ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

ヤブヤンマの産卵(青眼メス)

2020-07-27 21:47:19 | トンボ/ヤンマ科

 このブログは、自然風景も昆虫でも「今年も会ってきました!」的な毎年同じような写真を「日誌」のように掲載することはしていない。ただし、昆虫においては、その生態に関する新たな知見が得られた場合や過去に掲載した写真に満足できていなければ、良い結果が紹介できるまで撮り直しを行い掲載している。自然風景でも昆虫でも「美しいものを 一番美しい時に 美しく写す。」をモットーにしている。この記事ヤブヤンマの産卵(青眼メス)も、撮り直した例である。
 ヤブヤンマのオスの複眼はマリンブルーに輝き、たいへん美しい。一方、メスの複眼は緑色のものが多いが、個体によっては青色を呈するものがおり、美しさの点で上であるから、美しいものを美しく残したい。産卵の様子は昨年の7月~8月に十分撮影し、本ブログ記事「ヤブヤンマの青眼メス」と「ヤブヤンマの産卵映像」に掲載し、複眼の色が青いメス(青眼メス)も撮ってはいるものの、手振れ補正がないレンズにも関わらず、三脚ではなく一脚での撮影で、多くがピンボケで証拠程度の数枚という結果であった。そこで、一年待ってのリベンジである。

 ヤブヤンマは6月中頃には羽化が始まり、産卵は6月下旬には始まるが、今年は長梅雨でなかなか天候に恵まれず、また他との予定の兼ね合いもあり、24日にようやく訪問となった。場所は、今年も自宅から車で20分の距離にある公園の小さく浅い池である。
 午前10時半に到着し撮影の準備をしていると、早速、ヤブヤンマのメスが現れ、ホバリングを交えながら産卵場所を探して飛翔。池の周囲には、産卵場所としては格好のコケが生えた岩がいくつもあり、案の定、それらに止まって産卵を開始した。産卵の時は神経質であり、不用意に近づくと産卵を止めて飛び去ってしまう。大切な産卵行動を邪魔しないためにも、300mmレンズで離れた所から撮影した。
 この日はヒメボタルの予定もあり、12時半頃には引き上げたが、2頭のメスの産卵をそれぞれ撮影できた。その内1頭は、複眼の色が「半分、青い」メスであり、昨年よりは美しく撮ることができたように思う。2頭ともに翅が痛んだ老熟に近い個体であった。子孫を残すために懸命に産卵をするメスたち。ファインダー越しに「頑張れ!」と「エール」を送った。長梅雨でなかなか「なつぞら」が見えず、このヤブヤンマの撮影後にヒメボタルの生息地に行ったが、発光飛翔が始まった途端に土砂降り。雨が止んだ時には発光飛翔時間が終了。一度もシャッターを切ることなく下山した。本来ならば心折れるところであるが、昼にヤブヤンマの青眼メスが撮影できたので、心は「まんぷく」である。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で表示されます。

ヤブヤンマの産卵写真

ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/60秒 ISO 2500 -2/3EV / Speedlite 550EX(撮影地:東京都 2020.7.24 11:13)

ヤブヤンマの産卵写真
ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/50秒 ISO 2500 -1EV / Speedlite 550EX(撮影地:東京都 2020.7.2 11:34)
ヤブヤンマの産卵写真
ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/50秒 ISO 2500 -1EV / Speedlite 550EX(撮影地:東京都 2020.7.24 11:46)
ヤブヤンマの産卵写真
ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/80秒 ISO 2500 -1EV / Speedlite 550EX(撮影地:東京都 2020.7.24 12:05)
ヤブヤンマの産卵写真
ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/100秒 ISO 2500 -2/3EV / Speedlite 550EX(撮影地:東京都 2020.7.24 12:06)
ヤブヤンマの写真
枝で休むヤブヤンマのメス
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/800秒 ISO 2500 -2/3EV(撮影地:東京都 2020.7.24 11:54)
ヤブヤンマの産卵写真
ヤブヤンマの産卵(緑眼タイプ)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 2500 -1EV / Speedlite 550EX(撮影地:東京都 2020.7.24 11:08)
ヤブヤンマの産卵写真
ヤブヤンマの産卵(緑眼タイプ)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/30秒 ISO 2500(撮影地:東京都 2020.7.24 11:09)

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森の妖精 ヒメボタル

2020-07-25 13:44:40 | ヒメボタル

 森の妖精 ヒメボタルの写真と映像を撮影してきたので紹介したい。

 ヒメボタルは、本州・四国・九州に分布し一生を陸地で生活する陸生のホタルである。20年ほど前までは「森の妖精」あるいは「森のホタル」と呼ばれてきたが、実際は、標高およそ150m~1,700mの雑木林、竹林、杉林、桑畑、河川敷、お堀など様々な環境に生息しており、2010年に桑畑や隣接する開けた草地を発光しながら飛翔する光景を見た時は驚いたものである。まだ謎の多い生態に興味を惹かれるのは勿論なのだが、どのような環境においても、ゲンジボタルやヘイケボタルとはまったく異なるヒメボタルの0.7~1秒間隔のフラッシュ発光が生み出す幻想的な光景は心を惹きつけて止まない。
 これまで様々な場所で生態と生息環境を調査し、多くの知見を得てきた。また多くの生息地において撮影をし、写真という記録を残してきたが、今回は「森の妖精」と言われてきたヒメボタルに相応しい光景を映像として残すことを目的として、自宅から直線で100km県内のヒメボタル生息地では一番発生の遅い某所を訪れた。

 「森」と言えば、ジブリ作品の「もののけ姫」に描かれた森をイメージする方が多いだろう。平地では里山に見る「雑木林」が多いが、寒い地域や標高の高い山地等では「森林」となる。その森林の代表的なものが「ブナの原生林」である。ブナを中心に様々な落葉樹が太古から生育している天然林であり、生物多様性や土壌の発達を支える重要な役割を果たしているが、古来の姿、いわゆる原生林を保っている場所は多くはない。
 「もののけ姫」の森は、屋久島と白神山地の「ブナの原生林」がモデルになっているが、2006年から2018年にかけて訪ねた岩手県二戸市の折爪岳にもブナの原生林があり、豊かな森林に住む精霊“木魂(こだま)”が切株の上に見えるような森である。その折爪岳では「森の妖精 ヒメボタル」の写真と映像を収めており、ブログ記事「ヒメボタル(岩手県折爪岳)」に掲載している。今回は、別の苔むしたブナの巨木が佇む原生林において撮影した森の妖精 ヒメボタルを紹介したい。

 この生息地を始めて訪れたのは、2010年の7月。当時は、撮影者は勿論、観察者も他に誰一人といなかった。当地のヒメボタルは深夜型で、22時を過ぎたころから少しずつ光り始め、本格的に乱舞するのは23時を回ってからであるため、一人での観察には、かなりの勇気が必要であった。親友とも何度か訪れ撮影をしたが、写真としては駄作ばかりで、その後もなかなか上手く撮れず、昨年にようやく「それらしい」写真を残せたが、まだ納得がいかなかった。
 現地には17時に到着。先客がすでに2名。テレビで紹介されたことや口コミで情報が広がり、この5年で撮影者や観賞者が多く来るようになり、車が20台以上も並んでいる時もある。ヒメボタルが飛び始めてから来る方もいるが、私は、どの場所でもそうだが、生息環境が分かる写真を写すことを目的としているため、日の入り前に現地入りする。特に、車で現地近くまで行く場合は、光害の影響をなくすためにも明るい時間に行くことは、ホタル撮影、ホタル観賞の鉄則である。しかし、薄暮型と違って6時間近く待機しなければならない。と言っても、チョウでもトンボでも遠方の撮影地であれば前日入りするし、自然風景写真の撮影で、ポイントの前で14時間も待機したことがあるので、良いものを残すためには当たり前の行動である。
 当地へは何回も通っているので、ブナの森のどの辺りをどのように発光飛翔するのかは分かっている。明るいうちに三脚とカメラをセットして、後は車内で待機である。念のため22時半に目覚ましをセットし、車内でテレビを見ていたら、いつの間にか爆睡。たまたま当ブログをご覧頂いている方が現地にいらして、私に気が付き、22時20分頃「飛んでいますよ!」と声を掛けて頂き目が覚めた。
 22時43分。遊歩道から森の中へ入っていき撮影開始。気温21℃で無風。漆黒の森の中で、あちこちで黄金の光が音もなく点滅している。時間が経つにつれ光の数が増えていく。地面ではメスが発光しており、発生のピークであると思われる。午前1時過ぎまで乱舞は続くが、単に同じようなカットを撮り続ける必要もないため、0時31分に最後のカットを撮影し撤収。帰路に就いた。
 午前2時半に帰宅。眼が冴えて寝ようにも寝られないのでPCを起動させ、早速RAW現像開始。2枚の写真を仕上げたらお昼。午後から動画を編集し、終わったら夜であった。勿論、睡魔と戦いながら、途中何回も眠りこけている。

 私は、プロの写真家ではないし、カメラマンと呼ばれるのも好きではない。ホタルの研究家として、写真はその生態と生息環境の記録を残しているが、いい加減なものは残したくない。当然、苦労と経験の積み重ねの上に理念とセンス加えて初めて結果となる。まだまだ勉強が足りないが、今回は、カメラ2台で2方向の光景を撮影した。EOS 7D は写真のみを EOS 5D Mark Ⅱでは動画も記録し、写真は重ねる枚数を変えた3枚を掲載した。
 1枚目は、森の妖精 ヒメボタルの生息するブナの原生林を写した写真である。森そのものの美しさをご理解頂けると思う。2枚目は、そこに乱舞するヒメボタルである。23mmの広角レンズで撮っているので光の点が小さくなっている。
 3枚目は、90秒の露光時間に相当する写真である。昨今、掲載した「ヒメボタル(東京2020)」の写真と同じように「ヒメボタルの発光飛翔の生態写真」である。1頭1頭が、どのような環境をどのようなルートで飛翔しているのかが分かる。メスを探して地上をくまなく飛翔しているのである。また、飛ぶ速度と発光の点滅の間隔が一定であることも分かり、これが「森の妖精 ヒメボタルだ」と言えるものだと思っている。
 ここで同日に撮影していた十数人のカメラマンは、おそらくこれと同じ写真にはしないだろう。ヒメボタルは、見ての通り、その発光の様子から写真では光の点となり、それが幾重も重なったいわゆる「インスタ映え」する写真は、見る人を魅了する。以下に掲載した写真1及び4と5は、25分や18分という露光時間に相当するカットである。生態学的には飛翔範囲が分かる程度の価値しかないが、美の表現方法の1つである創作写真としてご覧いただきたい。
 生態写真でも創作写真でも、ホタルの発光飛翔の写真は、肉眼で見た光景とはまったく違う。写真とはそう言うものである。そこで、なるべく見た目に近い光景も残したいと思い、数年前から動画も記録し、編集した映像を公開している。漆黒の森ではなく、背景(環境)が分かるように明るくしてはいるが、ヒメボタルの発光飛翔そのものである。映像の中には、地面で発光するメスと、その近くで発光するオスの様子も収められている。Youtubeは、是非ともチャンネル登録をお願いしたい。

 昨今、ホタルは勿論、チョウやトンボでも撮影現場で「もしかして古河さんですか?」とお声を掛けて頂くことが多い。情報交換もさせて頂き、喜ばしい限りである。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

ブナの原生林の写真

森の妖精 ヒメボタルが生息するブナの原生林
Canon EOS 7D / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 焦点距離 23.0mm 8秒 ISO 100(撮影日:2020.7.23)

ヒメボタルの写真

ヒメボタル
Canon EOS 7D / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 焦点距離 23.0mm 25分露光相当の多重 ISO 1600(撮影日:2020.7.23)

ヒメボタルの写真

ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 1分30秒露光相当の多重 ISO 1600(撮影日:2020.7.23)

ヒメボタルの写真

ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 18分露光相当の多重 ISO 1600(撮影日:2020.7.23)

ヒメボタルの写真

ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 18分露光相当の多重 ISO 1600(撮影日:2020.7.23)

森の妖精 ヒメボタル

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ネアカヨシヤンマ(産卵)

2020-07-19 20:36:33 | トンボ/ヤンマ科

 ネアカヨシヤンマ Aeschnophlebia anisoptera Selys, 1883は、ヤンマ科(Family Aeshnidae)アオヤンマ属(Genus Aeschnophlebia)で、全体がずん胴型の大型のヤンマである。和名は、翅の付け根がオレンジ色であることと、ヨシ原に住むことに由来する。
 本州南西部(新潟・埼玉・千葉・茨城県より南西)、四国、九州に分布し、近くに林がある平地や丘陵地のヨシやマコモなどの生えた浅い池沼や湿地に生息するが、環境悪化や生息環境の減少により全国的に激減しており、環境省カテゴリでは、準絶滅危惧(NT)にランクされ、37の都府県RDBに絶滅危惧種として選定されており、東京都、神奈川県、千葉県、富山県、長崎県では絶滅危惧Ⅰ類、多くの県で絶滅危惧Ⅱ類としている。東京都内にも生息し、飛翔する姿は見られるが、間近で見られるのは1年に1度、あるかないかというほどである。

 ネアカヨシヤンマのオスは、2012年の8月に初めて撮影し、産卵の様子は2017年の7月9日に撮影しているが、産卵においては1頭の個体を写したのみで、しかも干上がった池の地面に止まり泥に産みつけるカットが5枚だけであった。その他の様子も撮りたいと思っていたが、その後なかなか予定が合わず、今年こそはと計画にいれてはいたものの、生憎の長梅雨で連日の雨。今年もダメかと諦めていたが、19日(日)は、朝から久しぶりの青空と太陽。迷わず撮影に向かった。5月末に高知県にてコフキヒメイトトンボとイシガケチョウを撮って以来のフィールドでの虫撮りである。
 これまでは自宅からおよそ110km離れた多産地で撮影していたが、今回は半分の距離にある多産地を訪れた。午前10時40分に到着すると、上空をオスのネアカヨシヤンマ5頭が飛び回り食事中であった。早速、カメラをセットし、過去にロケハン済である池に向かうと、既に1頭のメスが産卵場所を探して池上を飛んでいた。
 気温31℃、池の周囲は湿度が高く噴き出る汗をぬぐいながら待機していると、12時を過ぎた頃から2頭がメスが入れ代わり立ち代わり産卵に訪れるようになった。ただし、いずれの個体も水面から1m、時には2mも高い木の幹に止まっての産卵。岸辺の土手でもなく、すべて高い木の幹での産卵であった。連日の雨で池の水位が上がり、池に横たわる朽ち木が、ほとんど水没していたためかもしれない。ネアカヨシヤンマにとっては、その位置が産卵には最良だったのであろう。しかしながら、こちらとしては、ひじょうに撮影のしずらい位置であり、距離も遠い。また暗いこともあって、写真としては、2017年の写真と比べてストロボ臭い不満足な結果で終わってしまった。帰宅後のRAW現像時に気が付いたのだが、一本の木の幹に2頭が止まって産卵している様子が写っていた。(写真5)多産地ならではの、光景であろう。
 現地でお会いした方によれば、今年の羽化時期は早く、既に7月上旬に産卵のピークを迎えていたらしい。それでも、絶滅危惧種のネアカヨシヤンマに出会えたこと、更には過去とは違う産卵の光景を収めることができたので、無駄な一日ではなかった。チャンスがあれば、もう一度訪問してみたい。

 今週木曜日からの4連休は、ヒメボタルの観察と撮影を計画している。最低二か所、天候によっては初訪問の山地一か所を加えて、今年は映像を主として残したいと思っている。乞うご期待いただきたい。

参照:ネアカヨシヤンマの産卵 / http://www.tokyo-hotaru.com/blog/2012/08/post-819/

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ネアカヨシヤンマの産卵写真

ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / シャッタースピード優先AE F4.0 1/160秒 ISO 400 -1EV ストロボ使用(撮影日:2020.7.19 14:45)

ネアカヨシヤンマの産卵写真

ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / シャッタースピード優先AE F4.0 1/160秒 ISO 400 -1EV ストロボ使用(撮影日:2020.7.19 14:45)

ネアカヨシヤンマの産卵写真

ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.0 1/30秒 ISO 400 -2 1/3EV ストロボ使用(撮影日:2020.7.19 13:12)

ネアカヨシヤンマの産卵写真

ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.0 1/60秒 ISO 3200(撮影日:2020.7.1913:13)

ネアカヨシヤンマの産卵写真

ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/50秒 ISO 3200(撮影日:2020.7.19 13:45)

ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/50秒 ISO 3200(撮影日:2020.7.19 13:45)

ハグロトンボの写真

ハグロトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 400 -1EV(撮影日:2020.7.19 12:03)

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光らないホタルたち

2020-07-18 18:41:41 | その他ホタル

 ホタルは、世界でおよそ2,700種類、日本には52種5亜種(オオメボタル科を含む)が生息している。(参照:ホタルの種類と分類)発光器を持ち、卵、幼虫、蛹、成虫と一生を通じて光るから「ホタル」なのであるが、中には、 成虫になるとほとんど発光しない種も存在する。同属の中でも成虫が発光する種としない種がいるから面白い。これらの特徴は、複眼が小さく触覚が発達しており、主に昼間に活動する。光を雌雄のコミュニケーションツールとしては利用せずに、メスが発するフェロモンを感知することで繁殖を行っているのである。
 東京都内には、9種類のホタルが生息しているが、成虫がピカピカと盛んに発光するのは、何と3種類だけである。ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルである。その他の6種類のホタルは、 「光らないホタルたち」である。本ブログでは写真だけの紹介とし、各々の詳細な生態や生息環境等の記載は省略するが、どの種も発光器はあり、まったく光らない訳ではない。特にクロマドボタルでは、夜に活動し発光することもある。また、沖縄等に生息するマドボタル属の成虫は、全て夜行性でよく発光する。

オバボタルの前胸背板の赤斑の変異について

 表題とは違う話になるが、オバボタルにおいては、前胸背板の赤斑に地域差や個体差が見られるので紹介しておきたい。特に、皆川 みちる 氏から提供頂いた新潟県のオバボタル (写真8~9)は、赤斑が小さく別種かと思う程であるし、赤斑ではなく黄斑の個体も存在する。

 この記事では、昼行性で夜はほとんど発光しない「光らないホタルたちを」を紹介しているが、発光するゲンジボタルやヘイケボタル等の中には「光れないホタルたち」が存在する。その理由の1つが、観賞者による光害である。この件については「ホタルを滅ぼすホタル観賞 これが光害だ!!」をご覧頂きたいと思う。

参照

  1. 日本産ホタルリスト
  2. 陸生ホタルの生態と生息環境

以下の掲載写真は、1024×683ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。 また動画も 1920×1080ピクセルのフルハイビジョンで投稿しています。設定の画質から1080p60 HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

ムネクリイロボタルの写真
ムネクリイロボタル Cyphonocerus ruficollis Kiesenwetter, 1879
クロマドボタルの写真
クロマドボタル Pyrocoelia fumosa (Gorham, 1883)
カタモンミナミボタルの写真
カタモンミナミボタル Drilaster axillaris Kiesenwetter, 1879
スジグロボタルの写真
スジグロボタル Pristolycus sagulatus sagulatus Gorham, 1883
オオオバボタルの写真
オオオバボタル Lucidina accensa Gorham, 1883
オバボタルの写真
オバボタル Lucidina biplagiata (Motschulsky, 1866)
オバボタルの写真
オバボタル Lucidina biplagiata (Motschulsky, 1866)
オバボタルの写真
オバボタル (皆川 みちる 氏提供)
オバボタルの写真
オバボタル (皆川 みちる 氏提供)
オバボタルの写真
オバボタル (黄斑型)
光らないホタルたち ~クロマドボタルとオバボタル~
スジグロボタル
(動画の再生ボタンをクリックした後、設定の画質から1080p60 HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます)

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ヒメボタル(東京2020)

2020-07-12 18:45:12 | ヒメボタル

 ヒメボタルは、東京都内にも生息している。東京には、自身のこれまでの調査・観察で、かなり広範囲にヒメボタルが分布していることが分かっているが、いずれも人里離れた山奥であり、観賞者や撮影者もほとんどいない。今年訪れた場所は、2004年に私が生まれて初めてヒメボタルを見た場所であり、2009年に撮影した私の写真(写真3)が、おそらく初めて「東京都内のヒメボタル」を記録したものであろう。
 この場所は、国道から沢沿いのすれ違いのできない細い道を5Kmほど進み、さらに悪路な林道を3Km弱登った所である。2004年から観察と撮影で通い始めた。2004年は、雨が降っておりヒメボタルも数匹しか飛んでいなかったが、2005年は、数え切れないほどのヒメボタルが乱舞していた。しかしながら、撮影技術が確立しておらず、まったく写らなかった。2006年に訪れた時は、発生がゼロの状態。ヒメボタルの発生期間は、およそ10日ほど。私は週末の土曜日しか訪れることができない。つまり、ヒメボタルの発生ピークと私の都合が合致しなければならない。そして次に天候状況がよくなければならない。ゲンジボタルと同じで、月明かりのがなく気温が高くなければ発光飛翔は少ないのである。結局、6年の月日が過ぎ、ようやく2009年7月11日に条件が合致した。
 18時、まだ明るい時間に到着し、カメラを据える。静かに夜を待つ。19時半。ヒメボタルが光り始める。落ち着いてシャッターを切る。OLYMPUS OM-2 に ZUIKO 50mm F1.8 、ISO1600のネガフィルムで長時間露光である。勿論、合成写真ではない。露光している長い間は、ヒメボタルの行動をじっくりと観察。21時。辺りは真っ暗で、一寸先も見えない。静寂の中に、時折、鵺(ぬえ-トラツグミ)の声が林に響き、落ち葉が斜面を転がる音がする。横溝正史の長編推理小説「金田一耕助シリーズ」の一つ「悪霊島」の映画のキャッチコピー「鵺の鳴く夜は恐ろしい…」の鵺である。確かに不気味な感じた。
 その静寂をうち消すように、背後の雑木林から下草を力強く踏みしめる大きな音がしてきた。ゆっくりと右へ左へ、そして近づいてくる。ツキノワグマである。山間部で頻繁に出没しているらしいが、まさかこの場所で出くわすとは思わなかった。ましてこんな所に一人きりである。音を出せばよいのか、静かにしていればよいのか・・・ただ、6年かけてやっと遭遇したこのチャンスを逃すわけにはいかず、恐怖と戦いながら撮影を続けた。十分な露光時間が過ぎたのを確認した後、急いで撤収。麓までの長い道のり、恐怖心は続いていた・・・

 この東京のヒメボタル生息地には、昨年10年ぶりに訪れデジタルカメラで撮影したが、思うような結果が得られなかった。2009年のフィルムよりも美しい写真を デジタルで撮影し、どうしても残しておきたい。そこで、本年も挑戦したのである。
 今年も徒歩である。カメラ2台と三脚2本を背負いながら濡れた悪路を登る。蒸し暑さに汗が噴き出る。生息場所には18時前に到着し、ヒメボタルの通り道2カ所にカメラをセットした。後はひたすら待機である。今回は、持ったきた携帯ラジオを付けた。情報では5月頃にクマが出たというので、クマよけのために大音量で流した。
 気温23度で曇り。無風。曇り空は、夜になっても雲が都会の明かりを反射して明るいので最高の条件とは言えないが、蒸し暑さに期待が膨らむ。19時半に近づく頃が一番不安に駆られる。周囲は暗くなり、そろそろ光始める時間であるが、光らなければ恐怖が襲い掛かるからだ。今回は、何とか19時34分に1頭が光ってくれたので一安心。後は、どのくらい発生しているかだが、なかなか後が続かない。何となく何頭かの光は見えるような気はするが、一向に飛ばない。ようやく数頭が発光飛翔を始めたが、すべてフレーム外の場所。今年カメラを向けた方向は、通り道ではあるものの、曇り空の影響で下草が明るくなっていることが原因だろう。
 20時半になり、随分と暗さが増したが、肝心のヒメボタルは谷の下では発光しているが、なかなか斜面を登ってこない。何故だろう?試しに、クマよけのために大音量で流していたナイター中継を消してみたところ、杉林に静寂が広がり、谷の下からヒメボタルが上がってくるようになった。より暗さが増したことによるのか、音の影響かは定かではない。ゲンジボタルは、轟音のする渓流でも飛んでいるため「音」が飛翔に影響していることはないと思うが、ヒメボタルは音に敏感だと言う方もいるので、根拠はないが、ひょっとしたら音波振動を感知しているのかも知れない。
 21時。急に霧が立ち込めてきて、ヒメボタルも発光しなくなったため、カメラをカバンにしまっていると雨が降ってきた。晴れ間もでる予報であったため傘はない。仕方なく、生い茂る木々の下を通りながら、登ってきた林道3km弱を下った。幸運にもクマは出現せず、何年経ってもヒメボタルの変わらぬ光景を観察できたことに感謝したい。

 インターネットで「ヒメボタル」の画像を検索すると、たいへん多くの写真がヒットする。そのほとんどがデジタル写真で、ヒメボタルの光溢れるものばかりである。勿論、ヒメボタルの生息地によっては多数が乱舞し、1分足らずの一発露光でも光の絨毯に写るところもあるが、これら写真の多くは多重合成によって作られた写真である。それはそれで1つの創作作品として評価してよいとも思うが、昨今の撮影者は、インスタ映えするそのような写真を撮ることだけを目的に、生息地に群がり撮影している。これには、疑問を感じてしまう。また、写真を見る側も、そうした写真を「美しい」と評価してしまうことも問題だ。
 私は、プロの写真家ではないし、カメラマンと呼ばれるのも好きではない。ホタルの研究者として、その生態や生息環境を調べており、ヒメボタルも記録として写真を撮影し残している。当然、今ではデジタルカメラで撮影しているが、写真はインスタ映えを狙ってこれでもか!というように多重合成したものではなく、どのような自然環境をどのように発光飛翔しているのかが分かるように、そして構図なども考えながら、生態写真となるよう撮ってきたつもりである。今回は、これが、ヒメボタルの発光飛翔の生態写真、これが、東京のヒメボタルだ!と言える価値あるものが残せたように思う。
 これは、翅がなく飛ぶことが出来ない可憐な彼女と結ばれたいと飛び回る健気な彼氏の愛の光跡である。

 次週以降は、初めて訪ねるヒメボタルの生息地の光景、そして何度も写真を撮影している所での動画撮影を予定している。

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ヒメボタルの写真

ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 3分相当の多重 ISO 640(撮影地:東京都 2020.7.11)

ヒメボタルの写真

ヒメボタル
Canon EOS 7D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 3分相当の多重 ISO 1600(撮影地:東京都 2020.7.11)

ヒメボタルの写真

ヒメボタル
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8 / FUJICOLOR NATURA 1600 / バルブ撮影 F1.8 60分(撮影地:東京都 2009.7.11)

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東京の山間渓流部のゲンジボタルが激減

2020-07-05 15:21:00 | ゲンジボタル

~2019年の台風19号による影響でホタルも壊滅的な打撃~

 東京山間部の渓流に棲むゲンジボタルが激減している。

 5月22日の高知県から開始したゲンジボタルの観察と撮影。6月には、千葉県と山梨県、そして東京都内2カ所で行い、最後は、東京都内でも一番発生の遅い渓流の源流部近くで行った。 この場所は、風景撮影では何度も訪れているが、ゲンジボタルの観察と撮影では初である。一度、6月26日にロケハンを兼ねて行ってみたが、発生はゼロ。今回の7月4日が二度目である。
 駐車場から林道を歩くこと15分。前回のロケハン時に決めておいた位置にカメラをセットし、17時から待機。この時間でも外国人の家族ずれや大学生のグループなど数組の観光客がいる。大学生のグループは、私がカメラを向けている方向の川に素足で入り込み、果敢に沢登り。迷惑ではないが、滑って頭でも打ったら大変だと、私の子供のような年頃の学生たちに頭を抱えた。30分もすると、深い森の沢に私一人。かなり心細いが、観賞者も光害もない条件のもと、日が暮れて暗くなるのをひたすら待った。
 19時20分に一番ボタルが発光を始める。1頭光れば、ホッと一安心である。しかしながら、ゲンジボタルはなかなか数が増えない。結局、わずか2頭のオスのみ。しばらくすると飛翔を始めたが、すぐにスギの梢に止まって、静かに発光するだけの状況。気温が20℃と低く、時折上流から冷たい風が吹き下ろしていた事が要因だと思う。その後、1頭が飛び出したが、強い雨が降ってきたため、またすぐに葉に止まってしまった。
 発生時期の最盛期であるにも関わらず発生数が極端に少ない。これは、予想していた。原因は1つ。昨年(2019年)10月12日から13日未明に東海から関東地方を通過した台風19号の影響である。ゲンジボタルが生息する地域における、この二日間の期間総雨量は610mmにも達し、渓流は濁流となって直径1mもある岩をも流した。これにより、ゲンジボタルの幼虫やカワニナの多くも流されてしまったのである。
 ブログ6月21日の記事「東京のゲンジボタル」では、冒頭「東京のゲンジボタルは、今年も美しい光を放っていた。」と書きだしたが、この小川は、丘陵部の小さな河川で、台風通過時の雨量も多くはなかったので、今年も無事に発生したが、多摩西部の山地渓流では、今回訪れた場所以外でも、ほとんどのゲンジボタル生息地で発生数が少なくなっているのである。
 今年、私は行かなかったが、ここ数年毎年訪れている河川(東京のゲンジボタル その2)では、ゲンジボタルの数よりもカメラマンの方が多かったと聞いた。4月にムカシトンボの様子を観察しに同河川を訪れた時に、様子の激変に驚愕し、今年のゲンジボタルの発生は少ないと予想していたが、その通りの状況だったらしい。

 ゲンジボタルは、一年ですべての幼虫が成虫になるわけではなく、最長4年かかる個体も存在する。つまり、常に川の中には成長年数に応じた様々なサイズの幼虫が生息している。おそらく、環境変化の大きい河川において、種を存続させるための戦略だと思われる。こうして甚大な台風被害の翌年でも、数頭が発生するということは、流されていない幼虫もいるわけだが、元の発生状況に戻るには、今後何の影響がない状況でも3~5年はかかると思われる。しかしながら、この夏も台風の被害がないとは言えない。場合によっては、10年以内に絶滅してしまう可能性もある。これは、私自身が個体群動態の数理モデルを用いたコンピューター・シミュレーションに基づく個体群存続可能性分析で推定を行っている。(ゲンジボタルの個体群動態解析及び存続可能性分析
 昨日7月4日は、停滞する梅雨前線の影響で九州地方で記録的な大雨となり、土砂崩れや大規模な河川の氾濫に見舞われている。被害に遭われた方々には、心よりお悔やみ申し上げたい。こうして、台風以外でも大雨は年々、激しさを増しており、河川に棲むゲンジボタルも各地で減少している。5月に高知県でお会いした写真家の小原玲氏との会話では、写真集「蛍」の中に掲載した生息地の多くは、現在、大雨で壊滅状態だと仰っていた。
 ホタル観賞者による光害、八王子市川町にみる開発と放置、そして大雨による河川氾濫・・・ゲンジボタルが生き抜くためには、いくつもの試練を乗り越えなければならないが、いずれも根本原因は我々にあるということを忘れてはならない。
 今回、写真的には「絵」になるものが撮影でき残すことができたが、この美しくも儚い命の灯が、「最後の光景」にならないことを祈るばかりである。

 この一枚で、今年のゲンジボタル(成虫)の観察と撮影は終了である。次の週末からは、いよいよヒメボタルである。本年は、昨年に引き続き東京のヒメボタルから始め、7月末まで関東近辺の生息地数か所を巡る予定である。初訪問の場所もあるので、新たな生息環境や生態の新知見を得られるだろう。今から楽しみである。
 また今回、当ブログにご訪問頂いている方と現地でお会いした。何とも嬉しい出会いである。様々な情報もご提供いただき、この場を借りて御礼申し上げたいと思う。

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ゲンジボタルの写真

ゲンジボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 60秒 ISO 200(撮影地:東京都 2020.7.04)

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