ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

「まいめの池」より天の川

2020-08-30 13:47:27 | 風景写真/星

 まいめの池より天の川を撮影してきた。「まいめの池」は、長野県松本市安曇・乗鞍高原の中央部を占める一の瀬園地(標高1,500m)にある小さな池。
 乗鞍高原は、先週に続き2度目の訪問である。先週撮影した星空の写真は、前々回の記事「乗鞍高原の星空」に掲載したように、APS-Cのカメラとフィッシュアイ・レンズで撮影したため、解像度が悪く悔いの残る結果であった。今回の乗鞍訪問もメインは昆虫撮影であるが、勿論、星景撮影も念頭に入れて35mmフルサイズと広角レンズもバッグに入れていった。
 自宅を28日21時半に出発し、松本ICを翌午前0時過ぎを目指す。0時前に降りてしまうと平日(ETC)料金4,760円であるが、土曜日になってから降りれば休日料金に更に深夜割引が適用されて3,330円で済むから、それを見越して安全走行である。予定通り0時過ぎに松本ICを降り、乗鞍高原には1時に到着。
 事前に調べた天気予報とGPV気象予報では、薄い雲がかかっている予報であったが、着いてみると雲一つない快晴で満天の空。先週よりも素晴らしい星空である。月も沈んでおり絶好の条件の下、今回はまいめの池を撮影場所に選んだ。
 まいめの池は、新緑や紅葉の時期にも訪れて撮影をしている。最大の魅力は、池面への映り込みであろう。今回は、池の奥から天の川が昇る乗鞍岳方面にカメラを向けた。気温18度で無風。池面にも星々が映り込み、期待以上の光景が広がっていた。もっと早い時間帯ならば夏特有の天の川の形であり、タイムラプス動画用に数時間かけて撮影したが、今回は1時間ほど撮影して終了。撮影後は、素晴らしい星空を眺めながら2時間ほどの睡眠してトンボ撮影に向かった。

参照

  1. 乗鞍高原まいめの池より天の川
  2. まいめの池(紅葉)
  3. まいめの池~夏~

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

まいめの池より天の川の写真
まいめの池より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 28秒 ISO 2500(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.8.29 1:23)
まいめの池より天の川の写真
まいめの池より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / バルブ撮影 F2.8 64秒 ISO 2500(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.8.29 1:39)
乗鞍高原より天の川の写真
乗鞍高原より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 27秒 ISO 2500(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.8.29 2:05)
乗鞍高原よりより星空の写真
乗鞍高原よりより星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 27秒 ISO 2500(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.8.29 2:06)

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エゾトンボ

2020-08-24 22:04:25 | トンボ/エゾトンボ科

 エゾトンボ Somatochlora viridiaenea (Uhler, 1858)は、エゾトンボ科(Family Corduliidae)エゾトンボ属(Genus Somatochlora)のトンボ。体長約5cmで、体は全体に金属光沢のある金緑色で美しい。
 北海道・本州・四国・九州に分布。平地から山地の豊かな樹林に囲まれた明るい湿地に生息している。北海道や東北では平地で普通に見られるが、中部地方では特に高層湿原に多く見られる。環境省カテゴリに記載はないが、26の道府県においてレッドデータブックに記載しており、東京都及び千葉県では絶滅。(ただし、東京都内では細々と生息)埼玉県、静岡県、福岡県、熊本県では絶滅危惧Ⅰ類としている。いずれも産地の限定と生息環境の悪化が原因となっている。
 エゾトンボは、かつて本州産の後翅長40ミリ以上のものを亜種として区別しオオエゾトンボ Somatochlora viridiaenea atrovirens Selys,1883 と呼んでいたが、 個体のサイズはヤゴの栄養状態や生育年数による違いであることが証明されており、またDNA解析でも明確な差異がないことから、現在はこの和名は使われていない。

 今回訪れたのは、長野県のこれまで寄ったことがない標高約1,400mの湿地。主目的は某ヤンマのオス型メスであったが、目撃はできたものの撮影には至らなかった。 再び現れるのを待つ間、湿地上でホバリングするエゾトンボ科を撮影することにした。エゾトンボ科は、飛んでいる時に見ただけでは区別するのが難しい。種によって 生息環境が異なるためある程度は同定できるが、オスの尾部付属器の形状で区別するのが確実である。
 リリースを前提に網で捕獲して形状等を調べるのも一つの方法であるが、できれば写真でも同定できる画像を撮りたい。幸いホバリングの時間が3~5秒と長いため、トンボの真横からピントを合わせて撮影することができた。今回撮影した画像をみると、何度も撮っているタカネトンボとは違う。生息環境もタカネトンボやハネビロエゾトンボとは異なっている。帰宅してから専門書等で調べると本種は「エゾトンボ」であることが分かった。本種は、2011年8月に福島県会津若松市にてメスを撮影しているが、オスは今回が初撮影である。
 エゾトンボは、午前8時半頃にはオスが日当たりの良い湿地上で3頭がホバリングしており、メスも1頭産卵にきた。撤収する午前11時頃にはホバリングするオスも姿を消した。当地では、数年前から某トンボを探索しており未だに見つけられていないが、この湿地ならば生息している可能性が大である。また、某ヤンマのオス型メスの生息も確認できたため、再訪して目的を達成したいと思う。

参照

  1. カラカネトン
  2. タカネトンボ

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。

エゾトンボの写真

エゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/5000秒 ISO 2000 Speedlite 550EX E-TTLハイスピードシンクロ(撮影地:長野県 2020.8.22 8:55)

エゾトンボの写真

エゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/4000秒 ISO 2000(撮影地:長野県 2020.8.22 9:00)

エゾトンボの写真

エゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/4000秒 ISO 2000(撮影地:長野県 2020.8.22 9:00)

エゾトンボの写真

エゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/5000秒 ISO 2000 Speedlite 550EX E-TTLハイスピードシンクロ(撮影地:長野県 2020.8.22 9:01)

エゾトンボの写真

エゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/1600秒 ISO 2000(撮影地:長野県 2020.8.22 8:58)

エゾトンボの写真

エゾトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/4000秒 ISO 2000(撮影地:長野県 2020.8.22 8:55)

エゾトンボの写真

エゾトンボ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/4000秒 ISO 2000(撮影地:長野県 2020.8.22 8:55)

エゾトンボの写真

エゾトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F3.5 1/320秒 ISO 200(撮影地:福島県会津若松市 2011.8.7)

エゾトンボの写真

エゾトンボ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/2500秒 ISO 1250(撮影地:長野県 2020.8.29 8:21)

エゾトンボの写真

エゾトンボ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 1250 +1EV(撮影地:長野県 2020.8.29 8:22)

エゾトンボの写真

エゾトンボ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/2500秒 ISO 2000(撮影地:長野県 2020.8.29 9:47)

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乗鞍高原の星空

2020-08-23 14:34:57 | 風景写真/星

 乗鞍高原の星空を撮影した。乗鞍高原は光害がなく、月が出ていない晴れの夜であれば星空が美しいのは分かっているが、今回はトンボ撮影がメインで訪れ、出発前の天気予報では深夜は曇りの予報であったこと、いつも遠征は極力少ない機材を持って出かけていることから、風景撮影用のカメラとレンズは家に置いてきた。
 しかしながら、午前1時に到着すると多少雲はあるものの満天の空で、乗鞍岳から昇る夏の天の川が美しい。気温17℃。熱帯夜の連続である東京都内から解放され、空気の味も香りも良い乗鞍高原。そして星々。撮らない訳にはいかない。風景用のカメラとレンズを持って来なかったことを後悔しながら 昆虫撮影用の EOS 7D とたまたまカメラボディに付けていたシグマのフィッシュアイ・レンズを空に向けた。
 何とか星々は捉えることができたが、星景写真でいつも使用している35mmフルサイズのカメラとCanonのLレンズの解像度にはまったく及ばず、満天の星々を絡めた「風景」でも星々を美しく撮った「天体写真」でもない、単に星が多く写っている星空写真という結果に終わってしまった。今後は、なるべくフルセットの機材を積み込んで出かけようと思う。ちょっと悔しいので、2018年7月に同じ場所で撮影した天の川の写真3枚(初公開)も掲載した。
 奇麗な星景写真を撮るには赤道儀が必須である。大きな印画紙にプリントアウトせず、Web上に掲載する程度の私は赤道儀を使用していないが、やはり30秒露光でも星が動いてしまうため点像には写っていない。今後は購入を検討したいと思う。
 以下には、今回撮影したEOS 7D とシグマのフィッシュアイ・レンズの写真3枚と、過去に撮影した EOS 5D Mark Ⅱと Canon EF17-35mm f/2.8L USMの写真1枚を掲載した。また、以後の撮影した乗鞍高原の星空は、次の参照をご覧いただきたい。

乗鞍高原の星空における当ブログ参照記事

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乗鞍高原の星空の写真
乗鞍高原の星空
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / バルブ撮影 F2.8 26秒 ISO 2000 35mm換算24mm(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.8.22 1:19)
乗鞍高原の星空の写真
乗鞍高原の星空
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / バルブ撮影 F2.8 36秒 ISO 2000 35mm換算24mm(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.8.22 1:35)
乗鞍高原の星空の写真
乗鞍高原の星空
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / バルブ撮影 F2.8 31秒 ISO 2000 35mm換算24mm(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.8.22 1:31)
乗鞍高原の星空の写真
乗鞍高原の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 32秒 ISO 1600 焦点距離17mm(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.7.21 1:10)

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乗鞍高原でスナアカネ発見

2020-08-22 18:46:11 | トンボ/アカネ属

 スナアカネ Sympetrum fonscolombei (Selys, 1840)は、トンボ科(Family Libellulidae)アカネ属(Genus Sympetrum)で、北アフリカ、中東、モンゴル、インドを含む南西アジア、および南部ヨーロッパ等に広く分布しており、日本国内では、台風等に乗って飛来する、いわゆる「飛来種」と言われている。本種は、2018年に愛媛県にてメスを同年に静岡県にてオスを撮影し「スナアカネ」として本ブログに掲載しているが、今回、長野県の乗鞍高原にある標高1,458mの「まいめの池」にてオスのスナアカネ1頭を確認し撮影した。この個体は、同行したS氏が最初に発見し、共に撮影している。

 台風がまだ一度も通過していないこの時期に、しかも沿岸ではなく中部山岳地帯の高原にスナアカネがいるというのは、何とも不思議である。偏西風に乗って大陸から飛んできたとは考えにくい。過去には、群馬県にて標高1,570m付近の高層湿原で雌が確認されており、また乗鞍高原ではここ数年、毎年7~8月に複数のスナアカネが目撃されているという。長野県での初記録は2015年のことで、数ヵ所で未熟個体を含む複数頭が確認されているとのこと。日本国内では、産卵も羽化も確認されている地域がある。もしかしたら松本市街の池で繁殖し、この時期はアキアカネのように山の上に飛んできていると考えることもできるが単なる推測の域を出ない。この個体は、どこからどのようにしてやってきたのか・・・謎は深まるばかりである。

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スナアカネ(乗鞍高原)の写真

スナアカネ(乗鞍高原)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/5000秒 ISO 2000(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.8.22 9:19)

スナアカネ(乗鞍高原)の写真

スナアカネ(乗鞍高原)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/4000秒 ISO 2000(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.8.22 9:19)

スナアカネ(乗鞍高原)の写真

スナアカネ(乗鞍高原)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/2500秒 ISO 2000(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2020.8.22 9:17)

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山中湖パノラマ台より富士と星景

2020-08-16 11:32:07 | 風景写真/富士山

 山中湖パノラマ台より富士と星景を撮ってきた。

 私は、仕事柄この24年間お盆休みがなく、交代で時期をずらしての夏休みも無し。カレンダー通りに土日祭日だけが休日である。先週末は、今年最後のホタル観察と撮影を行ったが、さて、この週末はどうするか?
 連日最高気温が35℃を越える猛暑。平日も外で働いているので暑さには慣れてきたが、炎天下の中で昆虫を撮る気にはなれず、かと言って家の中でダラダラと過ごすのももったいないと思いながらインターネットで様々な記事を見ていると、8月12日の深夜から翌未明にかけてペルセウス座流星群の活動が極大を迎え、日本各地で多くの流星が観測され、知人も写真に収めていた。勿論、ペルセウス座流星群のことは知っていたが、出勤のために毎朝4時半に家を出るので、悲しいかな平日に星を眺める余裕はない。
 今年は、7月にネオワイズ彗星が地球に最接近し1~2等級の明るさで観測され、23年ぶりに肉眼で見える彗星と話題であったにも関わらず、関東地方では長梅雨の影響でまったく見ることができなかった。悔しい思いをしている中で、流星群の写真を見れば気持ちは動く。知人らの写真に触発されて、この週末は久しぶりに星景写真を撮りに行くことにした。3月21日の「富士と天の川(西湖)」以来である。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため「なるべく近く、3密にならない」を念頭に、主役と脇役があり、光害も少ない場所であること、更には今まで一度も行ったことがない所を気象庁天気予報やGPV気象予報と照らし合わせて、今回は「山中湖パノラマ台」を選んだ。山中湖の東側、山梨県と神奈川県の境にある鉄砲木ノ頭(てっぽうぎのあたま)別名 明神山の中腹にあり、富士と夕日の絶景スポットとして知られている。
 山中湖という観光地の近くで絶景スポットならば、人が多く訪れることは容易に想像できる。17時に到着したが、案の定10台ほどしか停められない駐車場は満車。ただし、最初からそこに止めて展望スペースから撮ろうとは思っていない。ずっと先の三国峠近くの駐車スペースに停め、鉄砲木ノ頭の中腹まで登った。
 天気予報通り、快晴。夕焼けはないが、沈む夕日は美しく、赤く染まるススキの穂に秋の気配を感じた。西の空はいつまでも残照で明るく星の輝きは少なかったが、南の空には夏の天の川が薄っすらと見え、流れた星にコロナの終息と再び戦争が起きないよう世界の平和を願った。

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山中湖パノラマ台より富士の夕景写真

山中湖パノラマ台より富士の夕景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F16 1/25秒 ISO 100(撮影地:山梨県山中湖村 2020.8.15 18:20)

山中湖パノラマ台より富士と星景写真

山中湖パノラマ台より富士と星景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 10秒 ISO 1600(撮影地:山梨県山中湖村 2020.8.15 20:04)

山中湖パノラマ台より星景写真

山中湖パノラマ台より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 22秒 ISO 1600(撮影地:山梨県山中湖村 2020.8.15 20:10)

ペルセウス座流星群の写真

ペルセウス座流星群
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:山梨県山中湖村 2019.8.11)

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ゲンジボタル(8月)

2020-08-09 18:17:47 | ゲンジボタル

~志賀高原のゲンジボタル~

 志賀高原のゲンジボタルを観察し撮影を行ってきた。

 「ホタル」といえば、昔は個人的に8月と言う印象である。48年前に行っていたヘイケボタルの飼育観察では、ヘイケボタルは8月の今頃が旬であったからだ。今では7月上旬~中旬頃がピークであるように思う。ゲンジボタルにおいては7月になってから観察したものだが、今では九州や四国などでは5月中旬から見られ、青森の最北でも7月上旬が発生のピークである。いずれも発生している期間は2~3週間程度だ。それなのに8月に「ゲンジボタル?」と思うだろうが、標高およそ1,600mに生息する志賀高原のゲンジボタルは、今でも見ることが出来るのである。
 志賀高原のゲンジボタルは、7月下旬から8月上旬を発生のピークとしながらも、気温が5℃しかない5月から発生が始まり、氷点下の気温で雪が舞い始める10月になっても出現する。2008年年3月にはその特性が認められ、志賀高原<石の湯のゲンジボタル>は国の史跡名勝天然記念物に指定されている。
 石の湯周辺は約25万年前に活動した志賀火山の溶岩が川(角間川)をせき止めてできた湖の中心に当たる。このせき止め湖には厚さ50mほどの土砂が堆積。その後、角間川の浸食がすすみ湖は干上がり湖底が顔を出す。角間川に流れ込む岩倉沢川の水は、志賀山の西部山地にしみこんだ雨水や雪解け水が岩倉沢川に湧きだしたものであるが、岩倉沢川沿いの3箇所では温泉水が流入し、河川水の水温を高めている。その岩倉沢川に生息する<石の湯のゲンジボタル>は湧出する温泉水に依存し、生息地の標高が1,580m~1,620mと日本で一番高いこと、ホタルの発生期間が長いこと、成虫の寿命が長いこと、明滅周期が長いなど他の生息地にない多くの特徴があるのである。ちなみに、2番目に標高が高い生息地は、文献上840m(山梨県)である。

 志賀高原のゲンジボタルは、2010年7月31日に訪れ撮影しているが、今回10年ぶりに訪れてみた。国の天然記念物に指定されている<石の湯のゲンジボタル>は、観賞だけなら自由にできるが、写真撮影にはかなり厳しいルールがある。志賀高原自然保護センターのサイトによれば、写真撮影可能期間は、2020年8月1日(土) ~ 8月30日(日)で、写真撮影可能時間は、20時半以降に限られる。知人のカメラマン・西川祐介氏が1999年に通称「ホタル橋」からフィルムで15分の長時間露光によって撮影した写真があるが、20時半からデジタルで背景の生息環境も同時に美しく写しこむのは難しいだろう。

 今回も10年前同様に「石の湯」ではない場所にて観察し撮影を行った。標高は1,617m。渓流には温泉が流れ込んでおり、環境とゲンジボタルの生態特性は石の湯と変わりない。10年前も数は少ないもののゲンジボタルの飛翔が観察できたこと、石の湯周辺では、8月5日時点で176頭の飛翔が石の湯ロッジのスタッフによって観測されていることから、当地でも少なからず見られるだろうとの予測で出かけた。
 自宅を11時半に出発。圏央道青梅ICから乗り、途中上信越道の東部湯の丸SAで食事をし、信州中野ICで降りて一路志賀高原へ。三連休初日であるが、出発が遅かったためか渋滞はなし。志賀高原もほとんど人影すらない状況。現地には16時半到着。10年前に撮影した場所は草木が茂り、また街灯ができたために別のポイントを探すが、なかなか絵になる場所がない。小一時間ほど散策してポイントを決め待機した。その場所にゲンジボタルが飛ぶかどうかは分からないが、ホタルの生態と生息環境を48年見てきた勘である。標高1,617mを流れる川にも関わらず、中流域と同じような腐食的な匂いがし、石には珪藻類が繁殖していた。水生昆虫も多く生息しているが、カワニナの存在は確認できなかった。
 19時。気温21℃。曇りで微風。目の前を大きなヤンマが通り過ぎた。川面を飛ぶ小さな虫を捉えての摂食行動の様だ。ただ、暗くてヤンマの種類が分からない。高標高の場所からオオルリボシヤンマかと思われるが、30分近く、かなり暗くなるまで飛び回っていた。
 19時半。誰も来ない川岸。ゲンジボタルは光らない。場所が悪いのか?天候の影響か?熊の出現を心配しながら、後10分待って光らなかったら撤収しようと諦めかけた時、遠くで発光を確認。しばらくすると飛翔し始めた。やはり数は少なく300mの範囲で発光数は10頭。その内4頭がカメラのフレーム内を飛んでくれた。飛翔スピードはゆっくりで直線的であった。明滅周期は、個体数が少なく同期明滅が見られなかったので分からないが、DNAの判定では、長野県に生息するゲンジボタルのDNAパターン3種のうちの1つで、西日本型でも東日本型でもないフォッサマグナ型(3.3秒)という地域固有種とされている。
 数は問題ではない。標高1,600mを超える高地にて8月に舞うゲンジボタルを再びこの目で確認し、観察できたことが重要である。証拠となる写真も、良い結果が残せたと思う。

 今年は、いつもと違う夏である。新型コロナウイルスの感染が再び拡大しているに他ならないが、コロナ渦と長梅雨によって、今年は4月以降、8割近くの予定をキャンセルせざるを得なかった。ゲンジボタルに関しては120%の達成率であるが、ヒメボタルは50%、他の昆虫類、特にチョウ類の 撮影目標達成率は0%である。この三連休初日も、知人とここ4年毎年挑戦している高山蝶の撮影で、今年は木曽駒ケ岳へ行くことにしていたが、仕方なく断念。単独で志賀高原のゲンジボタルだけ行ってきたのである。今後も新型コロナウイルスの感染拡大防止に留意しつつ、個人的目標を達成できるよう進めていきたいと思う。
 以下には、今回撮影した写真と10年前に撮影した合成無しの一発露光の写真も掲載した。尚、ゲンジボタルの成虫のマクロ写真は、以前に志賀高原ではない別の場所で撮影したものをイメージとして掲載した。

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ゲンジボタル(志賀高原)の写真

ゲンジボタル(志賀高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 230秒相当の多重 ISO 400(撮影地:長野県下高井郡山ノ内町 / 標高1,617m 2020.8.08)

ゲンジボタル(志賀高原)の写真

ゲンジボタル(志賀高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 162秒 ISO 400 合成なし(撮影地:長野県下高井郡山ノ内町 / 標高1,634m 2010.7.31)

ゲンジボタルの写真

志賀高原のゲンジボタル(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 (撮影地:長野県下高井郡山ノ内町 2010.7.31)

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ネアカヨシヤンマの産卵(2020)

2020-08-02 21:03:12 | トンボ/ヤンマ科

 ネアカヨシヤンマの産卵は、今年は3年ぶりに7月19日に撮影を行ったが、かなり不満足な結果で終わっていたため、今回はリベンジである。観察の知見は見ていれば得られるが、「写真」は、ただ単に産卵している様子を収めれば良いというものではなく、対象となるもの(今回は、ネアカヨシヤンマ)の形態の特徴や色彩の美しさを確実に撮影することが私の目的である。
 ちなみにネアカヨシヤンマは、環境省カテゴリでは準絶滅危惧(NT)にランクされ、37の都府県RDBに絶滅危惧種として選定されており、東京都、神奈川県、千葉県、富山県、長崎県では絶滅危惧Ⅰ類、多くの県で絶滅危惧Ⅱ類としているヤンマである。

 8月1日。気象庁により関東甲信が梅雨明けしたと見られると発表された。去年より8日、平年対比11日遅い梅雨明けである。ようやく夏空が広がったが、この夏はいつもの夏と違う。新型コロナウイルスが再び猛威を振るっているからである。
 4月からの外出自粛、緊急事態宣言解除後は長梅雨。やっと梅雨が明けたと思ったら再び感染拡大。東京では1日の感染者が500人に近づく勢いで増えている。私個人の予定は、外出自粛と長梅雨で8割が消えてなくなった。これからと言う時に、またコロナである。にも関わらず経済優先の Go To トラベル・キャンペーン も行われている。観光地やアウトレットパーク等では3密そのものの光景が報道されており「新しい生活様式」は忘れさられている。
 今後、どのような状況になるのかは分からない。私のように東京に在住する者の外出自粛は各個人のモラルと言う事なのだろうが、月~金の仕事は勿論、休日においても「うつされない」事を確実に保証できるような行動をしなければならないのは言うまでもない。
 私はプロのカメラマンではないから写真撮影は趣味であり「遊び」と言われても仕方がない。ただ、私の写真撮影やホタルをはじめとする昆虫観察は、現地への行き帰りは「車」であり、現場においては一般的なレジャーと違って「人」と接することはない。月~金の仕事に比べれば危険度は「ゼロ」である。これが、せめてもの言い訳である。

 自宅から小一時間の距離にあるネアカヨシヤンマの生息地に9時半到着。濃い青空と浮かぶ白い雲が夏を思わせるが、池と湿地の近くは不快指数が極めて高く、すぐに汗が噴き出す。上空を飛んでいるオスの姿はなく、産卵に入るメスの姿もない。今年は、すでに終盤の予感もあるが、通常、メスが産卵をする時間帯は正午頃が多いので、汗を拭きながら池のほとりで待機である。撮影だけならば正午頃に来ればよいと思うが、早い時間帯から待機することには「観察」という意味がある。時間ごとにどんな行動を示すのかを見ることが重要なのである。
 10時過ぎから、雌雄ともに様々な行動を観察できた。そして、撮影目的である産卵は11時を過ぎたころから始まった。しかし、前回同様に木の枯れた梢で池の水面から2Mも高い場所での産卵。カメラからも5M離れているため、撮っても前回と同じ画像しか得られない。
 気温は33℃まで上昇。より一層耐えがたい空気の中でじっと待っていると、入れ代わり立ち代わりに飛来する数頭のメスの個体毎の性格も分かるようになった。うち1頭は、お気に入りの場所で1時間近くも産卵しており、別の個体は敏感ながらも撮影しやすい至近距離の朽ち木に止まって産卵をしてくれ、目的を達成することができた。どのメスの個体も老熟ではなかったが、1頭だけ現れたオスの個体は、翅が茶色になった個体であった。

 先に述べたように今年は新型コロナと長梅雨の影響で計画した予定がことごとく流れ、チョウ類に関しては全て未達成になっている。今後のコロナと天候状況を踏まえて、4年越しになるチョウの撮影を念頭に入れながら、やはり目的である美麗種であるトンボ、そして「8月のゲンジボタル」を紹介できるよう、感染拡大防止に留意しながら進めていきたいと思う。

以下の掲載写真は、1920×1280ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ネアカヨシヤンマ(メス)の写真
ネアカヨシヤンマ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/60秒 ISO 2500 / Speedlite 550EX(撮影地:2020.8.02 11:19)
ネアカヨシヤンマの産卵の写真
ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/80秒 ISO 2500 / Speedlite 550EX(撮影地:2020.8.02 11:43)
ネアカヨシヤンマの産卵の写真
ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 2500 +1 1/3EV / Speedlite 550EX(撮影地:2020.8.02 11:45)
ネアカヨシヤンマの産卵の写真
ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 2500 +1 1/3EV / Speedlite 550EX(撮影地:2020.8.02 11:44)
ネアカヨシヤンマの産卵の写真
ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/50秒 ISO 2500 / Speedlite 550EX(撮影地:2020.8.02 11:57)
ネアカヨシヤンマの産卵の写真
ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 2500 / Speedlite 550EX(撮影地:2020.8.02 12:17)
ネアカヨシヤンマの産卵の写真
ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/100秒 ISO 2500 / Speedlite 550EX(撮影地:2020.8.02 12:17)
ネアカヨシヤンマの産卵の写真
ネアカヨシヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/100秒 ISO 2500 / Speedlite 550EX(撮影地:2020.8.02 12:17)
ネアカヨシヤンマ(オス)の写真
ネアカヨシヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 2500 -2/3EV / Speedlite 550EX(撮影地:2020.8.02 11:12)

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