ウチワヤンマ
ウチワヤンマ Sinictinogomphus clavatus clavatus (Fabricius, 1775) は、サナエトンボ科(Family Gomphidae)ウチワヤンマ属(Genus Sinictinogomphus)で名称に「ヤンマ」と付くが、サナエトンボの仲間である。青森県から鹿児島県に至るまで、平地や丘陵地の大きな池や湖で6月頃から10月頃まで見られる。腹部第8節側縁下方に半円形の付属物が大きな特徴であり、和名の由来でもある。「なわばり」の行動として、水面から突き出た棒の先などに後肢4本で止まるのも面白い。
昨今、四国南部や九州および南西諸島に分布していたタイワンウチワヤンマ Ictinogomphus pertinax (Selys, 1854) が分布域を北上させている。約70年前には高知市近辺が北限であったが、2017年現在では、北は島根県太田市まで、東は神奈川県の海岸沿いにまで記録が広がっている。本種はタイワンウチワヤンマ属(Genus Ictinogomphus)で、腹部第8節側縁下方に半円形の付属物がすべて黒色をしているのでウチワヤンマとは容易に区別ができる。
両種の間には幼虫の生息環境に違いがあり、共存するようないけにおいても、水生植物の多い所にタイワンウチワヤンマ、水生植物があまり見られない場所にウチワヤンマというように棲み分けをしているため、タイワンウチワヤンマの北上がウチワヤンマの生存を脅かしていることはないようであるが、近年、生息場所の減少や環境の悪化からウチワヤンマは数を減らしており、環境省カテゴリには記載がないものの、長崎県のRDBでは絶滅危惧Ⅰ類、東京都では絶滅危惧Ⅱ類、千葉県をはじめ、他に5つの府県で準絶滅危惧種として選定されている。
タイワンウチワヤンマは、今年10月8日に愛媛県で撮影したが、画質が悪かったため宮古島で撮影したものを掲載した。ウチワヤンマは過去に撮影したものを再現像して掲載。
これまでに撮影したトンボを整理してみると、103種類撮っているが、本種の写真は掲載したものがすべてであり、サナエトンボ科に至っては、数種しか撮影しておらず、すべて図鑑的なもの。
前記事の「ギンヤンマ」もそうであるが、今後は、産卵、羽化といった生態を観察し、その瞬間を写真に収めていきたいと思う。
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ウチワヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 200(撮影地:東京都 2010.8.21)
ウチワヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/800秒 ISO 200(撮影地:東京都 2010.8.21)
ウチワヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:東京都 2010.8.21)
ウチワヤンマ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250 +1/3EV(撮影地:埼玉県 2012.6.17)
タイワンウチワヤンマ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM / 絞り優先AE F5.6 1/640秒 ISO 200(撮影地:沖縄県 2012.9.09)
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