嚢もかなり減っている。
 しばらく小さな池のほとりにしゃがんで見ていると、ホソミイトトンボが5頭飛び交うようになった。越冬を終え、体色はブルーになっており美しい。かつて良く通った神奈川県の多産地では、そろそろ産卵であろう。この場では、ホソミイトトンボ1頭だけを撮影して、早々と引き上げることにした。
 以下には、過去に撮影した未掲載の写真も掲載した。「山桜・花吹雪」は初現像である。来週末は、愛車の夏タイヤ交換。GWにかけては、新潟方面と信州で自然風景と夏の天の川、信州でギフチョウのイエローバンド探索を予定している。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

山桜・花吹雪の写真

山桜・花吹雪
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/1250秒 ISO 200 +1/3EV(撮影地:東京都 2016.4.16 11:05)

春の雑木林の写真

春の雑木林
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/400秒 ISO 400(撮影地:東京都 2011.4.16 10:05)

芽吹きの写真

芽吹き
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 1250 -2/3EV(撮影地:東京都 2016.4.16 9:50)

ホソミイトトンボの写真

ホソミイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.0 1/250秒 ISO 160 +1EV(撮影地:東京都 2022.4.11 10:14)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2022 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.


ヤエヤマヒメボタル

2022-04-06 16:23:49 | その他ホタル

 ヤエヤマヒメボタル Luciola filiformis yayeyamana は、ホタル科(Family Lampyridae)ホタル属(Genus Luciola)でゲンジボタル Luciola cruciata やヒメボタル Luciola parvula と同じ仲間のホタルである。
 和名に関しては、石垣島ではヤエヤマボタルと呼ばれてることが多い。1918年に松村松年によってヤエヤマボタルとして記載され、大場信義氏の本では、ヤエヤマボタルとの表記が多いことからだと思われるが、一般的に使われている原色日本甲虫図鑑(III)には ヤエヤマヒメボタルが使われており、また、九州大学農学部の日本産昆虫目録にもヤエヤマヒメボタルが使われている。更には、和名を統一することも視野に入れてKawashima et al (2003)が日本産ホタルの分類に関する問題点を整理し、ヤエヤマヒメボタルとしていることからも、本ブログでは本種の和名をヤエヤマヒメボタルとした。

 ヤエヤマヒメボタルは、石垣島と西表島に生息し、オスは体長約5mm、メスは上翅が腹部の1/2の長さまで退化し、後翅は完全に退化して飛ぶことが出来ない。幼虫は林内で過ごし生態はヒメボタルに類似していると思われるが、未だ不明な点が多い。
 今回の石垣島遠征は、このヤエヤマヒメボタルの観察と撮影が一番の目的であった。初めての石垣島。インターネットで検索すると大まかな生息範囲は分かるが、必ず見られる保証はない。そこでツアーガイドを行っている方を日本ホタルの会の理事より紹介いただき、一か月前にその方のホームページより参加申し込みをした。しかしながら、いつになっても返信がない。携帯電話の番号が表記されていたため電話したところ、何度掛けてもでない。数日後に、ようやく電話がつながりツアーの申し込みを伝えたが、その後も連絡がないまま一週間前。信用できないため、急遽、ガイドをされている別の方に直接電話をし、ヤエヤマヒメボタルの生息地を案内して頂く約束を交わすことができた。
 18時半に待ち合わせ場所に行く。ガイドをして下さるのは、スポッター石垣島ネイチャーガイドサービスの川野俊幸 氏である。川野氏のワンボックス車に乗り換え、ヤエヤマヒメボタルの生息地へ向かった。ちなみに私一人の貸し切りガイドである。川野氏によれば、本種は石垣島ではちょっと山に入ればどこにでもいるという。西表島においては、かなり局所的だと伺った。予め、ロケーションの希望を伝えておいたので、その場所に連れて行って頂いた。
 そこは標高約140mの熱帯森林。西向きの斜面である。生息場所の多くは将にジャングルで、草木が生い茂ったところがほとんどだが、そこは時折下草刈りがされる場所で絶好のロケーションである。天候は曇り。気温25度、無風でかなり蒸し暑い。マスクをしていると息苦しいが、ホタル日和の証である。まだ誰もいない19時少し前からカメラをセットし待機。月齢28.9で、しかも翌朝に昇ってくるので月灯りは問題ない。そのためにこの日程を選んだ。しばらくすると、地元のカメラマンが1名と観賞者が4名ほどが来たが、それ以上は来なかった。
 日没は18時59分。まだ薄明るい19時21分に草むらで1頭のヤエヤマヒメボタルは発光を始めた。1分後に飛翔をはじめ、周囲でも発光する個体が増え始めた。光は黄色のフラッシュ光だが、ヒメボタルに比べるとかなり小さく弱い。発光間隔は1秒に2~3回と不規則である。写真では分からないが、映像では不規則に発光している様子が映っている。
 飛翔の高さはヒメボタルより低く、下草上30~50cmの所を飛翔するが、時折1mほどの高さを飛翔する個体もいる。それは、写真に写っている光の点の間隔や場所でも明らかである。他の下草が腰ほどの高さまで生い茂っている場所では、草上ぎりぎりの高さを飛んでいた。低い位置を飛翔するのは、発光が弱いためメスに存在を認めてもらうためと考えられるが確かではない。19時40分頃になると、発光飛翔の個体数は増えて、カメラで収まる範囲内だけでも100個体を超えていた。
 撮影場所以外の周辺を探索すると、道沿いの林内のどこでも光っている。100mほどの範囲で数千個体はいるのではないだろうか。ヒメボタルの発生期間は10日から3週間ほどであるが、ヤエヤマヒメボタルの発生期間は、3月中旬頃から5月下旬頃までと長い。成虫1頭の寿命はおそらく1週間ほどと思われ、期間中に発生数の増減はあるものの2か月も同じ場所で見られるのである。一体、全体で何頭が生息しているのだろうか?これまで何度か訪問した岩手県の折爪岳のヒメボタルは、生息数が山麓全体で100万匹とも言われているが、この石垣島のヤエヤマヒメボタル生息地は、その数十倍かもしれない。幼虫の成長を支える餌も大量に必要だ。おそらく陸生の貝類以外も食べているに違いない。
 19時50分。発光開始から30分しか経っていないが、下草や地面に止まりだし徐々に発光数が減って行く。そしてあっという間に光のショーは幕を閉じた。ヒメボタルでは、薄暮型では90分ほどの活動時間であり、深夜型では3時間以上も発光飛翔しているが、ヤエヤマヒメボタルの発光飛翔時間は、わずか30分ほどである。体長が小さいので、長い時間発光しながら飛べないと言う説もあるが、これも定かではない。
 翌日も同じ場所に一人で行ったみたが、朝から雨で風速8mの強風。夕方には雨は止んだが風は止まず、気温は18℃。19時半になってもまったく光ることはなかった。別の生息地では雨風ともに止んでいたが、18℃という気温では発光しないようである。成虫のマクロ撮影を予定していたが、それは叶わず、メス成虫の発見もできなかった。

 以下には、生息環境と発光飛翔の写真、そして映像を掲載した。2枚目の発光飛翔の写真は2分相当の多重で、1頭1頭の飛翔ルートや発光間隔が分かる。3~4枚目は20分相当の多重で、見栄え重視の創作である。実際の発光飛翔の様子は、映像をご覧いただきたいと思う。

 訪れた生息地は、来年の夏以降、車両通行止めになるというので、ホタルにとっては良好な環境が保たれるだろう。私にとっても貴重な経験となった。何といっても、急な連絡にも関わらずとても親切に案内して下さった川野氏には心より御礼申し上げたい。勿論、ガイド料金はお支払いしている。Webサイトはこちらである。スポッター石垣島ネイチャーガイドサービス

参考文献・図書

  • 松村松年 (1918) 日本の蛍. 教育画報 6 (3): 82-98.
  • 大場信義 (1993) 親子で楽しむホタルの飼い方と観察. ハート出版.
  • 大場信義 (2003) ホタルの木. どうぶつ社.
  • 佐藤正孝 (1985) ホタル科. (黒沢・久松・佐々治 編) 原色日本甲虫図鑑 (III). 120-124, pl. 20. 保育社.
  • I. Kawashima, H. Suzuki, M. Sato (2003) A check-list of Japanese fireflies (Coleoptera, Lampyridae and Rhagophthalmidae). Japanese Journal of Systematic Entomology 9 (2): 241-261.

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

ヤエヤマヒメボタルの生息環境の写真
ヤエヤマヒメボタルの生息環境
ヤエヤマヒメボタルの写真
ヤエヤマヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / マニュアル露出 F1.4 ISO 400 約2分相当の多重(撮影地:沖縄県石垣市 2022.3.31)
ヤエヤマヒメボタルの写真
ヤエヤマヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / マニュアル露出 F1.4 ISO 400 約20分相当の多重(撮影地:沖縄県石垣市 2022.3.31)
ヤエヤマヒメボタルの写真
ヤエヤマヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / マニュアル露出 F1.4 ISO 400 約20分相当の多重(撮影地:沖縄県石垣市 2022.3.31)

ヤエヤマヒメボタルの映像

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2022 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.


石垣島のトンボ

2022-04-04 21:57:10 | トンボ

 石垣島には多くの種類のトンボ類が生息しているが、訪れた3月末はトンボの発生には時期が早く、また遠征二日目を丸一日チョウとトンボ探索にあてていたにも関わらず雨に強風。結局初日の数時間しか撮影できず、トンボ類は3種を見かけただけであった。しかも、1種は遠くを飛んでいる証拠程度のリュウキュウギンヤンマ。二年前に行った高知県でもそうであったが、多くのトンボとの出会いを叶えるには6月以降が良いようだ。いつか、トンボ三昧の遠征を行いたいと思う。
 アカスジベッコウトンボは初撮影で、当ブログ(PartⅠを含む)においては蜻蛉目 104種目になる。ベニトンボとリュウキュウギンヤンマについては、参考までに過去に撮影した写真も掲載した。

以下の掲載写真は、1024*683 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

アカスジベッコウトンボの写真

アカスジベッコウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 320(撮影地:沖縄県石垣市 2022.3.31 11:13)

ベニトンボの写真

ベニトンボ(未成熟個体)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 800(撮影地:沖縄県石垣市 2022.13.01)

ベニトンボの写真

ベニトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

リュウキュウギンヤンマの写真

リュウキュウギンヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/640秒 ISO 100(撮影地:沖縄県石垣市 2022.3.31 11:52)

リュウキュウギンヤンマの写真

リュウキュウギンヤンマ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM / 絞り優先AE F6.3 1/200秒 ISO400(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.08)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2022 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.


石垣島のチョウ

2022-04-03 15:13:12 | チョウ

 石垣島遠征の主目的はヤエヤマヒメボタルの観察と撮影だが、チョウも撮っておきたい。目指すはミカドアゲハの集団吸水である。到着時に目撃はしたものの撮影にはならず。林道を探索したが、イシガケチョウは、至る所に飛んでいるが、他のチョウの姿はなし。ちょっと期待したコノハチョウも見ることはできなかった。
 於茂登岳(おもとだけ)の山麓を後にして、次に向かったのはバンナ公園。さすが蝶の楽園である。様々な種類のチョウが舞っている。顔ぶれは、東京多摩動物公園にあるチョウの生態園で見られるものが多いが、こちらはすべて天然。温室ではなく、普通に見られるのが素晴らしい。ただし、午後14時過ぎからでは、飛んでばかりで花での吸蜜はほとんどしないため、撮影できなかった種も多く、また撮っても証拠程度のものばかりであるが、以下に紹介しておきたい。
 尚、本ブログに開催している昆虫は、昆虫園などの施設ではなく、すべて自然界で生きているところを撮影したものである。今回撮影した種を含めると、掲載済みの種数は鱗翅目148種になる。(参照:昆虫リスト

  • ヤエヤマカラスアゲハ 初撮影
  • ベニモンアゲハ 初撮影
  • クロアゲハ 沖縄・八重山亜種 初撮影
  • シロオビアゲハ
  • アオスジアゲハ
  • オオゴマダラ 初撮影
  • ツマムラサキマダラ 初撮影
  • リュウキュウムラサキ 初撮影
  • イワサキタテハモドキ 初撮影
  • イシガケチョウ
  • タイワンクロボシシジミ 初撮影

以下の掲載写真は、全て1024*683 Pixels で投稿しています。サムネイルの写真はクリックしますと拡大表示されます。

ヤエヤマカラスアゲハの写真

ヤエヤマカラスアゲハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/3200秒 ISO 640(撮影地:石垣市 2022.3.31 13:05)

ヤエヤマカラスアゲハの写真 ヤエヤマカラスアゲハの写真 ベニモンアゲハの写真 ベニモンアゲハの写真 クロアゲハ 沖縄・八重山亜種の写真 シロオビアゲハの写真 アオスジアゲハの写真 アオスジアゲハの写真 オオゴマダラの写真 オオゴマダラの写真 オオゴマダラの写真 ツマムラサキマダラの写真 ツマムラサキマダラの写真 リュウキュウムラサキの写真 イワサキタテハモドキの写真 イシガケチョウの写真 タイワンクロボシシジミの写真

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2022 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.


石垣島遠征

2022-04-03 14:12:21 | 風景写真/海

 3月31日から4月2日の二泊三日で沖縄県石垣島へ行ってきた。2012年9月に宮古島に行ったことがあるが、石垣島は初めての訪問である。一番の目的は、ヤエヤマヒメボタルの観察と撮影で、 他には星景、チョウやトンボなどの昆虫写真撮影である。
 31日。羽田6:45発JAL971便に搭乗。ホタルの講演等で日本各地に旅客機で行っているが、ほとんどがボーイング737型機かそれ以下。しかし今回はボーイング777-200ER。国内線で一番大きな機体であった。かつての石垣空港は滑走路が1,500mしかなく、ジェット機が離着陸するのにはギリギリの長さで、そのため「ロケットスタート」という独特の離陸が石垣名物であったが、2013年から 新石垣空港が開港し、ボーイング777でも離着陸が可能になった。
 JALに搭乗する場合は、座席はクラスJにすることが多いのだが、今回は普通席を予約したところ、機内に入って驚いた。クラスJは、まるで個室。今度は絶対クラスJにしたい。
 石垣空港には定刻の9:55に到着。送迎バスで予約していたトヨタレンタカーに向かう。借りたのは、アクア。ハイブリッド車なのに、エンジンもロードノイズもかなり煩い。仕方ないが、とにかく安全運転。さあ、南国の昆虫との出会いである。

  • 天候は晴れ。気温28度。まず向かったのは石垣島最高峰の於茂登岳(おもとだけ)の麓にある親水広場。カメラをセットした途端にレンズが曇るほどの蒸し暑さ。汗が噴き出た。
    ここでの目的は、ミカドアゲハの集団吸水。到着の時は目撃できたのだが、レンズの曇りを取っているうちに吸水終了。飛んで行ってしまった。残っているのはイシガケチョウばかりで断念。
  • 続いて訪れたのは、バンナ公園。北口駐車場近くに蝶園がある。こちらでは、南国のチョウに囲まれ幸せな気分に浸る。
  • その後、ドライブで川平湾を観光し、ホテル「ルートイングランティア石垣」に16時チェックイン。
  • 夜は、主目的のヤエヤマヒメボタルの観察と撮影。後に紹介するが、素晴らしいガイドさんに案内いただき、ホタルの終了後にリュウキュウアオバズクとリュウキュウコノハズクの観察もできた。また、ヤエヤマオオコウモリの大きさに驚きもした。
  • 若干、星は見えるものの雲多し。予定では川平湾で星空を撮ることにしていたが、諦めてホテルへ。
  • 近くの居酒屋「琉球の爺」で「海ぶどう」「白身の刺身盛り合わせ」「ふーちゃんぷるー」「泡盛」で一人乾杯。
  • 4月1日
  • 予報通り雨と強風。気温18度。本来は、フェリーで西表島に行く予定にしていたが、数日前から悪天候の予報であったため、フェリーも西表島のレンタカーもキャンセルしていた。
  • さて、どうするか?とりあえず於茂登岳とバンナ公園へ行ってみたが、虫の姿は皆無。
  • 仕方なく、石垣市役所近くの「もみだれ辛ホルモン獅子楼石垣島店」で和牛焼肉ランチ(肉増し)を注文。一人焼肉である。
  • いっこうに雨風止まず、ホテルで休息。雨が止んだ夕方から、ヤエヤマヒメボタルの生息地に行ってはみたが、気温18度で強風。まったく光ることがなかった。
  • ホテルに戻り、やけ酒。
  • 4月2日
  • 予報通り雨。9時過ぎにはレンタカーを返さねばならず、ホテルを8時半に出発して空港へ向かう。
  • 空港でお土産を買い、10:40分発の羽田行きJAL972便に搭乗。
  • 定刻を30分遅れて離陸。座席のモニターで飛行状況を見ていると、巡航高度 12,468m、何と対地速度は時速 1,100kmで飛行していた。
  • 帰りは2時間ちょっとで羽田空港に到着。
  • 駐車場に止めておいた愛車で帰宅した。やはり静かでパワフル。

 観光が目的ではなかったため、石垣島の写真は以下の川平湾だけである。順を追って、石垣島のチョウ、石垣島のトンボ、そしてヤエヤマヒメボタルを紹介していきたいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

川平湾
Canon EOS 7D / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 100(撮影地:沖縄県石垣市川平 2022.3.31 13:57)

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2022 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.