ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

新潟のトンボ池

2022-09-28 18:29:43 | トンボ/ヤンマ科

 新潟のトンボ池は各地域に多数存在しており、これまで4カ所の池にて、オオトラフトンボ、カラカネトンボ、マダラナニワトンボ、キトンボ、ルリボシヤンマ、オオルリボシヤンマ等を観察し撮影してきた。数種が混在して生息している池もあるが、それぞれの種の生息条件に適した環境でなければ生息していない。。今回は、9月の時期には訪れていなかった池にて、時期的に発生しているトンボ類の種数確認と、未確認であったオオルリボシヤンマの青色型メスの探索を行った。
 現地には午前8時半過ぎに到着。この池は、三方が森になっており一見しただけで生物多様性を維持した豊かな池と感じる。実際にジュンサイが水面を覆い、ゲンゴロウも確認している。トンボ類では、アキアカネとヒメアカネ、アオイトトンボ、シオカラトンボを確認。しばらくすると、オオルリボシヤンマのオスが飛翔を始めた。
 オオルリボシヤンマのオスは、池全体で10頭があちこちで縄張り飛翔をしており、オス同士のバトルもひっきりなしに行われている。気が付けばメスも5頭ほど産卵に来ていた。オスがメスを見つければ、付きまとい飛翔を行う。産卵しているメスの側で飛翔しながら待ち、メスが移動すると後を追う。多い時には3頭のオスが1頭のメスの後を追って飛んでいる。この時は、オス同士のバトルはない。
 このオスの行動は産卵を警護しているのではなく、メスと交尾をしたくてかなりしつこく付きまとっているのであるが、メスは一切応じることはない。メスは、最後には隣接する林の中に逃げ込みオスを交わしていた。ヤンマ類では、産卵しているメスを強引に連れ去り交尾する行為がしばしばみられるが、オオルリボシヤンマでは全く見られない。いつ、交尾しているのか不思議である。
 新潟県においては、オスと同じ青色の斑紋である青色型メス(オス型メス)が存在している。ある場所では完全な青色型もいるが、青色の出現には個体差がある。この池のメスを見てみると、ほとんどはノーマルタイプのメスであるが、青色型メスも存在していることが分かった。
 新潟県のトンボ池におけるオオルリボシヤンマの青色型メス(オス型メス)について、並びに他地域における青色型メスに関しては、過去に撮影した以下のページを参照頂きたい。

  1. オオルリボシヤンマの青メス
  2. オオルリボシヤンマ(青色型メス/新潟)
  3. オオルリボシヤンマの青色型メス(松本市)
  4. オオルリボシヤンマ(オス型メス/兵庫)

 以下に掲載した写真は、過去にも様々な場所で撮影した同じシーンばかりであるが、青色型メスの産卵写真は、この池に存在したという記録である。ただし、別の池から飛来した可能性もある。羽化を確認できれば、この池に確実に生息しているという証拠になろう。
 オスの飛翔写真については、ルリボシヤンマのようにホバリングしない本種の飛翔写真を撮るのは、難易度が高いだけに楽しい。体の全て、頭から尾まで、そして体毛までもビシッとピントが合った画像を得たい。そして背景のボケの美しさやヤンマの躍動感を表現したい。写真の写り方を見てお分かりのように、写真2及び3と4とは全く違う。逆光と順光の違いである。ご覧頂く方によって評価は異なるだろが、個人的には逆光で撮影した方が好みである。撮影して分かったことだが、翅がボロボロになっても飛翔している。オオルリボシヤンマの飛翔能力の高さと懸命な生き様を感じた。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

トンボ池の写真
トンボ池
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE / 絞り優先AE F6.3 1/80秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県 2022.9.25 8:51)
オオルリボシヤンマの写真
オオルリボシヤンマ(オスの飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 250 -1/3EV(撮影地:新潟県 2022.9.25 9:17)
オオルリボシヤンマの写真
オオルリボシヤンマ(オスの飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:新潟県 2022.9.25 9:59)
オオルリボシヤンマの写真
オオルリボシヤンマ(オスの飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 200 -1/3EV(撮影地:新潟県 2022.9.25 10:06)
オオルリボシヤンマの写真
オオルリボシヤンマ(青色型メス)の産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 160 -1/3EV(撮影地:新潟県 新潟県 2022.9.25 9:35)
オオルリボシヤンマの写真
オオルリボシヤンマ(ノーマルタイプ)の産卵とオスの付きまとい飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 160 -1/3EV(撮影地:新潟県 新潟県 2022.9.25 9:24)

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枝折峠の滝雲

2022-09-26 21:43:30 | 風景写真/秋

 枝折峠の滝雲は、「一生に一度は見たい絶景!雲の大瀑布」と言われている。それならば、一度は見て撮っておきたいものである。ちなみに「枝折峠の滝雲」は、新潟県魚沼市にある標高1,065mの枝折峠(しおりとうげ)から眺めることができ、奥只見湖や銀山平で発生した大量の雲が雲海となり山の谷間にたまり、谷を埋め尽くした雲が溢れて山の稜線を流れ落ちる自然現象のことである。
 滝雲は、北海道や山形、熊本の阿蘇などでも見ることができるが、枝折峠も含めて、まず雲海が発生しなければ始まらない。9月23日から世間では3連休。しかしながら4週連続で台風が接近。今回の15号は、小型ながら東海地方に大きな被害を及ぼすなどしたが、24日(土)には温帯低気圧に変わり、午後から東京も回復傾向にあった。新潟の天気予報を見れば、24日は雨だが翌25日(日)は朝から晴れ。雲海が出来るに違いない。
 24日(土)は会社に出勤だが、この日は午前中で仕事は終了。14時半に都心の勤め先から、そのまま新潟へ車を走らせた。関越道は既に道が乾いており、群馬県内では青空も見えていたが、関越トンネルを出ると何と雨。小出ICで降りたが、暗い雲が低く垂れこめていた。
 枝折峠は新潟県魚沼市と福島県檜枝岐村を結ぶ国道352号線にあり、魚沼側から国道352号線で行くことができるが、道がかなり狭い。そこで、魚沼市から奥只見湖を結ぶ「奥只見シルバーライン」(全長22.6kmのうち18.1kmがトンネル)を通り、途中の奥只見湖西部の「銀山平温泉」から国道352号線に入り向かう方が良いと聞き向かったが、最後の樹海ラインは、道が細く狭く、車のすれ違いは困難である。ただし、この時間に下ってくる車は当然いない。枝折峠には、18時半に到着。すでに駐車場は半分以上が埋まっていた。皆、考えることは一緒である。雨は、相変わらず降っているが、天気予報を信じて就寝。
 午前3時に目覚ましを掛けたが、2時に目が覚める。空を見上げると星が見えた。頭が冴えてきて眠れない。2時半から早々に準備を開始し出発。気温は12℃で寒い。厚手のシャツを羽織って登山開始である。トイレの脇から越後駒ヶ岳への登山道があり、撮影ポイントは15分ほど登ったところ。駐車場近くの道路からでも撮影できるとあったが、標高の高い所から眺めてみたかった。
  真っ暗な時間に懐中電灯を付けて登らなければならないが、登山道は、細く険しい。こんなだとは想像もしていなかった。一か所だけ危険なところがあり、踏み外せば滑落してしまう。息を切らしながら、ポイントを探すが、真っ暗でどこが良いのか分からない。すでに何カ所かでカメラマンが三脚を立てていたので、その内の一か所で見晴らしが良さそうな所に決め三脚をセットしたが、ここもかなりの急斜面。三脚をしっかりと固定しないと、カメラごと滑落してしまうような場所であった。

 午前3時から待機。一番の目的は、前項の黄道光と滝雲を組合せた写真であったが、眼下には雲海が広がっているものの東方向の空には雲がかかり星は見えない。しばらくすると、雲がなくなり星が見えるようになってきたのだが、今度は雲海が消え始めた。それでも黄道光と天の川は奇麗に見え、写真にも撮ることができた。
  さて、肝心の滝雲はどうであろうか。午前5時頃になると、再び雲海の量が増え始め、溢れた雲海が山の稜線を越え始めた。これが枝折峠の滝雲である。自然現象であるから、雲海が稜線を越える場所や量は、その時によって違う。今回は小規模のようであるが、それでも日の出直後には、まさに大瀑布とも言える光景であり、自然の驚異と神秘を感じた。
  小規模でなければ、50mmレンズで空も入れた全体を写したが、今回は望遠レンズで滝雲の部分を切り取った。また、映像はすべて2倍速で編集していることをご承知いただきたい。

 枝折峠を6時半に出発。美人林や棚田など様々な場所へ寄ることもできたが、20時から日本ホタルの会のオンライン会議があったため、トンボ池一か所だけに立ち寄り、帰路に就いた

関連ブログ記事:滝雲(2024年10月13日/枝折峠)

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

枝折峠の滝雲の写真
滝雲
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 3.2秒 ISO 400 -1 1/3EV(撮影地:新潟県/枝折峠 2022.9.25 5:03)
枝折峠の滝雲の写真
滝雲
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.5秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2022.9.25 5:26)
枝折峠の滝雲の写真
滝雲
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/5秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2022.9.25 5:31)
枝折峠の滝雲の写真
滝雲
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.4秒 ISO 50 -2/3EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2022.9.25 5:36)
枝折峠の滝雲の写真
滝雲
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/20秒 ISO 50 -2/3EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2022.9.25 5:52)
枝折峠の滝雲の写真
滝雲
Canon 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/80秒 ISO 50 -2/3EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2022.9.25 6:10)
滝雲
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秋の星空と黄道光

2022-09-26 15:16:24 | 風景写真/星

 秋の星空と黄道光を新潟県魚沼市の枝折峠で撮影した。

 黄道光は、昨年10月2日に長野県の乗鞍高原にて撮影し「黄道光クロス」として掲載しているが、昇ってきた月が黄道光とかさなってしまい、誤解されやすい写真であったため、場所を新潟に変えて再挑戦である。
 黄道光は、太陽の通り道である「黄道」に沿って伸びる淡い光のこと。黄道付近には彗星からの放出や小惑星同士の衝突で生成された小さな塵がただよっており、それらに太陽光が散乱されて、春は日没後の西の空に、秋は日の出前の東の空に淡い光となって見えるのである。秋は、日の出の約1時間前に東の地平線の上空に光が伸びて、冬の天の川とクロスする。昔は朝日の光と間違えられることが多く“偽りの夜明け(false dawn)”と呼ばれていたこともある。
 さて、乗鞍高原では駐車場に止めた車の脇での撮影であったが、今回は午前3時から越後駒ケ岳への登山道を登り、明神峠までの中間地点にカメラをセットした。かなりの急な登りで滑落しそうな場所もあり、初めての場所の夜の登山は危険だと感じた。日の出は5時33分。その1時間前には黄道光が見えるはずであるが、到着時は東方向は雲が広がっており星がまったく見えなかった。しかし、4時を過ぎた頃から雲がなくなりチャンス到来。何とか秋の星空と黄道光を収めることができた。オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結ぶ「冬の大三角形」そしてオリオン座が美しい。縦位置の写真では、冬の天の川とクロスする様子も捉えることができた。
 星々がほとんど見えなくなってきた5時少し前。新月前の三日月が昇ってきた。よく見ると、月の欠けて見える部分が薄明るく見える。これは、「地球照」(ちきゅうしょう)と呼ばれ、地球からの太陽の反射光で照らされて見える現象である。半月より大きい月になると、地球照を肉眼で観察するのは難しい。月の光っている部分の面積が増えて眩しくなること、そして地球からの反射光も減るためである。こちらは、初撮影になる。

 実は、枝折峠での目的は別にあり、この写真については次回に掲載したいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels (縦写真は683*1024 Pixels)で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

秋の星空と黄道光の写真
秋の星空と黄道光
Canon 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2022.9.25 4:16)
秋の星空と黄道光の写真
秋の星空と黄道光
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2022.9.25 4:23)
三日月と地球照の写真
三日月と地球照
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 2.5秒 ISO 400 -2/3EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2022.9.25 4:51)
三日月と地球照の写真
三日月と地球照
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1.3秒 ISO 400 -1 1/3EV(撮影地:新潟県魚沼市/枝折峠 2022.9.25 4:52)

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ミヤマシジミ

2022-09-19 14:32:51 | チョウ/シジミチョウ科

 ミヤマシジミ Plebejus argyrognomon (Bergstrasser, 1779) は、シジミチョウ科(Family Lycaenidae)ヒメシジミ属(Genus Plebejus)に分類されるチョウ。これまで栃木県、山梨県、富山県で観察し撮影しているので、それぞれで写した写真を掲載しまとめた。

 ミヤマシジミは、翅裏は灰色で、外周に沿ってオレンジの帯が入る。そのオレンジ帯の中にある黒斑に水色の構造色がある点が特徴である。ユーラシア大陸から北米大陸にかけての寒冷地に広く分布する草原性チョウ類で、国内の分布域は本州のみで、分布の中心は関東~中部地方で、食草であるマメ科のコマツナギが生える乾燥した河川敷や堤防の草地、富士山や浅間山、八ヶ岳など火山の裾野に広がる低茎草地に局所的に生息している。
 食草であるコマツナギは日当たりが良く、ススキなど背の高い草本が生育しない環境を好む。河川の増水や植生遷移の影響を受けない乾燥した草地が長期間安定的に存在することがミヤマシジミの生息条件にもなっている。
 ミヤマシジミは、近年の河川改修や護岸工事、草刈りの放棄による植生遷移等により、全国的に激減している。東京大学の調査では、1950年以降現在までに記録されてきた確実な産地と、未発表の確認産地の計16都県約300市町村のうち、現在絶滅したと思われる産地はおよそ6都県約140市町村に達し、この数は実に半数近くにのぼる。本種の分布推移を過去10年ごとに比較すると、1970年以降から生息地が大幅に減少し、特に分布の辺縁部や関東周辺で著しいことを明らかにしている。本種は、環境省版レッドリストでは、絶滅危惧IB類にランクされており、都道府県版レッドリストでは、山梨県・埼玉県・群馬県・福島県で絶滅危惧I類に、静岡県・長野県・岐阜県・富山県・新潟県・山形県・栃木県では絶滅危惧Ⅱ類に選定している。
 また本種の幼虫は、アリと共生関係を結んでいることが近年の研究で分かっている。共生しているアリ類の種としては、クロオオアリ、クロヤマアリ、トビイロケアリの3種が確認されており、ミヤマシジミの生息には、アリの生息も必要である。
 山梨県の生息地は、富士山の火山灰が積もった草原で、富山県と栃木県は、大きな河川の河川敷で増水の影響を受けない高さにあるが、いずれの生息場所もかなり局所的で、十数メートル四方でしか発生していない。成虫は食草であるコマツナギの周囲を離れることないようである。
 どの生息地も草刈りは一切行われていないが、栃木県の生息地ではススキやつる性の植物が進出し、過去の状況に比べてコマツナギはかなり減少傾向にある印象だ。このままでは、ミヤマシジミの生息数は年々減少していくものと思われる。継続して観察し、状況を把握していく必要があるだろう。

 この週末は台風14号が鹿児島に上陸し、その影響で関東も土砂降り時々晴れの天気である。九州中国方面で被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げたい。
 次の週末以降は、天気次第ではあるが、雲海が滝のように流れる様子と星空の組合せ、そして秋ならではのトンボ達を追いかけたいと思っている。

参照:ミヤマシジミ属

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1/250秒 ISO 250(撮影地:栃木県 2021.9.12 8:47)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/320秒 ISO 320 +1EV(撮影地:栃木県 2021.9.12 8:05)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/320秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影地:栃木県 2022.9.16 7:21)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/250秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影地:栃木県 2022.9.16 7:20)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 800 +1EV(撮影地:栃木県 2021.9.12 8:48)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 500(撮影地:富山県 2016.5.28 9:20)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 250 +1EV(撮影地:栃木県 2013.9.28 8:20)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/250秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:山梨県 2013.8.14 6:47)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 500(撮影地:富山県 2016.5.28 9:21)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 640(撮影地:富山県 2016.5.28 9:21)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/160秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:山梨県 2013.8.14 6:48)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/250秒 ISO 1250 +2/3EV(撮影地:栃木県 2022.9.16 7:19)
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ(少しだけ青い鱗粉が出現した秋型のメス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/125秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:山梨県 2013.8.14 6:42)

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キタキチョウとツマグロキチョウ

2022-09-19 13:22:42 | チョウ/シロチョウ科

 日本に分布しているキチョウ属(Genus Eurema)は、以下の4種が知られている。

  • タイワンキチョウ Eurema blanda arsakia (Fruhstorfer, 1910)
  • ツマグロキチョウ Eurema laeta betheseba (Janson, 1878)
  • キチョウ Eurema hecabe brevicostalis Butler, 1898
  • キタキチョウ Eurema mandarina mandarina (de l'Orza, 1869)

 上記の内、キチョウとキタキチョウは同一種とされていたが、DNA分析によって奄美諸島以南の南西諸島に分布しているものをキチョウ(ミナミキチョウ)として区別された。尚、タイワンキチョウは八重山諸島だけに分布するが、キタキチョウは、秋田・岩手県以南の本州、四国、九州、南西諸島に分布し、見た目だけでは同定が難しい。
 今回は、これまでに撮影したキタキチョウとツマグキチョウを比較する意味でまとめてみた。

 キタキチョウは、ネムノキ、ハギ類のマメ科の植物が食草で、平地~山地の樹林の周辺や草地や畑、市街地などでごく普通に見られるチョウである。
 5月下旬頃から発生し、以降連続的に(5~6回)発生して晩秋に至るが、幼虫期の日長と温度によって夏型と秋型の季節型が現れる。季節型には、形態的な差異があり、夏型は翅表外縁の黒帯の幅が広いが、秋型は黒色の縁が先端に少し残るか、もしくはない。初秋の頃は、夏型と秋型が混棲するために個体数が多く、晩秋になると秋型のみが現れ、そのまま成虫で越冬する。
 様々な花に止まって吸蜜するが、忙しなく移動する。夏には、湿った場所や河原などで吸水している姿も見ることができるが、翅を開くことはない。

 ツマグロキチョウは、本州(宮城県以南)、四国、九州に分布し、乾燥した河川敷や堤防の草地などに生息している。夏型と秋型の季節型があり、秋型では前翅の先端が直角に角ばり後翅の裏面に暗色の筋状紋が現れるため、キタキチョウとは比較的簡単に区別する事ができるが、夏型での区別は難しい。成虫は夏と秋に発生し成虫で越冬する。夏型は発生地付近にいるが、秋に発生する秋型は生息地を離れた場所にも拡散して見られる。
 キタキチョウがマメ科植物の多くを食べるのに対し、本種はマメ科のカワラケツメイのみを食草としている。カワラケツメイは主に河川の冠水地に生育する高さ30cm程度の一年草で、他の植物が生えにくいような乾燥した貧栄養の礫地に生育する。昨今では、河川改修や護岸工事、草刈りの放棄による植生遷移等でカワラケツメイが減少し、ツマグロキチョウも全国的に激減している。
 環境省版レッドリストでは絶滅危惧IB類にランクされており、都道府県版レッドリストでは、東京都、千葉県、神奈川県で絶滅、茨城県、埼玉県、山梨県、群馬県、長野県、滋賀県、大阪府、香川県で絶滅危惧I類、その他多くの自治体で絶滅危惧Ⅱ類および準絶滅危惧種に選定している。(尚、神奈川県では、相模原市の市街地に生息していることが、2011年4月11日の毎日新聞に掲載されている。)

以下の掲載写真は、1024*683 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

キタキチョウの写真
キタキチョウ / 夏型
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 200(撮影地:東京都 2016.10.2)
キタキチョウの写真
キタキチョウ / 夏型の交尾
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 1250(撮影地:東京都 2010.08.29)
キタキチョウの写真
キタキチョウ / 夏型
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 500 +1/3EV(撮影地:山梨県 2013.8.27)
キタキチョウの写真
キタキチョウ / 秋型
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/250秒 ISO 800(撮影地:東京県 2011.10.18)
キタキチョウの写真
キタキチョウ / 秋型
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 500 +1EV(撮影地:三重県 2020.10.31)
ツマグロキチョウの写真
ツマグロキチョウ / 秋型
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 1000 +1EV(撮影地:栃木県 2021.9.12)
ツマグロキチョウの写真
ツマグロキチョウ / 秋型
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 320 +1EV(撮影地:栃木県 2013.09.28)
ツマグロキチョウの写真
ツマグロキチョウ / 秋型
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 400 +1EV(撮影地:栃木県 2013.09.28)

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ルリシジミ

2022-09-18 10:07:51 | チョウ/シジミチョウ科

 ルリシジミ Celastrina argiolus (Linnaeus, 1758)は、シジミチョウ科(Family Lycaenidae)ルリシジミ属(Genus Celastrina)のチョウで、全国的に分布し、低地から山地の明るい草地などで普通に見られるシジミチョウである。翅の表面は、オスは明るい青藍色、メスは外縁部が広く黒褐色、裏面は白の地色に黒色の斑点がある。  蛹で越冬し、年3~4回、3~11月にかけて発生する。幼虫のおもな食草は各種のマメ科植物の花蕾や新葉であるが、ときにバラ科、タデ科、ミズキ科、ミツバウツギ科、ヒルガオ科、ブナ科、ミカン科、シソ科などでも幼虫が成育することが知られている。

 ルリシジミは、ブログ(ホタルの独り言PartⅠ)では数枚登場しているが、当ブログでは1枚だけしか掲載しておらず説明もない。今回、翅が擦れてはいるがメスの半開翅を初めて撮影したので、過去に撮ったオスの写真と共に掲載した。
 ヤマトシジミやツバメシジミ等の極普通に見られる種でも、春から秋までじっくり観察してみると、季節型があったり青メスが発生したりと面白く撮影頻度も高いが、ルリシジミにおいては意外と出会いが少なく、これまでほとんど撮ってこなかった。というより、ルリシジミを撮ろうと初めから目的にして出かけたことがなく、たまたま出会えた時に気が向けば撮影するだけであった。
 今回撮影したメスは、残念ながら翅が擦れて色あせた個体であったが、新鮮な時期であればとても美しく、発生の季節によっても色の濃さが異なるので、来年は、春から秋までルリシジミに向き合いたいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ルリシジミの写真
ルリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 400(撮影地:東京都 2011.4.16 9:17)
ルリシジミの写真
ルリシジミ(オスの半開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 -2EV ISO 500(撮影地:東京都 2014.6.14 14:54)
ルリシジミの写真
ルリシジミ(オスの開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 -2 2/3EV ISO 500(撮影地:東京都 2014.6.14 15:03)
ルリシジミの写真
ルリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 -1EV ISO 3200(撮影地:東京都 2014.6.14 15:07)
ルリシジミの写真
ルリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 +1/3EV ISO 200(撮影地:栃木県 2022.9.16 7:59)
ルリシジミの写真
ルリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 +1/3EV ISO 500(撮影地:栃木県 2022.9.16 8:00)
ルリシジミの写真
ルリシジミ(メスの半開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/250秒 ISO 640(撮影地:栃木県 2022.9.16 6:41)
ルリシジミの写真
ルリシジミ(メスの半開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/320秒 +1/3EV ISO 1000(撮影地:栃木県 2022.9.16 7:43)
ルリシジミの写真
ルリシジミ(メスの半開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 +1/3EV ISO 800(撮影地:栃木県 2022.9.16 7:47)

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アカネ属の連結飛翔と産卵

2022-09-15 11:35:25 | トンボ/アカネ属

 アカネ属の連結飛翔と産卵について、すべての種類ではないがその様子を紹介したい。
 トンボは、雌雄が連結したまま飛翔するという他の昆虫にはない技を見せてくれる。連結は、その様子から「タンデム」(バイクで二人乗りすること)と呼ばれ、必ず前の個体がオスで、そのオスが腹端の付属器でメスの頭部を挟むことで形成されている。朝のうちに交尾を終えると、種類によっては連結態のまま産卵へ移行する。これが、アカネ属ではしばしば目にする連結飛翔産卵である。
 トンボは、メスが他のオスに奪われてしまうと、メスの生殖器に入っている精子を掻き出して自分の精子を渡すと言われている。オスは自身の精子の受精を確実なものとするために、交尾後、メスが産卵するまで他のオスから守らなければならない。そのため、オスとメスが連結したまま産卵するのである。
 トンボ類の産卵の仕方には、大きく分けて二通りある。一つは、植物の組織内に産みこむもので、もう一つは、飛びながら産むものである。アカネ属は後者で、連結飛翔しながら打水産卵、打泥産卵、打空産卵を行うが、種類によっては2~3種類の産卵スタイルを使いこなす。稀に途中で連結を解いてメスの単独産卵に移行することもある。その場合、オスは上空でホバリングしながらメスの産卵を見守ることが多い。
 連結飛翔産卵は、雌雄の見事な飛行技術による。トンボの飛翔の安定性は、黄金バランスによるものと考えられている。体長、翅の長さが黄金比に近く、翅は、フラクタル(入れ子)構造をしており、毎秒約20回程度の羽ばたき運動における翅の”剛性”を高めている。また、翅の先端はカテナリー関数の形をしており、風の抵抗を最小限度にする構造であり、4枚の翅にそれぞれ専用に付いている筋肉を使い、4枚の翅を巧みに操り重心をとりながら、ホバリング・急旋回・高速飛行などの様々な飛翔を可能にしている。
 雌雄の連結飛翔産卵は、トンボの飛行技術の極みと言えるだろう。雌雄の息の合ったコンビネーションにも見えるが、瀕死のメスとの連結飛翔が観察されていたり、オスの体温がメスより高いとも言われており、実際はオス主動で行われていると考えられている。

参考:東海大学橋本研究室/バイオインスピレーション手法に基づく飛翔昆虫の運動メカニズムの解明

以下の掲載写真は、1024*683 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で表示されます。

キトンボ
写真1.キトンボ / 連結飛翔
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400(撮影地:埼玉県 2010.10.23)
オオキトンボ
写真2.オオキトンボ / 連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 640 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07)
ミヤマアカネ
写真3.ミヤマアカネ / 連結飛翔
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F9.0 1/250秒 ISO 800 +2/3EV(撮影地:埼玉県 2010.11.6)
ノシメトンボ
写真4.ノシメトンボ / 連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F4.0 1/500秒 ISO 320 +1(撮影地:千葉県 2014.10.11)
コノシメトンボ
写真5.コノシメトンボ / 連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 125 +2/3EV(撮影地:長野県 2019.9.14)
マダラナニワトンボ
写真6.マダラナニワトンボ / 連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 640 +2/3EV(撮影地:新潟県 2017.10.08)
タイリクアカネ
写真7.タイリクアカネ / 連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F8.0 1/1200秒 ISO 1250 -2/3EV(撮影地:長野県 2020.9.21)
ヒメアカネ
写真8.ヒメアカネ / 連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F8.0 1/1200秒 ISO 1250 -2/3EV(撮影地:長野県 2020.9.21)
ネキトンボ
写真9.ネキトンボ / 連結打水産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/1000秒 ISO 200(撮影地:東京都 2010.9.26)
ナツアカネ
写真10.ナツアカネ / 連結打空産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 640 +2/3EV(撮影地:東京都 2014.10.18)
リスアカネ
写真11.リスアカネ / 連結打空産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 1000(撮影地:栃木県 2021.09.12)
ナニワトンボ
写真12.ナニワトンボ / 連結打空産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 1250(撮影地:愛媛県 2018.10.07)
アキアカネ
写真13.アキアカネ / 連結打泥産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250(撮影地:神奈川県 2016.11.6)
マユタテアカネ
写真14.マユタテアカネ / 連結打泥産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 500 +1/3(撮影地:千葉県 2014.10.4)
ムツアカネ
写真15.ムツアカネ / 連結打泥産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/640秒 ISO 200(撮影地:長野県 2016.8.20)

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赤富士と中秋の名月

2022-09-11 20:31:14 | 風景写真/富士山

 赤富士と中秋の名月の組合せを山梨県の山中湖畔で撮影。

 2022年9月10日は、十五夜で中秋の名月。私が撮影に行ける日で、しかも満月になる中秋の名月は2012年9月30日以来で、何と10年ぶり。しかし、土曜日は19時まで仕事。職場は羽田空港に隣接しているが、月と飛行機を重ねるのでは映画「ET」のようであるし、単に月だけを撮ってもつまらない。その写真撮影でもそうだが、これまで撮ったことがない絵にしたい。そこで日付は変わってしまうが、朝陽で赤く染まる赤富士と中秋の名月を撮ろうと半年前から計画していた。
 問題は天気である。台風や秋雨前線の影響により、このところ天候が不安定で週間予報でも曇りベース。ただし、予報はあくまでも予報。実際に10日(土)は午前10時頃から晴れになり、19時に退社する時には、素晴らしい中秋の名月が浮かんでいた。
 中秋の名月が満月というチャンスは来年もあるが、月の入り時刻が早いため赤富士と写すことはできない。その次のチャンスは2030年。最終的には、行って見なければ分からない。運が良いことを祈って、職場からそのまま山中湖へ向かった。羽田から環状八号線で用賀まで行き、そこから東名高速に乗る。足柄SAで食事をし御殿場から山中湖畔を目指した。現地には21時過ぎに到着。上空には雲の切れ間があるが、残念ながら富士は全く見えない。朝には雲が無くなっていることを願いながら車中泊。

 中秋の名月が富士山頂と重なるパール富士も考えたが、今回は仕事で時間的に不可能である。過去には「パール富士(スノームーン)」を撮っているし、また、単に満月と富士の組合せなら「コールドムーン」として撮影済み。やはり、これまで撮ったことのない赤富士と中秋の名月を組み合わせた絵にしたい。
 「赤富士」と言えば、葛飾北斎の代表作「富嶽三十六景」シリーズの一図「凱風快晴」が浮かぶ。赤富士は、晩夏から初秋の間に富士山が赤く見えるときを指し、紅富士は冬の冠雪した富士山が赤く見えるときを指している。また赤富士は、特別に縁起がいいものとされている。その赤富士の隣に、1年で最も美しいとされる月を置きたいのである。
 11日午前3時半起床。雲はほとんどなく富士山は奇麗に見える。月も美しい。日の出時刻は、5時24分で月の入り時刻は5時52分。構図的には難があり、「赤富士を転げ落ちる中秋の名月」のようになってしまったが、赤富士の縁起のよさと中秋の名月のパワーを何とか一枚に収めることができた。この組合せは、他の場所では撮れなかっただろう。

 5時半に現地を引き上げ、予定では反対側の「白糸の滝」を撮るつもりではいたが、結局そのまま帰ることにした。帰路の中央道では八王子を境に都心方面は厚い雲が広がっていた。次は、冬のパール紅富士を撮りたいと思っている。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

中秋の名月の写真
中秋の名月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/5秒 ISO 160(撮影地:山梨県山中湖村 2022.9.11 5:17)
富士と中秋の名月の写真
富士と中秋の名月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 5秒 ISO 640(撮影地:山梨県山中湖村 2022.9.11 4:10)
赤富士と中秋の名月の写真
赤富士と中秋の名月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 2.5秒 ISO 160(撮影地:山梨県山中湖村 2022.9.11 4:58)
赤富士と中秋の名月の写真
赤富士と中秋の名月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/6秒 ISO 160(撮影地:山梨県山中湖村 2022.9.11 5:22)
赤富士の写真
赤富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/10秒 ISO 160(撮影地:山梨県山中湖村 2022.9.11 5:25)
赤富士と中秋の名月

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絶滅危惧種の日

2022-09-04 18:20:48 | その他昆虫と話題

 絶滅危惧種とは、絶滅のおそれがある動植物の種や亜種のことである。種が絶滅するという事自体は、地球上で何度も繰り返されてきた自然な現象だが、近年、異常ともいえる速度で絶滅する生物が増えてきている。ちなみに毎年9月7日は絶滅危惧種の日である。1936年9月7日、オーストラリアの動物園で飼育されていたフクロオオカミの最後の1頭が死亡し、フクロオオカミが地球から絶滅した。これにちなんで、動植物の絶滅のリスクを認識し、その保護について考えることを目的に1996年にオーストラリアで(Threatened Species Day)が制定された。良い機会なので絶滅危惧種についてまとめておきたいと思う。

 野生生物の種や亜種の生息状況を調査し、絶滅の危険度を評価してまとめたものが「レッドリスト」(RL)である。レッドリストは国際的には国際自然保護連合 (IUCN)が作成しているが、各国が作成するもの、またそれぞれの国の地域で作成するものなど、さまざまな種類がある。日本では、環境省の他、各都道府県やNGOなどが作成しているものもある。環境省版レッドリストは対象種の日本全体での生息状況等をもとに、都道府県版レッドリストは各都道府県等内での生息状況等をもとに、それぞれ評価されている。それゆえに、都道府県版レッドリストにのみ掲載されている種もある。例えば、ゲンジボタル。環境省版レッドリストに記載はないが、埼玉県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)としている。
 環境省版レッドリストは、日本に生息又は生育する野生生物について、専門家で構成される検討会が、生物学的観点から個々の種の絶滅の危険度を科学的・客観的に評価し、その結果をまとめたもので、捕獲規制等の直接的な法的効果を伴うものではなく、社会への警鐘として広く情報を提供することにより、様々な場面で多様な活用が図られるものである。
 環境省版レッドリストは、おおむね5年ごとに全体的な見直しがされ、最新の改訂版は、令和元(2019)年度に公表したレッドリスト2020であり、レッドリスト2019と比較して絶滅危惧種が40種増加し、合計3,716種となっている。
 尚、「レッドデータブック」(RDB)とは、レッドリストに掲載されている種の生息状況や絶滅危惧の原因などもまとめた解説本のことで、レッドリストより詳細な情報が記載されており、約10年ごとに見直しが行われている。

 レッドリストでは、種毎に絶滅のおそれの程度に応じたカテゴリー分けを以下のようにしている。

  1. 絶滅 Extinct (EX) 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種
  2. 野生絶滅 Extinct in the Wild (EW) 飼育・栽培下、あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種
  3. 絶滅危惧Ⅰ類 Critically Endangered +Endangered (CR+EN)
    • 絶滅危惧ⅠA類 Critically Endangered(CR) ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの。
    • 絶滅危惧ⅠB類 Endangered(EN) ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの。
  4. 絶滅危惧Ⅱ類 Vulnerable (VU) 絶滅の危険が増大している種
  5. 準絶滅危惧 Near Threatened (NT) 存続基盤が脆弱な種
  6. 情報不足 Data Deficient (DD) 評価するだけの情報が不足している種

 絶滅危惧Ⅰ類における分類では、以下のような基準で判断されている。

  1. 絶滅危惧ⅠA類
    • 過去10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、90%以上の減少があったと推定され、その原因がなくなっており、且つ理解されており、且つ明らかに可逆的である
    • 出現範囲が100k㎡未満もしくは生息地面積が10k㎡未満であると推定される
    • 個体群の成熟個体数が250未満であると推定される 等
  2. 絶滅危惧ⅠB類
    • 過去10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、70%以上の減少があったと推定され、その原因がなくなっており、且つ理解されており、且つ明らかに可逆的である
    • 出現範囲が5,000k㎡未満もしくは生息地面積が500k㎡未満であると推定される
    • 個体群の成熟個体数が2,500未満であると推定される 等

 レッドリスト2020では、昆虫類875種類が記載され増加傾向にある。なかでも絶滅の危険度が高い絶滅危惧Ⅰ類では、トンボとチョウ類だけを見てみると絶滅危惧IA類(トンボ5種、チョウ21種)絶滅危惧IB類(トンボ11種、チョウ31種)が記載されている。
 これまで、トンボ類では106種、チョウ類では148種類の図鑑写真及び生態写真を撮影し、ブログ(ホタルの独り言 Part 1を含む)に掲載し紹介してきたが、もちろん絶滅危惧種も多く含まれている。以下には、過去に撮影した環境省カテゴリー絶滅危惧Ⅰ類のトンボとチョウ類のリストと写真を掲載した。どの種も、それぞれが生息できる環境の悪化や消失によって減少しており、絶滅危惧ⅠA類では国内数か所でしか生息していないが、特別な生息地等保護区にして大がかりな保護対策を行っていたり、「国内希少野生動植物種」に指定され捕獲や譲渡等が原則禁止となっている。もはや、環境の復元により生息地を拡大させることは難しく、現状の生息地を保全するしかないという状況である。絶滅危惧ⅠB類においては、保護対策が行われていない種がほとんどであり、すでに数カ所の産地では絶滅し、残りの産地でもいつ絶滅に追いやられても不思議ではない状態が続いている。
 これら絶滅危惧種は、里地里山環境や農業と密接な関係がある場合も多く、その背景は様々である。それぞれの生息環境を保全することが重要だが、地権者ではない他人が安易に「保全」という言葉を振りかざすことは無責任である。しかしながら、このままの状況が今後も続けば、絶滅危惧種はさらに増え、絶滅する種も多くなってしまうだろう。
 我々にできることは何か。例えば、身近な自然に関心を持つ、外来種を自然の中に放さない、森や川などに出かけたときは、ゴミはすべて持ち帰る等ができる。ネットオークションサイトのヤフオク!では、絶滅危惧種、準絶滅危惧種であるオオクワガタ、ニホンザリガニなど4,000種以上を対象に出品停止にするなど、企業も取り組みを始めている。
 私は、ホタルに関しては、環境も含めた保護保全、そして再生の指導を全国的に行っているが、その他の絶滅危惧種に関しては、それぞれの種の生態を学び理解し、その記録を写真や映像で残し発信していきたいと思う。私たちにできる一つ一つは小さなことだが、引いてはそれが地球の生態系を守ることに繋がり、これ以上絶滅危惧種を増やさないことになる。
 絶滅危惧種の日を迎えるに当たり、皆で改めて考えてみようではないか。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。サムネイルの写真をクリックしますと拡大表示されます。

  • 絶滅危惧ⅠA類
    • ベッコウトンボ Libellula angelina
    • ゴマシジミ関東・中部亜種 Phengaris teleius kazamoto
    • オオルリシジミ本州亜種 Shijimiaeoides divinus barine
ベッコウトンボの写真 ベッコウトンボの写真 ゴマシジミ関東・中部亜種の写真 ゴマシジミ関東・中部亜種の写真 オオルリシジミ本州亜種の写真 オオルリシジミ本州亜種の写真
  • 絶滅危惧ⅠB類
    • オオキトンボ Sympetrum uniforme
    • オオセスジイトトンボ Paracercion plagiosum
    • オオモノサシトンボ Copera tokyoensis
    • コバネアオイトトンボ Lestes japonicus
    • ヒヌマイトトンボ Mortonagrion hirosei
    • マダラナニワトンボ Sympetrum maculatum
    • アサマシジミ本州亜種 Plebejus subsolanus yaginus
    • クロシジミ Niphanda fusca
    • シルビアシジミ Zizina emelina
    • ツマグロキチョウ Eurema laeta betheseba
    • ヒメシロチョウ Leptidea amurensis
    • ミヤマシロチョウ Aporia hippia japonica
    • ミヤマシジミ Plebejus argyrognomon praeterinsularis
    • ヤマキチョウ Gonepteryx maxima maxima
オオキトンボの写真 オオセスジイトトンボの写真 オオモノサシトンボの写真 コバネアオイトトンボの写真 ヒヌマイトトンボの写真 マダラナニワトンボの写真 アサマシジミ本州亜種の写真 クロシジミの写真 シルビアシジミの写真 ツマグロキチョウの写真 ヒメシロチョウの写真 ミヤマシロチョウの写真 ミヤマシジミの写真 ヤマキチョウの写真

参考

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