ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

霧氷という芸術

2019-11-26 22:48:58 | 風景写真/霧氷

 霧氷という芸術を、自己の中に受け入れ、深く味わう。

 「秋山明浄にして粧うが如く」季節が終わり、「冬山惨淡として睡るが如し」季節の到来である。彩り豊かな光景からモノトーンの世界へと一変するが「霧氷」という芸術作品が作り出される季節でもある。
 霧氷とは、着氷現象の一種で、氷点下の環境で樹木に付着して発達する白色や半透明の結晶構造が顕著な氷層の総称である。蔵王や北八ヶ岳等で見られる樹木が完全に氷や雪によって覆われた樹氷とは違って、過冷却にある霧や雲、空気中の水蒸気が昇華によって樹木に付着した小さな氷のことであり、自然が作り出す芸術品である。
 霧氷は、冬の早朝、気温、湿度、天候、地形等の様々な条件が一致した日だけに現れ、色々な表情を見せる。霧の中では絵画的でもあり、光の中では白銀の世界をひときわ美しく輝かせる。広大な霧氷林は将に絶景であり、カラマツ霧氷林の清楚でジオメトリックな美が私の心を惹きつけてやまない。

 以下に、霧ケ峰と美ヶ原、そして蓼科で撮影した霧氷の写真(未公開を含む)の中から8点を選んで掲載した。この冬は、霧氷という芸術から具現化された美的なものを更に見出し、写真と言うもので深く味わうことができるよう研鑽したいと思う。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。

霧氷の写真

霧氷(霧ケ峰)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県諏訪市 2014.12.07 8:06)

霧氷の写真

霧氷(霧ケ峰)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:長野県諏訪市 2018.2.11 7:02)

霧氷の写真

霧氷(美ヶ原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/6秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県松本市 2017.11.19 6:35)

霧氷の写真

霧氷(美ヶ原)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/50秒 ISO 100(撮影地:長野県松本市 2017.11.19 6:48)

霧氷の写真

霧氷(霧ケ峰)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/50秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県諏訪市 2014.12.07 8:45)

霧氷の写真

霧氷(霧ケ峰)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/60秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県諏訪市 2014.12.07 8:45)

霧氷の写真

霧氷(蓼科)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県茅野市 2015.3.2 8:28)

霧氷の写真

霧氷(蓼科)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県茅野市 2015.3.2 8:28)

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柿の木

2019-11-20 19:29:00 | 風景写真/秋

 秋の里山風景・・・鮮やかに色づいた紅葉も良いが、たわわに実をまとった大きな柿の木も印象的である。柿は、一説では氷河期の終わり頃に中国大陸から日本に渡ってきたと言われており、果物の中では唯一日本固有の種である。学名は Diospyros kaki Thunberg 「カキ」という日本語がそのまま使われている。意味は「神様の食べ物」である。
 柿は、古来より日本人と深いつながりがあったようだ。縄文・弥生時代の遺跡から柿の種が出土しており、食用として広まっていたと言われる。「古事記」や「日本書紀」にも柿の名前が記されている。また、鮮やかで濃い橙色の柿の実の色は、「柿色」として日本の伝統色として古くからある色名で、器の世界では柿右衛門が鮮やかな柿色を出す為に何年も苦労した話がある。江戸時代末になると、家屋のそばには必ず柿の木が植えられ、松尾芭蕉は「里古りて柿の木持たぬ家もなし」と句を詠んでいる。柿は、秋の季語であり、風物詩となったのである。そしてその光景は、我々がイメージする日本の原風景である。

 このように柿は、日本の歴史や伝統文化と共に日本人に愛されてきたが、現在、放棄放置された里山では多くの実が付いたままの光景を目にする。ある時、越冬するチョウの撮影の帰り道、寂れた里山の斜面で柿の実だけを残して佇む柿の木が目に入った。いつから放置されているのか分からないが、枝の剪定もされず樹形も乱れ、実も小さい。紅葉スポットの近くでもあるから人や車の通行量は少なくないが、誰も見向きもしない。里山に生き残った柿の木が深い悲しみを訴えているような気がしてカメラを向けた。

 実りの秋。「和」を感じさせる柿は、古くから日本人にはおなじみの果物でもある。「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、柿は栄養豊富で、二日酔いにも良いと言われる。渋み成分のタンニンにはアルコールを分解する作用があり、利尿作用があるカリウム、肝臓の働きを助けるビタミンCも豊富なため、ワインを毎日1本空ける私には心強い存在だ。歴史や伝統文化を噛みしめながら旬をいただきたいと思う。

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柿の木の写真

柿の木
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/60秒 ISO 100 -1EV(撮影地:千葉県 2013.12.01 12:32)

柿の木の写真

柿の木
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/13秒 ISO 100 -1EV(撮影地:千葉県 2013.12.01 12:24)

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秋のスナップ写真集

2019-11-17 13:51:01 | 風景写真/秋

 私は、昆虫の生態写真や自然風景を撮っているが、写真には様々なジャンルがあり、それぞれの撮影にそれぞれの楽しみ方がある。スナップ写真もその一つであろう。
 スナップ写真は、下準備その他特にせず、日常のできごとあるいは出会った光景を一瞬の下に撮影する写真のことである。「スナップ」は、狩猟用語にある不意に飛び立つ鳥などを銃で早撃ちする技術(スナップ・ショット)のことであるが、カメラが小型化されると写真の早撮りが広く普及しスナップショットという言葉が用いられるようになったと言われている。ちなみにスナップには「(機会などに)飛びつく」という意味もある。特に対象物を決めず、気ままに歩きまわり、気になったものを気取らずに感じたままに切り取り楽しむ撮影スタイルである。(ちなみに、ポートレート写真とは、人物をテーマの中心に置いた肖像写真と言われているもので、カメラマンとモデルのコミュニケーションによって作る共同作業的な写真のことである。)

 私の場合、昆虫でも自然風景でも特定の場所に特定の昆虫や光景を撮りに行く。気軽にぶらぶらと歩いて気取らずに撮るのではなく、目的をもって事前準備をして向かい、その場では三脚を据えてじっくりと時間を掛けて撮る。場合によっては、一枚も撮らずに終わったり、カメラをカバンから出さずに帰ることもある。撮影できた時は満足感と充実感があるが、撮れない時は、ストレスが溜まる。しかしながら、気持ちに余裕がある時は、その場においてスナップ写真を撮ることがある。
 以下に「秋のスナップ写真集」と題して、その場で出会い気になって撮った光景を集めてみた。手振れ補正機能などない長玉レンズを使うことが多いので三脚に据えて撮るから、厳密には「スナップ」とは言えない。また時間を掛けて対峙した結果の「作品」でもない。しかしながら、それらはただ単に撮っただけの「写真」ではなく、私にとっては撮る「意味」がある光景であったに違いなく、私だけに理解できるものである。それゆえ、本記事のスナップ写真は、発表ではなく、読者の皆様と感動の共有を求めるものでもなく、自己の心を見つめ直すための掲載である。

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夜明け前の写真

夜明け前の月と雲
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1.3秒 ISO 100 -1EV(撮影地:長野県松本市/美ヶ原高原 2011.11.12 5:48)

夜明け前の写真

夜明け前に色ずく雲
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.5秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:長野県松本市/美ヶ原高原 2011.11.12 6:10)

夜明け前の小田代ヶ原と貴婦人の写真

夜明け前の小田代ヶ原と貴婦人
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 30秒 ISO 100 -2EV(撮影地:栃木県日光市/小田代ヶ原 2019.11.02 5:36)

夜明け前の赤井谷地の写真

夜明け前の会津赤井谷地
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F14 2秒 ISO 100(撮影地:福島県会津若松市/赤井谷地 2011.10.08 5:23)

夜明け前の赤井谷地の写真

朝の会津赤井谷地
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F14 1/15秒 ISO 100(撮影地:福島県会津若松市/赤井谷地 2011.10.08 6:20)

朝の星峠の写真

朝の星峠
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 1.3秒 ISO 100(撮影地:新潟県十日町市/星峠 2017.10.08 5:39)

紅葉の写真

紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F22 0.8秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:山梨県丹波山村 2011.11.12 11:39)

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秋の富士

2019-11-16 16:53:39 | 風景写真/富士山

 秋の富士を撮るには、山梨県鳴沢村にある紅葉台から、その名の通り色づいた紅葉と写すのも良いが、人気のあるスポットでは横並びのカメラが写す写真に違いはない。できれば撮影は誰にも迷惑をかけず、また邪魔されることもなく、時間を掛けてゆっくりと自然と対峙しながら行いたい。そこで、誰一人と来ない場所で、秋を感じさせる「ススキ原野」と「澄んだ青い空」の下で、富士が物悲しい夕日に染まるまでシャッターを切り続けた。

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秋の富士山の写真

秋の富士山
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 1/15秒 ISO 100(撮影地:山梨県 2011.11.17 13:59)

秋の富士山の写真

秋の富士山
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/50秒 ISO 100(撮影地:山梨県 2013.12.14 15:02)

秋の富士山の写真

秋の富士山
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 1/13秒 ISO 100 -2EV(撮影地:山梨県 2014.12.14 16:27)

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ダケカンバの美

2019-11-13 16:33:24 | 風景写真/紅葉

 ダケカンバは、カバノキ科の落葉高木。樹皮に字が書けることからソウシカンバ(草紙樺)とも言われる。亜高山帯の代表的な樹木で、北海道、本州、四国の山地から高山に生え、純林をつくることが多い。本州中部地方では近縁のシラカンバより標高の高い海抜1500mより上方に生育し、森林限界付近では低木状となる。
 自然風景撮影で、長野県の美ヶ原や栃木県の奥日光を訪れるとダケカンバをよく見かける。秋には葉が黄色く色づき、純林では一面の黄葉が美しいが、ダケカンバは落葉後に独特な景観を見せる。本来ダケカンバの樹皮は、シラカンバの白に比べてやや赤みを帯びた灰褐色であるが、落葉後になると周囲との対比で白く見え、その樹形と赤い枝先が「美」を主張しているのである。

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ダケカンバの黄葉写真

ダケカンバの黄葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 0.3秒 ISO 100(撮影地:長野県松本市 2012.10.20 10:12)

ダケカンバの黄葉写真

ダケカンバの黄葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1/4秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県松本市 2012.10.20 10:02)

ダケカンバの落葉写真

ダケカンバの落葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:栃木県日光市 2011.11.03 8:04)

ダケカンバの落葉写真

ダケカンバの落葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1/4秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:栃木県日光市 2010.11.27 9:29)

ダケカンバの落葉写真

ダケカンバの落葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 0.5秒 ISO 100 -1EV(撮影地:栃木県日光市 2010.11.27 9:42)

ダケカンバの落葉写真

ダケカンバの落葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 0.8秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:長野県松本市 2011.11.23 7:01)

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紅葉の季節

2019-11-10 13:33:17 | 風景写真/紅葉

 秋と言えば紅葉の季節である。葉は光合成をするクロロフィルが含まれているために緑色に見えるが、落葉樹等は、秋になり日照時間が短くなるとクロロフィルが分解され、赤色色素「アントシアン」が新たに作られたり、黄色色素「カロテノイド」が目立つようになることが紅葉の植物学的な理由である。
 新緑も美しいが、紅葉は紅葉をめでる習慣「紅葉狩り」(もみじ狩り)として平安の頃の風流から始まったと言われ、今でも名所と言われる場所は観光客であふれる。新緑と違って色彩豊かな紅葉は、日本人の心をとらえて離さない。
 青森の蔦池や那須岳、北アルプス穂高連峰に囲まれた涸沢カールや乗鞍岳等に行って見たいが、なかなかチャンスがなく、毎年、気が付けば色あせた時期になってしまっている。今年も、特に計画はなく、先般訪れた小田代ヶ原の帰りに半月山に寄っただけである。半月山は、中禅寺湖の南側に位置し、徒歩で20分ほど登った山頂付近の展望台からは、ブルーが美しい中禅寺湖、湖に蛇のように飛び出たカラフルな八丁出島、そして雄大な男体山、遠くには戦場ヶ原や龍頭の滝まで見渡すことができることで有名である。ただし今回は、誰が撮っても観光案内風な同じ絵になるので、最初から行く気はなし。駐車場から望める紅葉だけを撮った。
 半月山からの眺めだけでは寂しいので、以下には過去に撮影した未掲載の写真も数点掲載した。いずれも名所や景勝地ではない紅葉の光景である。

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紅葉の写真

いろは坂の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 1.6秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:栃木県日光市 2011.11.03 9:38)

紅葉の写真

黒沢の谷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/13秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 8:28)

紅葉の写真

半月山より紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/6秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:栃木県日光市 2011.11.03 8:13)

紅葉の写真

黒沢の谷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 1/40秒 ISO 100 -2EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 9:13)

紅葉の写真

一ノ瀬の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 0.5秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:山梨県甲州市 2011.11.05 9:29)

紅葉の写真

一ノ瀬の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 0.5秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:山梨県甲州市 2011.11.05 8:15)

紅葉の写真

一ノ瀬の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 0.8秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:山梨県甲州市 2011.11.05 9:33)

紅葉の写真

神戸岩の紅葉
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1秒 ISO 100 -1EV(撮影地:東京都檜原村 2010.11.13 15:36)

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小田代ヶ原/幻の湖「小田代湖」と貴婦人

2019-11-03 15:00:32 | 風景写真/湖沼

 小田代ヶ原は、栃木県日光市の日光国立公園内の標高およそ1,400mに位置する草原への遷移期にある湿原であり、豊かな自然と希少な景観から日光国立公園の特別保護地域および特別地域である他、環境省の日本の重要湿地500、国際条約のラムサール条約湿地に登録され、国際的な保護体制が敷かれている。
 小田代ヶ原は、秋になると一面の草が色づく草紅葉が美しく、2010年に訪れて撮影しているが、小さく浅い盆地状の地形のため、局地的な豪雨や台風の後には、幻の湖「小田代湖」と言われる湖沼が一時的に出現することがある。草紅葉は水没してしまうが、代わりに黄金色に染まったカラマツや真っ白なカラマツ霧氷が湖面に水鏡のように映る光景を見ることができる。
 小田代湖は、21世紀に入ってからでは2003年の台風10号上陸後、2007年の台風9号上陸後、2011年の台風12号・台風15号上陸後、2018年には台風24号の上陸後に出現している。2011年は、3日間で800mm近い雨が降り、広大な「小田代湖」が出現したことから11月3日に訪れたが、気象条件が合わず茶色のカラマツを映す水鏡の光景のみの撮影で終わっていた。当初、10月29日に行く予定であったが、前日の夜は、酒の誘いに負けて居酒屋で深酒。翌日は遅く起きて静岡県までカトリヤンマの撮影に出掛けたのだが、実は、その10月29日が最高の幻想的風景だったらしいと後で聞き、とても悔しい思いをしている。参考までに、その時に撮影した写真2枚を最後に掲載した。その年は、後にもう一度訪れたが、今度は湖が全面結氷でまたしても撮りたい光景には出会えなかった。
 小田代ヶ原へは、その後も3度訪れ、2度は失敗。昨年は3月に行き「小田代ヶ原の霧氷」を撮ることはできたが、湿原は真っ白な雪原。美しい光景ではあったが幻想的とは言えないものであった。また秋には7年ぶりに水がたまったが「小田代湖」と言うより「小田代池」で数日で消えてしまった。更に昨年は、12月に前立腺がんの全摘手術をしたために11月より遠征を控えており、撮影に行くこともできなかった。
 2011年の悔しい思いを引きずったままの本年。台風19号は各地に災害をもたらし、その後も半日で一か月分の大雨を降らせる等の温暖化による異常気象の連続。被災者の方々には、心よりお悔やみを申し上げたいと思うが、小田代ヶ原には2011年よりは小規模ではあるものの、念願の小田代湖が出現した。

 「小田代湖」ができても、目指す幻想的な光景は幾つもの気象条件が揃わないと見ることはできない。山岳と湿原では霧氷が付く条件が異なるが、小田代ヶ原では、移動性高気圧に広く覆われ深夜から朝まで快晴無風であること。つまり放射冷却で「この秋一番の冷え込み」でなければならないのである。しかも、10月下旬から11月上旬の間のみ。季節が進めば寒すぎて空気が乾燥し、また湖も全面結氷してしまう。そして一番大事なことは、会社努めである私の休日と合致しなければならないことである。連日、気象庁とウェザーニューズの予報と天気図、そしてGPV気象予報をチェック。最後の最後で、11月2日に決定し行くことにした。
 11月1日は朝から秋晴れで、東京では最高気温が26℃にもなった。東北自動車道も快晴で快適な走行。ただし佐野ICを過ぎると日光方面の山々にかかる灰色の雲が見え始めた。日光に近ずくにつれて雲が厚くなる。奥日光の赤沼駐車場に到着すると、雲間から星空は見えるものの、今度は強風。一抹の不安が過る中、車中泊。
 2日。午前2時45分起床。車外に出てみると快晴無風。車は霜で真っ白。最高の条件である。小田代ヶ原までは低公害バスで行くことができる。この時期の始発は4時。ただし、このバスに乗って行ったのならば、ベストポジションで撮ることは不可能であることは容易に想像できた。それだけの絶好の日和なのだ。
 午前3時に赤沼駐車場を出発。月明りはなく満点の星空。寒くて真っ暗な山道を懐中電灯を照らしながらおよそ4kmを歩く。途中、藪の中で光る鹿の眼にビビるが、何とか小田代ヶ原に到着。先客は徒歩組と自転車組10名。展望スペースと木道に分かれて既にスタンバイ中。かつて木道から撮影したこともあるが、木道は霜が降りていれば滑るし、人が通るたびにカメラに振動が伝わりブレの原因になる。更には伸ばした三脚が引っ掛けられる可能性もある。今回は、溜まっている水の量と朝陽が差す方向から、あらかじめ展望スペースに撮影場所を決めていたが、辛うじて狙い通りの場所に三脚を据えることができた。
 日の出時刻は6時過ぎ。それまで2時間半以上寒さとの闘いである。気温はマイナス5℃。前日との気温差が30℃もある。手足の末端が冷たさでジンジンと痛くなる。持参したチョコレートで我慢しながらの待機である。4時15分。始発のバスが到着した。案の定、50人ほどのカメラマンが降りてきた。次の5時15分着のバスでも50人・・・。歩いて苦労した者だけの特権を感じた。

 日の出前。白々と明るくなってきた5時半から撮影開始。これまで出会ったことがない朝霧煙る小田代ヶ原。まるで生きているかのように霧が動く。6時半を過ぎると、「貴婦人」と呼ばれる一本のシラカンバに朝陽が当たり始め、霧氷の付いたカラマツも白く輝く。まさに奇跡の絶景である。およそ150人のカメラマンが横一列に並んでいるため、一度決めたポジションからは動けない。そのため、その場から見える方向だけに限られるが、6時48分の1枚を最後に合計100カットの写真と動画を撮影。2011年に見られたという小田代ヶ原の最上の光景ではなく、未だに悔いが残るが、9年目にしてようやく出会えた光景。次は、いつ出会えるか分からない。すべてが真っ白な霧氷ではなく、カラマツの黄葉に霧氷という組み合わせも、秋と冬を感じて良いかも知れない。この日この時の一番美しい瞬間を収めることはできたと思う。以下に、選別した13カットと動画を掲載したいと思う。ちなみに、帰りは楽をして7時15分のバスに乗って赤沼駐車場まで戻った。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。 また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(夜明け前の幻想)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F9.0 30秒 ISO 100 -2EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 5:35)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(朝霧の幻想)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 5秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 5:52)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(朝霧の幻想)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.6秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 6:02)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(朝霧の幻想)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 6:13)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(朝霧の幻想)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.5秒 ISO 100 +1EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 6:10)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(小田代湖とカラマツ黄葉)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/15秒 ISO 100 -1EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 6:37)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(小田代湖とカラマツ黄葉)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/15秒 ISO 100(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 6:38)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(小田代湖とカラマツ黄葉)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/25秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 6:48)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(小田代湖と貴婦人)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/15秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 6:38)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(小田代湖とカラマツ黄葉)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/20秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 6:40)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(小田代湖と貴婦人)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/20秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 6:42)
小田代ヶ原の写真
小田代ヶ原(小田代湖とカラマツ黄葉)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/25秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:栃木県日光市 2019.11.02 6:43)
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