夏の終りのハーモニーといえば、1986年にリリースされた井上陽水と安全地帯とのコラボレーション・シングルを思い浮かべる方々が多いかも知れない。私も好きな1曲だ。お二人の美しい歌声とハーモニーに心揺さぶられるが、「夢もあこがれも違う二人だからこそ奏でられるハーモニー。この想い出は、いつまでも忘れない」・・・夏とともに終わる恋の歌である。
夏は恋の季節である。昆虫たちだけでなく、私たちもそうのようだ。フェロモンやテストステロンというホルモンが関係しているらしい。燃え上がる恋、甘酸っぱい恋、切ない恋、爽やかな恋、人様々であろうが、フェロモンやホルモンの発散や上昇が抑えられる秋になると散ってしまうこともある。幸い、今年の5月で結婚33年目を迎えたが、10代後半から20代前半の頃を振り返れば、夏の終りは切ない思いばかりであった。山下達郎で気持ちを盛り上げ、終いは「杉山清貴とオメガトライブ」が心に沁みたものだ。
さて、8月中旬頃になるとツクツクボウシも鳴きだし、都会でも少しだけ空気が変わる。猛暑の連続である今年でもわずかな変化を肌で感じる。高原に行くと、その変化は更に顕著である。草原には夏の花々に混じってワレモコウやオミナエシ、エゾリンドウ等が咲く。ワインレッドのワレモコウは、パステルカラーを背景によく目立つが、調和を乱す不協和音ではない。広がる風景に響くハーモニーは、シンフォニーのような重厚なものではなく、小編成の弦楽が奏でるセレナーデのようだ。こうした「夏の終りのハーモニー」を心で聴きながら、幸福の中にあっても幾何かの切なさを感じてしまうのは私だけであろうか。
掲載した写真は、過去の撮影のものばかりだが、クラシック音楽のソナタ形式にちなんで、3枚掲載した。
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