ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

キトンボ(飛翔)

2023-10-25 19:57:48 | トンボ/アカネ属

 キトンボ Sympetrum croceolum (Selys, 1883)は、トンボ科(Family Libellulidae)アカネ属(Genus Sympetrum)で、北海道・本州・四国・九州に分布している。主に丘陵地や低山地の森林に囲まれているような水面が開けた池、沼などに生息し、晩秋の最も遅くまで見られるトンボである。環境省版レッドリストに記載はないが、改変を受けやすい環境に生息するため都道府県版レッドリストでは、東京都、神奈川県、千葉県では絶滅、茨城県、群馬県、静岡県、愛知県では絶滅危惧Ⅰ類、栃木県、埼玉県、山梨県などでは絶滅危惧Ⅱ類として記載している。

 この週末は、当初、土曜日の夜から出掛け、信州戸隠の鏡池の紅葉撮影を計画していたが、紅葉が見頃でも無風でなければ水鏡にならないため、天気予報を信じて断念。土曜日の夜からはオリオン座流星群が極大になるのだが、同所では快晴ではないため、これも断念。流星群は、夜空が暗く雲のない場所ならば、どこでも撮れるだろうが、流れ星だけ撮っても、主役を引き立てる脇役がなければ絵にならないので仕方がない。日曜日は、お出かけ日和の秋晴れ。白馬村の夕暮れを撮った後、戸隠に移動することも考えたが、これも月曜朝の風速が1mとあり、やはり水鏡にならないと判断し断念。
 週末ごとに計画はあるものの、天候であきらめることばかり。段々と出不精になり、自宅でのんびり過ごすことに慣れてしまい、出掛けようと思っても色々と理由を探して出掛けない選択をすることの方が多くなってしまっているが、翌日の月曜日も東京は良い天気。このまま自宅で過ごすのはもったいない陽気である。家内からも出掛けた方が良いとのアドバイスもあり、キトンボだけを撮ることを目的に出掛けることにした。何と56日ぶりの写真撮影である。
 キトンボは、これまで栃木県、埼玉県、新潟県、長野県、山梨県で撮影しているが。今回は1時間半で行ける山梨県を選んだ。本ブログに掲載はしていないが、この生息地では、かつて止まっている様子は撮影していた。今回、久しぶりに訪れ、主にキトンボの飛翔撮影を楽しむことにした。

 自宅を午前8時に出発。中央道で進むが、途中から一般道に降りて現地を目指し、10時前に到着。気温は16℃。池畔を散策すると、オスのキトンボが草に止まっていた。気温が低いのだろう、まだメスは池にはいない。気温が18℃を超えた11時近くになると交尾態も多く現れ、池で産卵する様子も見られるようになった。ただし、この池は岸から数メートル離れた浮島で産卵するため、産卵の様子は非常に撮影し難い。したがって、今回はオスの単独飛翔をメインにシャッターを切った。
 正午を過ぎると、キトンボのペアは一斉に姿を消し、それぞれが単独で樹林の草に止まりだし撮影も終了。平日午後の空いている中央道上りを走って15時に帰宅した。

 今回56日ぶりの写真撮影で出不精を解消し、久しぶりに自然環境の中に身を置いて、その美しさや神秘さを身をもって感じることができた。しかし、写真はそこに生きている様子を写しただけで、キトンボの生態の解明や保全につながるものではなく、単に撮影を楽しんだ私自身のストレス解消でしかない結果である。
 昆虫写真では、特徴が分かる鮮明な図鑑写真であること、生態の一部始終が分かるもの、芸術的であることなどを目指したい。(勿論、ホタルにおいては実現している。)自然風景写真においては、オンリーワンの光景を残したい。有名な景勝地で大勢のカメラマンが訪れる場所でも誰も来ない場所でも、より一層、自然風景と対峙して、一枚の写真として自分自身の心の風景を残したい。そう思っている。チャンスを待つ忍耐と撮影技術や機材も大切だろうが、何より感性を豊かにすることだろう。今後もその努力を惜しみなく続けたい。

参照ブログ記事

  1. キトンボ(連結飛翔)
  2. キトンボ(成熟)

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

キトンボの写真
キトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 320(撮影地:山梨県 2023.10.23 11:21)
キトンボの写真
キトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 500(撮影地:山梨県 2023.10.23 11:24)
キトンボの写真
キトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 2000(撮影地:山梨県 2023.10.23 11:30)
キトンボの写真
キトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 250(撮影地:山梨県 2023.10.23 11:44)
キトンボの写真
キトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 250(撮影地:山梨県 2023.10.23 11:44)
キトンボ交尾態の写真
キトンボの交尾態
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 320(撮影地:山梨県 2023.10.23 11:20)
キトンボ連結飛翔の写真
キトンボの連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 1000(撮影地:山梨県 2023.10.23 11:14)
キトンボ連結飛翔の写真
キトンボの連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 1000(撮影地:山梨県 2023.10.23 11:14)
キトンボの生息環境の写真
キトンボの生息環境
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 1250(撮影地:山梨県 2023.10.23 11:09)
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夏から初秋へ

2023-10-09 15:23:13 | 風景写真/秋

 ブログの更新が一か月空いてしまった。写真は8月下旬以来まったく撮っていない。チョウやトンボ、自然風景も被写体となるものは多くあったが、その多くは、撮影しても過去に写したものと同じような写真になってしまう。新たな目標もあったが、週末の天気に左右され、結局、この週末まで一切出掛けないままでいた。気が付けば、猛暑の夏からようやく秋の気配を感じる気候となり、季節は確実に進んでいることを感じる。
 この一か月以上は、ブログに掲載済みの写真を見直し、特に星景写真においてノイズが目立つもののRAW現像のやり直しを数多く行った。これまで星景写真のRAW現像は、まず Dxo PureRAW というソフトでRAWの最適化を行ってから、Adobe Lightroom Classic で作業を行っていたが、今年4月にアップデートされたLightroom Classic(バージョン12.3)に導入された「AIノイズ除去」を使用し、RAW現像することも多い。両方でRAW現像して良い方を掲載するようにしており、 今回、以下の投稿記事の写真を「AIノイズ除去」に切り替えて再現像し、差し替えた。写真は、差し替えてしまったので、Dxo PureRAW と Lightroom Classic を比較することはできないが、他の投稿記事においては Dxo PureRAW の方が良い場合もあった。写真そのものの良し悪しは別として、所持する機材でノイズの少ない結果を得られることは嬉しい。

 今回の記事では、過去撮影のRAWデータを保存しているファイルの中から、再現像する星景写真を探している時に見つけた2枚と今年撮影した紅葉の2枚を掲載した
 1枚目は、朝霧漂う真夏の高原の朝の光景である。今年の夏は、全国的に猛暑が続き、特に7月下旬以降は38℃以上の危険な暑さも相次いで観測され、1898年から統計を開始した日本の平均気温偏差は過去最高を記録した。それでも標高1,500mを超える高原の朝は涼しく、まさに避暑地であった。2枚目は、少しずつ色づき始めた高原の草原である。フランス印象派の画家が描く絵画のような色彩に、秋の艶やかで寂しい雰囲気を感じて写したものである。3及び4枚目は、今年、山梨県のトンボ池にて撮影したカエデである。緑色の葉から徐々に色付く色彩が美しい。
 気温差に体がついて行かない今日この頃であるが、今年の秋は、美しい「紅葉」に感動したいものである。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

高原の朝(夏)の写真
高原の朝(夏)
高原の草原(初秋)の写真
高原の草原(初秋)
カエデの紅葉の写真
カエデの紅葉
カエデの紅葉の写真
カエデの紅葉
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