ギフチョウのイエローバンドを2014年から毎年通い続け、今年ようやく撮影することができたので紹介したい。
ギフチョウは、強い飛翔力がなく他の生息地との行き来がないため、小さな地域個体群ごとに翅形や翅のサイズ、前後翅の黄色条または黒色条の幅、後翅肛角部の赤斑、斑紋の細部形状などに違いがある地理的変異が知られているが、同一地域個体群の中でも長野県白馬村で見られるイエローバンドなど常染色体劣性遺伝により引き継がれている形質もある。また更には、斑紋には様々な個体変異があり、赤上がり、イエローテールなどが知られ、斑紋異常による異常型も存在している。
こうした様々なタイプがいることが、撮影者のみならず採集者を引き付けているギフチョウ。本記事では、イエローバンド及び過去に撮影した変異個体の写真も掲載した。
- 写真1~3:イエローバンド
(イエローバンドは、前翅・後翅の外縁部および尾状突起部が全て黄色く縁取られるのが特徴。)
- 写真4:赤上がりの特徴が少しだけ現れたタイプ
(赤上がりは、後翅表面の遠位内側にある大きな赤紋以外に小さな赤紋が黒帯の内側に沿って現れるのが特徴。)
- 写真5:イエローテールの特徴が少しだけ現れたタイプ
(イエローテ―ルは、後翅肛角紋の赤斑が全て後翅外縁部のオレンジ色と同じオレンジ色に置き換わるのが特徴。)
- 写真6:斑紋異常タイプ
ギフチョウのイエローバンドは、羽化して間もない翅のとても綺麗なメスの個体であった。こうして前翅・後翅の外縁部および尾状突起部が全て黄色く縁取られていると、ノーマルタイプに比べてより美しく見える。
今回、イエローバンドの特徴が分かる写真は撮影できたが、図鑑写真的には満足のいく出来ではない。しかしながら、生息地内に2日間で12時間滞在したことで、気温、風、日差しとギフチョウの行動パターンや攻略法を学ぶことができ、帰り際に撮影に適したポイントも見つけることができたので、来年チャンスがあれば、確実にイエローバンドのもっと良い図鑑写真が撮れるだろう。もし、イエローバンドで赤上がり等の個体が自然界に存在するならば、是非、撮りたいものである。
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ギフチョウ(イエローバンド)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:長野県 2018.5.05)
ギフチョウ(イエローバンド)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200(撮影地:長野県 2018.5.05)
ギフチョウ(イエローバンド)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200(撮影地:長野県 2018.5.05)
ギフチョウ(ノーマルタイプ)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 1/125秒 ISO 400(撮影地:神奈川県相模原市 2010.04.10)
ギフチョウ(赤上がりの特徴が少しだけ現れたタイプ)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250(撮影地:長野県白馬村 2018.4.29)
ギフチョウ(イエローテールの特徴が少しだけ現れたタイプ)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 200(撮影地:新潟県十日町市 2013.5.18)
ギフチョウ(斑紋異常タイプ)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 500(撮影地:長野県白馬村 2018.4.29)
ヒメカンアオイ(食草)(撮影地:長野県 2018.5.05)
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