オニヤンマ Anotogaster sieboldii Selys, 1854 は、オニヤンマ科(Family Cordulegastridae)/オニヤンマ属(Genus Anotogaster)に分類される。鮮やかな翡翠色の複眼と、はっきりした黄色と黒色のしま模様が特徴で、オオスズメバチでさえ捕食する日本最大のトンボである。その飛行速度も、時速70kmと驚異的(ギンヤンマの最高時速は、100km)である。
北海道から八重山諸島まで、日本列島に広く分布し(東北北部から北海道に生息する個体はやや小さい。)小川や林の中の穏やかな流水等に生息している。成虫になるまで5年ほどを要し、
成虫は6月~10月頃に見られる。羽化したばかりの未成熟期には丘陵地の林道などでよく目撃され、また、都市部では車道や歩道に沿って飛行する姿を見かけることもあり、東京渋谷のスクランブル交差点で飛翔を見た記憶がある。成熟すると流水域に移動して、オスは流れの一定の区域をメスを求めて往復飛翔する。ほぼ決まったコースを一定の速度でつねに巡回しており、多くは川や道に沿ってまっすぐ飛び、適当な所でUターンして戻ってくる。
メスは適度な産卵場所を見つけると、体を立てて飛びながら、ストンと体を落下させるようにして水際ぎりぎりの浅い水底の柔らかい泥や砂の中に産卵弁を腹の先ごと何度も突き立てる動作を行う。
オニヤンマは、環境省RDBに記載はないが、東京都においては準絶滅危惧種に選定している。
オニヤンマは、今から42~43年ほど前に、東京の高尾山で渓流の上を飛んでいるのを見たのが最初。ギンヤンマなどに対する憧れ的なものは感じなかったが、その驚異的な大きさと緑の複眼の美しさが印象的で、1頭のオスが渓流の上を行ったり来たりしているのを、いつまでも見ていた記憶があるが、オニヤンマは、谷戸の小さな流れも生息環境であるため、東日本ではゲンジボタルの生息地と重なる場合が多い。時としてオニヤンマのヤゴが大量に発生し、ゲンジボタルの幼虫への悪影響が危惧され、現在の私にとっては、少々厄介な存在になっている。勿論、オニヤンマに罪はなく駆除するつもりはない。崩れた生態系のバランスを元に戻すことが大切だ。
お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。
オニヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(2010.10.10)
オニヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 200(2010.10.10)
オニヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F6.31/400秒 ISO 200(2010.9.26)
オニヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F10.0 1/250秒 ISO 1250(2010.10.10)
オニヤンマ / 交尾態
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 3200(2012.8.25)
オニヤンマ / 産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(2010.7.24)
オニヤンマ / 産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F2.8 1/320秒 ISO 250 -1EV(2010.9.26)
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------