ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

月出づ(富士山と月)

2021-01-31 18:25:04 | 風景写真/富士山

 冬本番の1月末。前年に比べれば寒く、特に日本海側では雪が多く大変な日々を過ごしていらっしゃる方々には、心よりお見舞い申し上げたい。太平洋側は乾燥が激しい時期で、信州においても霧氷やダイヤモンドダストが見られる事は少なく、毎年、私にとって遠征が一番少ない時期であるが、今年は、空が澄み切った冬ならではの星空を撮りたいと思っている。
 しかしながら、世の中は新型コロナウイルスの感染拡大防止のための緊急事態宣言が出されて3週間が経過しても、未だ感染者は減少していおらず、一人一人がさらなる感染防止策を講じていかなければならない。不要不急の外出は避け、県境をまたぐ移動をしないことが求められているが、それに反して出かけることに躊躇はない。平日は通常通りに出勤し、多くの人々と接する業務。休日の外出も感染対策を確実に行って、写友や仲間を誘うことなく、単独で誰にも接しないことを徹底している。今回は、前記事に続いて「月」の写真を撮ってきたので掲載したいと思う。
 ちなみに、撮影した翌日は、一日かけて現像。そしてブログの記事を書くことで家にこもっている。

 1月29日。午前4時半に出勤のため家を出た時に、ふと見上げた西の空には丸い月。今年最初の満月である。その日の夕方18時半頃には、都会の高層ビルの間に大きく見えていた。1月の満月をアメリカでは「ウルフムーン」と呼び、飢えた狼の遠吠えになぞって名付けられたと言われているが、コンクリートジャングルの中から見る満月に、日ごろのストレスを発散するように吠えながら、よし明日は月を撮ることにしようと思い立った。2月に予定している星景写真撮影のロケハンと練習を兼ねて、30日(土)に静岡県の富士宮市まで出かけてきた。
 2月上旬は冬の天の川、中旬以降は夏の天の川をそれぞれ富士山とともに撮る計画であるが、今までとは違った場所から撮りたい。その候補地の一つとして考えていた場所から月の出の位置を調べると、ちょうど富士の山頂と重なった。いわゆる「パール富士」が撮れるかも知れない。天気は快晴。午後13時に自宅を出発し、現地へ向かった。
 富士は先日の降雪で真っ白に雪化粧。ようやく冬の富士山らしい姿が中央道を走りながら見えた。途中、前回に撮影した精進湖に立ち寄ってみたが、今回はまったく凍っておらず、また風が強く波立っていたため逆さ富士は望めず、そのまま周遊道路を走り抜け、予定より早い時間に今回の撮影ポイントに到着。
 この撮影ポイントは、光害がないこと、富士の周囲に何もなく見渡せること、できれば誰も来ないことなどを条件にGoogleマップで見つけた場所である。着いてみると、条件がすべて合致しており、思った以上の場所であった。月の出る時間は18時42分。富士から顔を出すのは、およそ1時間後。まずは、西日を浴びた夕暮れの富士山「茜富士」、そして月が出るまで星景を撮ることにした。

 19時。次の記事で掲載しようと思う星景を撮り終え、レンズを変えて富士の山頂付近にカメラを向けた。徐々に富士の向こうが明るくなるが、月のでは、どうも山頂ではなく稜線のようである。ここで気が付いた。撮影ポイントからは、月出の時間には富士の山頂がピンポイントになるが、3,000nを超える富士から月が顔を出すまでは1時間ほどかかる。月はその一時間でわずかばかり東側にずれるのである。結果として、富士の稜線からの月出となった。
 富士の山頂に出る(沈む)太陽は「ダイヤモンド富士」と呼ばれ、撮影者には人気があるが、私は撮ろうとは思わない。なぜなら富士山が確実にシルエットになるからである。それよりも薄っすらと見える富士の雄姿と浮かぶ月の方が、幻想的ではないだろうか。日没直後の明るい時間に、富士の上に大きな満月が上がれば一番絵になるが、チャンスは多くはない。一度は「パール富士」チャレンジしてみたいと思う。
 今回は、満月から1日経過しており、もともとパール富士でもなく、2月の星景写真ロケハンのついででもある。時刻はすでに空が真っ暗な時間。月はかなり明るく、富士と月をバランスよく綺麗に写すことが難しい状況であったが、日本画のような雰囲気のある結果を残すことができた。

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茜富士の写真

茜富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/13秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 17:13)

茜富士の写真

茜富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/20秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 17:11)

マジックアワーの写真

マジックアワー
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 1/250秒 ISO 400(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 17:29)

富士山と月の写真

富士山の月出前
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 2.5秒 ISO 3200(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 19:05)

富士山と月の写真

富士山の月出前
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 1.6秒 ISO 1600 -1 1/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 19:44)

富士山と月の写真

富士山と月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 1.3秒 ISO 1000 -1 2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 19:45)

富士山と月の写真

富士山と月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1.3秒 ISO 1600 -1 2/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 19:46)

富士山と月の写真

富士山と月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1.6秒 ISO 1600 -1 1/3EV(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.30 19:49)

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星月夜

2021-01-22 22:00:41 | 風景写真/星

 星月夜とは、秋の季語で、星と月の出ている夜ではななく、星の光が月のように明るく見える夜のことである。絵画「ひまわり」で有名なオランダのポスト印象派の画家・ゴッホも星月夜を描いている。そんな星が瞬く光景に憧れて星景写真を撮るようになったが、なかなか奇麗には撮影できていない。
 そもそも私が暮らす東京では、ほとんど星が見えない。そのため「満天の星」(満天の星空という表現は、重複表現なので間違い)を求めて、人工的な光害の少ない山梨県や長野県まで行くのだが、気を付けたいのが「月」の存在である。月が出ていれば、星月夜のような光景を撮ることができない。しかしながら、街明かりが届かない場所で見る月夜は、表現できないほど美しいことにも気付かされる。
 「月」は、日本人にとって昔から欠かせないものとして詩歌や小説に登場しきてきたが、世界中でも月にまつわる伝説や神話があり、月の神秘的な力が信じられてきた。海の潮の満ち引きやウミガメやサンゴの産卵に関係していることは良く知られたことであるが、我々人間にも様々な影響を及ぼしている。月の満ち欠けとバイオリズムは深い関係性があり、満月の夜に犯罪や事故が増えるのも周知の事実である。
 月夜を美しく思うのは、月のパワーを体で感じているからこそではないだろうか。

 今回は、あえて月も入れた星空の写真を掲載してみた。2018年に信州の開田高原で撮影したものを再現像し、蔵出し写真を含めて掲載した。ゴッホの星月夜には、星が輝く夜空を背景に大きな糸杉が描かれている。糸杉はキャンバスの下端から上端まで描かれており、それは土地と空を視覚的に接続する役割を果たしているが、私は、輝く月の前景に一本のナラの木を、また、ムンクの星月夜と同じように手前には雪景色を配置した。
 さすがに月明りによって「満天の星」ではないが、それでも東京の夜空では見ることのできない輝く星々と、薄いオレンジ色に輝く月、そして地上における「生」の象徴とした「一本のナラの木」との組み合わせに神秘の力を感じた。

 開田高原では「満天の星」と「天の川」も撮っており、まさに星月夜という光景も見ているが、今や日本人の7割ほどは、街明かり等の光害の影響で満天の星が見えない場所に暮らしているという。「真砂なす数なき星の其の中に吾に向ひて光る星あり」(夜空を見上げると、砂のように数え切れないほどのたくさんの星。そのなかに、私に向かって光っている星がある。)は、正岡子規の短歌である。私達は、私達それぞれに光ってくれている星の存在すら知らずに、コロナ禍による混沌と混乱が続く今を過ごしてはいないだろうか?

 私は、私のために光ってくれている星を探しに、また出かけようと思うが、真の星月夜(星景写真)は、赤道儀を使わない撮影とその現像方法を新たに学んだので、2月中旬頃の月のない夜、夏の天の川で試そうと思う。

参照

  1. 開田高原 冬の星景
  2. 信州にて天の川

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星月夜の写真

星月夜(開田高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 5秒 ISO 1000(撮影地:長野県木曽町 2018.2.3 21:36)

星月夜の写真

星月夜(開田高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 6秒 ISO 1000(撮影地:長野県木曽町 2018.2.3 21:47)

星月夜の写真

星月夜(開田高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 15秒 ISO 1000(撮影地:長野県木曽町 2018.2.3 21:56)

星月夜の写真

星月夜(開田高原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 20秒 ISO 1000(撮影地:長野県木曽町 2018.2.3 21:57)

星月夜の写真


Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 640 -2EV(撮影地:東京都自宅 2012.1.05 16:58)

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マジックアワー

2021-01-20 14:30:16 | 風景写真/冬

 マジックアワー(魔法の時間)とは、時間帯を指す一般用語ではなく撮影用語である。厳密な定義はないが、時間帯では太陽が地平線に対して+6度から-6度の角度にある頃、すなわち日の出や日の入り前後の数十分間と言われている。空が濃い青色に染まる「ブルーアワー」、昼と夜の間の極わずかな時間において辺り一面が青い光に照らされてみえる「ブルーモーメント」、日の出前に太陽とは反対側に見えるピンク色の帯「ビーナスベルト」など、空がピンク色、オレンジ色、金色、紫色、紺色、青色など徐々に染まり方が変わり、風景が最も美しく撮影できることからマジックアワーと呼ばれている。

 私は、様々な場所において自然風景を撮っているが、撮りたいと思う光景によってはマジックアワーの色彩を期待して出掛けている。空一面が燃えるように赤く染まった朝焼けや夕焼けは、残念ながらまだ一度も撮ったことがないが、真冬における空が澄み渡った雲一つない日没時の色彩とグラデーション、そしてその変化には心が奪われ、癒しや活力などを得て幸福感で満たされる。将に魔法であり、自然のパワーを感じる一時でもある。
 この記事では、過去に撮影した写真の中からマジックアワーの魅力が分かる光景を集めてみた。新型コロナウイルスの影響で様々な不幸がもたらされている今の世の中において、私の写真に魔力はなく手品に近いが、これからも魔法の時間に感謝しながら、大自然からパワーを頂いてコロナ渦を生き抜いていきたいと思う。

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マジックアワーの写真

山中湖から富士の日暮れ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F16 1/4秒 ISO 100(撮影地:山梨県山中湖村 2018.1.13)

マジックアワーの写真

三つ峠から富士の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 1/25秒 ISO 100(撮影地:山梨県富士河口湖 2012.12.31)

マジックアワーの写真

大山千枚田の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 30秒 ISO 100(撮影地:千葉県鴨川市 2018.3.25)

ビーナスベルトの写真

北アルプスの夜明け(ビーナスベルト)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 0.5秒 ISO 100(撮影地:長野県松本市 2012.11.25)

マジックアワーの写真

柳沢峠の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F9.0 30秒 ISO 100 -1EV(撮影地:山梨県甲州市/柳沢峠 2011.1.07)

マジックアワーの写真

戦場ヶ原の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.6秒 ISO 100(撮影地:栃木県日光市/戦場ヶ原 2016.1.02)

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田貫湖から冬の星空

2021-01-14 22:08:31 | 風景写真/星

 山梨県の精進湖にて「子抱き逆さ富士」を撮り終え、静岡県の田貫湖へ移動。元々は田貫沼という小さな沼だったが、1935年に農業用水確保のために堤防が築かれて大きな人造湖となった。ダイヤモンド富士や朝焼け富士の撮影地として人気があり、その時は大勢のカメラマンで賑わう。私は、昨年の1月4日に朝の逆さ富士(写真5)を撮っているが、後にこの場所から「夏の天の川と富士」を撮りたいと思っており、今回は「冬の星空」での試し撮りで出掛けてきた。
 ちなみに富士山の周囲には、田貫湖を含めて全部で6つの湖があるが、富士五湖(富士急行グループの創業者である 堀内良平 氏が命名)は、山梨県側にある火山活動によってできた山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖である。

 日没時刻は16時54分。駐車場に到着したのはすっかり暗くなった18時。駐車車両は他に2台だけ。懐中電灯を付けて昨年の1月4日と同じ場所へ向かった。撮影ポイントはいつくもあるが、湖越しに富士山が一番広く見える場所である。しかし、誰もいない。湖に落ちないように湖岸に三脚をセットし撮影を開始した。
 ポイントから富士山を正面に捉えると、方角は東から北東を狙うことになる。富士の向こうの彼方には、横浜、川崎、東京があるため、その街明かりで空が真っ暗にならないのが難点である。暗い夜空ならば冬の天の川も写るが、元々薄っすらとしか見えない冬の天の川は、このような状況では無理である。しかしながら、この都心の街明かりは、夜の富士山をシルエットとしてくっきりと浮かび上がらせてくれるという美点もある。湖に映る逆さ富士も美しいが、今回は無風で条件が良かったものの湖の大半が凍っており、氷上に映る硬い表情の姿となってしまった。
 当初、タイムラプスも考えていたが、気温はマイナス8℃。この場に1時間半以上も留まる元気はなく、かと言ってカメラを置き去りにしたまま離れた場所にある車の中で待機する勇気もないため、色々と構図を変えたカットを小一時間ほど撮影して終了。帰りがけに、旧上九一色村の展望駐車場からも一枚撮影して帰路に付いた。

 田貫湖から冬の星空を写した結果は以下の通りである。星景写真は天体写真ではない。星が主役ではなく、周囲の情景と溶け合う事で一枚で作品となる。良し悪しは、その一枚からどれだけロマンを感じ取れるかであると思う。現在のカメラとレンズで赤道儀を使わず、一発露光で合成なしの結果には、クオリティと表現に限界を感じるが、星景写真は自然風景写真の一つと捉え、今の撮影方法での星景写真を極めたいと思う。今度は、「夏の天の川」が富士の上に横にかかる頃に、もう一度訪れてみようと思う。

以下の掲載写真は、1024*683 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

田貫湖から冬の星空の写真

田貫湖から冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1000(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.10 18:42)

田貫湖から冬の星空の写真

田貫湖から冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1000(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.10 18:50)

田貫湖から冬の星空の写真

田貫湖から冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 800(撮影地:静岡県富士宮市 2021.1.10 18:59)

冬の星空の写真

旧上九一色村から冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 25秒 ISO 1000(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.1.10 19:41)

富士山の写真

田貫湖より夜明け前の富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 13秒 ISO 100(撮影地:静岡県/田貫湖 2020.1.04 6:35)

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冬の精進湖と子抱き逆さ富士

2021-01-11 15:38:10 | 風景写真/富士山

 冬の精進湖と子抱き逆さ富士が、本年最初の撮影である。

 「精進湖」は、山梨県富士河口湖町にあり、湖水面積0.5平方kmと富士五湖と呼ばれる5つの湖の中で最も小さいが、明治28年(1895)、日本に帰化した英国人スチュワート・ホイットウォーズ(星野芳春)が富士山を最も美しく眺められる地を求めて、1年がかりで富士山麓を巡り、ようやくたどり着いた地と言われている。現在、富士山世界文化遺産の構成資産であり、精進湖から望む富士山は、手前にある小さな山(大室山)が子供のように見えることから「子抱き富士」と呼ばれ、また定番の「逆さ富士」も撮影できることで知られている。

 正月三が日は、自宅で自粛。新型コロナウイルスの感染者が多くなり、1月7日には東京都で2,447人確認され、同時に政府から感染拡大防止のため一都三県に2度目の緊急事態宣言が発出された。9~11日の三連休は、昨年末の寒波を超える強烈寒波の襲来で、富山市内では積雪が35年ぶりに100cmを超えるなど各地で記録的大雪となった。被害に遭われている方々には心よりお見舞い申し上げたい。こんな時に単なる趣味の写真撮影で出かけるのは「自粛警察」や「不謹慎狩り」の標的にされるかも知れないが、誰とも接触することなく単独で今年最初の撮影に行ってきた。
 9日(土)は、午後12時に自宅を出発し長野県の「諏訪湖」へ。「寄せ氷」の光景を期待したが、「しぶき氷」は見られたものの湖面の氷はわずかで「寄せ氷」になるには、まだまだ日数を要する感じであった。その光景は、今月下旬頃に再び挑戦することとし、15時に現地を引き上げ帰路に就いた。
 翌10日(日)関東は快晴無風で乾燥。計画では、前日に諏訪湖に寄ってから、日本のウユニ塩湖と呼ばれる和歌山県の天神崎(昨年の10月24日に初訪問)で夕景、串本の樫野崎灯台で星景を撮る予定であったが、風速5mとの予報で諦めた。代わりに、今まで撮っていない星景の場所はないかと思いを巡らし、静岡県の田貫湖に決定した。その地域の気象庁天気予報は晴れの一日で、GPV気象予報でも夜20時頃までは雲一つない。月も出ない。冬の星景を撮るには好条件の日和である。その写真は、次の記事に掲載したいと思う。

 昨年12月、遺憾であった「ふたご座流星群」の遠征時と同じように、今回も目的地である田貫湖に向かう途中で別の湖に立ち寄った。前回は「山中湖」だったが、今回は「精進湖」である。雲がなく乾燥もしているので夕焼けは全く期待できないが、無風に近いということで「冬の精進湖と子抱き逆さ富士」のイメージトレーニングをしながら現地に向かった。
 精進湖には15時半に到着。湖岸には先客のカメラマンが2人。後に3名ほど増えたが、やはり自粛なのだろうか少ない。精進湖では、2017年1月29日に朝景を、同年12月16日には星空(いずれも失敗作)を撮っており、どちらの時も湖岸にカメラマンが大勢集まっていたが、今回は、ソーシャルディスタンスも十分すぎるほどである。
 気温マイナス2℃。無風なので体感的にはそれほど寒さは感じない。それよりも、富士山に雪がほとんどないことに震えた。見る方向によってはほとんどない状況だ。この時期に夏のような富士の光景を見るのは初めてである。ネット上には、不穏な書き込みが溢れており、地震学者も「1200℃になるといわれる地中のマグマが活動を活発化させ、富士山の地表温度が上昇。わずかに降った雨も、雪になる前に溶けている可能性がある。」と言う。昨年は、精進湖の水位が上昇し「幻の第六湖」が出現するなど、異常な現象が続いているが、富士山に雪がない最大の原因は、降水量の少なさのようだ。富士山の周囲にある雨量計の統計をみると、過去60日間の降水量が平年と比べて90%以上も少なくなっているところがほとんどとなっている。これも、異常と言えば異常である。
 無風で逆さ富士には好条件であったが、目の前を二組のつがいの水鳥が何度も行ったり来たり。そのたびに波紋が広がって逆さ富士が崩れる。富士が夕日で赤く染まり始めた一番美しい時には、目の前で水中へジャボン。タイミングに苦労して、2時間余りの撮影で奇麗な子抱き逆さ富士が見られたのはほんの数回。チャンスは逃さず記録した。また真っ白な富士山でなければ、写真を見て「冬」と思わないかもしれないので、湖岸の氷片を入れて冬の精進湖と子抱き逆さ富士とした。
 波乱含みの2021年がスタートしたが、末広がりの富士、子抱き逆さ富士が見られたことに「こいつは春から縁起がいいわえ」と思いたい。

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寄せ氷と子抱き逆さ富士の写真

寄せ氷と逆さ富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 2.5秒 ISO 100 +1EV(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.1.10 16:48)

寄せ氷と子抱き逆さ富士の写真

寄せ氷と子抱き逆さ富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 0.5秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.1.10 16:16)

寄せ氷と子抱き逆さ富士の写真

寄せ氷と逆さ富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 2.5秒 ISO 100 +1EV(撮影地:山梨県富士河口湖町 2021.1.10 16:47)

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カラマツ霧氷(霧ケ峰~蓼科)

2021-01-02 16:47:01 | 風景写真/霧氷

皆様、新年明けましておめでとうございます。

 昨年の様々な出来事は、大切な経験として学ぶべきことは学び、多くの反省を2021年に活かさなければならないと思っております。新型コロナウイルスは、今尚、感染が拡大し、今年に延期された東京オリンピックの開催は不確実であり「おもてなし」ができるかどうか分かりません。しかしながら、実現するならば、世界に向けて日本の自然と文化の魅力をアピールする大きなチャンスです。多くの工夫を凝らし、私は私の出来ることを全力で行って参ります。
 ホタルに関しては、その生態を一から調べ直し、未解明な部分については最新の知見と違う視点から仮説を検証していきたいと思います。保全指導や講演会の講師については、これまで通りに行いますので、無理のない範囲でご依頼いただきたく存じます。趣味の昆虫写真と自然風景写真においては「美しい光景を 一番美しい時に 美しく残す。」をモットーに、より一層の努力を重ねて参ります。
 里山環境の象徴であり、文化昆虫とも言える「ホタル」そして「写真」を通じて、日本、特に東京の自然の素晴らしさ、美しさ、大切さ、そして日本人の自然観を世界に発信し、感動と癒しで「おもてなし」する2021年にしたいと思います。
 何卒、本年もご指導ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。

2021年1月1日 東京ゲンジボタル研究所 古河義仁

紅富士の写真

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 さて、本年最初のブログ記事は、カラマツ霧氷(霧ケ峰~蓼科)を掲載したいと思う。ただし、撮影日は昨年12月31日である。

 2020年12月30日夕方から2021年元日にかけて、日本列島の上空に数年に一度クラスの強い寒気が流れ込むという予報を聞き、写友S氏を誘って信州の霧ケ峰に出かけることにした。狙いは、勿論カラマツ霧氷とダイヤモンドダスト、そしてサンピラーである。私はいずれも過去に撮影しているが、別の構図で撮りたいことと、その素晴らしい光景を写友S氏に見せたい、写真に撮って頂きたいという思いからであった。以下の写真は、2013年1月に撮影したものである。

ダイヤモンドダストの写真

ダイヤモンドとサンピラー
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/250秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県諏訪市/霧ヶ峰高原 2013.1.27 7:31)

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 12月30日。朝方雨が降った東京を午後12時半に出発し、中央道で諏訪を目指す。韮崎までは晴れていたが、小淵沢を過ぎると雨が降っており、風も強かったが、諏訪ICを降りると雲時々晴れという天気であった。
 まず諏訪湖に立ち寄り、今後の撮影目標の一つである「寄せ氷」の様子を見てみたが、連日の冷え込みが弱いのだろう、まだ氷はなかった。こちらは、次の三連休にリベンジしたいと思う。氷があれば2時間ほど撮影する予定であったが、時間が空いたため、メインである翌日の撮影場所やその後のルートを一度走って、道路状況等の様子をみることにした。上諏訪から県道40号線で霧ケ峰、車山、白樺湖を通り、その後は県道192号線で蓼科高原へ向かい茅野市街へ降りるというコースである。
 天気は雲時々晴れで、道路に雪はほとんどなかったが、所々に溶けた雪がアイスバーンになっており、かなり慎重な運転が要求された。撮影ポイントの確認をしながら茅野市街まで降りてくると、雪が降ってきた。午前中は雨、夕方から深夜までが雪で翌朝はマイナス15℃という予報。予報通りならば、霧氷とダイヤモンドダスト、そしてサンピラーが見られる確率は高い。
 「ハルピン味噌らーめん 雷蔵」で食事。「地元の信州味噌で作ったラーメンを食べていただきたい」という思いから、白味噌をベースに、信州を代表する6つの味噌蔵の上質な味噌を配合したオリジナルブレンド味噌と、ハルピン自慢の寝かせダレのマリアージュ。 上品で繊細なスープと、旨味を凝縮させた寝かせダレが生み出すハルピン流“たれ味噌らーめん”が売りである。トップメニューになっている「一本角煮たれ味噌ラーメン」と餃子を注文した。濃厚で深い味わいの味噌のスープ、とろける豚の角煮、美味しさに感激しながら完食。
 その後はコンビニで買い物をし、再び上諏訪から県道40号線で霧ケ峰へ向かった。3時間前とは違って真っ白な雪道の方が走りやすい。トイレのある駐車場に止め、長い夜が始まるが、外の気温はマイナス11℃まで下がり、横殴りの雪が半端なく降り続いていた。
 翌日午前1時半。車を走らせダイヤモンドダストの撮影ポイントに移動し、三脚をセットし車内で待機することにした。朝5時。気温はマイナス15℃。日の出まで期待をしながら谷を見つめて待った。

 午前7時半。谷に朝陽が当たり始める。残念ながらダイヤモンドダストはごくわずか。前日の雨、深夜の雪、翌朝は快晴無風で気温はマイナス15℃。これら条件と私の休日が合致したのだが、湿度が低かった!80%以上は欲しいところ気象庁予報は湿度50%。分かってはいたが、やはりそれを越えた数値にはならなかったようである。
 8時に撮影を切り上げ、蓼科高原へ移動。車山から見える立科辺りには、広大な霧氷林が広がっていた。慎重に、かつ急いで車を走らせると、美しいカラマツ霧氷の連立。過冷却の雲が幾度もカラマツの林を撫でて行ったのだろう。枝の隅々まで真っ白な氷が付いたカラマツが斜光や逆向で、さらに白く輝く。この地区は何度も訪れているが、これだけの霧氷は十年に一度あるかないかではないだろうか。まさに奇跡の絶景である。

 2020年の大みそか。美しいカラマツ霧氷の撮影で締めくくることができた。この奇跡の絶景を2021年最初の記事にしたいと思う。動画も撮影しているので、Youtubeに掲載した。この動画では、ほんの少しの輝きではあるがダイヤモンドダストも写っているのでご覧頂ければ幸いである。
 ダイヤモンドダストは、再度チャンスを待って撮りたいと思うが、「毛嵐と霧氷の川」や「星景」、これまで撮ったことがない「冬の光景」を求めて出かけたいと思う。

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カラマツ霧氷の写真

カラマツ霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/13秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県諏訪市/霧ヶ峰高原 2020.12.31 7:35)

カラマツ霧氷の写真

カラマツ霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/320秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県諏訪市/霧ヶ峰高原 2020.12.31 7:41)

カラマツ霧氷の写真

カラマツ霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県茅野市/蓼科高原 2020.12.31 9:09)

カラマツ霧氷の写真

カラマツ霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/50秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県北佐久郡立科町 2020.12.31 8:43)

カラマツ霧氷の写真

カラマツ霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 1/25秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県北佐久郡立科町 2020.12.31 8:52)

カラマツ霧氷の写真

カラマツ霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.0 1/200秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:長野県北佐久郡立科町 2020.12.31 8:54)

カラマツ霧氷の写真

カラマツ霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.0 1/125秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:長野県北佐久郡立科町 2020.12.31 8:56)

カラマツ霧氷の写真

カラマツ霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.0 1/125秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:長野県北佐久郡立科町 2020.12.31 8:57)

冬の霧ケ峰~蓼科

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