桜隠しとは、桜の花に降り積もり、その姿を覆い隠してしまう雪の事。
桜前線も北の大地へ北上し、桜色から新緑に変わる季節になった。今年は色々と計画をしていたものの「鹿沼市板荷の観音桜」を撮影しただけで終わってしまった。満開のタイミングと私の休日がずれたこともあるが、やはり、新型コロナウイルスの感染防止対策として、人が集まる場所を避けたことが大きな理由である。年に一度の美しい姿と瞬間を雪で覆い隠すようにして我慢したのである。
桜隠しは、春の季語の一つである。昔から詩歌に詠まれてきた三大モチーフに「雪月花」、その雪と花の両方が入っているという雅やかで美しい季語ではあるが、やはりマイナスのイメージが強い。
桜隠しは、もともと新潟県東蒲原郡東川村(現在の阿賀町)の方言であることが、『越後方言考』復刻版(小林存著 1975 国書刊行会)に出ており、桜の季節にも雪が降ることが多い地域ならではの言葉なのだろう。ちなみに、東京においても昨年3月29日に満開の桜に雪が積もると言う光景が見られた。東京などにおいては珍しい光景として受け止められてしまうが、「桜隠し」は桜の開花中に降ってその姿を隠してしまうという事象だけではなく、本来は、桜の蕾のほころびを阻止し、人々が待ち望む桜の開花を遠ざけてしまうという意味を持っているのだと思う。
東京は、今年もこのゴールデンウイークに緊急事態宣言が発令されている。新型コロナウイルスの終息は分からず、7月23日の東京オリンピック開会式も不透明である。これらの「桜隠し」の雪解けは、 いつ来るのだろうか・・・早く、晴天の下で咲き誇りたいものである。
写真は、過去に撮影して未掲載(北小倉のしだれ桜を除く)ものをイメージとして掲載した。
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桜隠し(北小倉のしだれ桜)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/4秒 ISO 100 +1 2/3EV(撮影地:長野県安曇野市 2013.4.21 5:47)
雪とヤマザクラ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.3秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:新潟県湯沢町 2013.5.03)
雪とヤマザクラ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.4秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:新潟県湯沢町 2013.5.03)
ヤマザクラ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F48.0 1/200秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県白馬村 2013.4.29)
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