ミヤマセセリ Erynnis montanus Bremer, 1861 は、セセリチョウ科(Family Hesperiidae)ミヤマセセリ属(Genus Erynnis)のチョウ。これまで見かけるたびに何度も撮影はしていたが、単独でブログ記事にするのは初めてである。
日本全土と朝鮮、中国、シベリア東部に分布する。ミヤマという名が付くが、深山ではなく平地から山地にかけての落葉広葉樹林に生育し、丘陵地から低山地にかけての手入れされた日当たりのよい雑木林などで見られる。前翅長は20mm内外で、翅の表面は茶褐色で前翅に紫灰色の樹皮模様があり、後翅の外半部に黄橙色の小斑が多数ある。メスは前翅表面の中央部に幅広い白帯があるのが特徴である。
ミヤマセセリは、年一回早春に発生するスプリング・エフェメラルである。食樹は、ブナ科のクヌギ、コナラ、カシワなど。幼虫の成長は遅く、晩秋になってから終齢となり、落葉とともに地上に落ち、幼虫で越冬。翌春そのまま何も食べずに蛹となる。暖地では3月末頃から発生する。地上近くを飛び、地表に翅を開いて止まっては日光浴をする様子が見られる。
環境省カテゴリにはないが、都道府県のRDBでは、東京都(区部)で絶滅、千葉県と長崎県で絶滅危惧Ⅰ類、徳島県と鹿児島県で絶滅危惧Ⅱ類、埼玉県、大阪府、福岡県で準絶滅危惧種に選定している。その他の地域においても都市部においては、ほぼ絶滅状態にある。本種の生息地であるクヌギやコナラの二次林は、人為による環境改変を受けやすく、これが本種の衰亡の主要因と考えられている。
春先に里山を散策すると、日当たりのよい林道脇を忙しなく飛び回るミヤマセセリに出会う。地面で翅を開いて日光浴したり、スミレで吸蜜しては、また飛び回る。とても地味な色合いではあるが、ミヤマセセリを見ると、春が来たと感じる。
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ミヤマセセリ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250(撮影地:山梨県北杜市 2019.4.06)
ミヤマセセリ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1/3EV(撮影地:東京都あきる野市 2012.5.12)
ミヤマセセリ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250(撮影地:東京都あきる野市 2012.5.13)
ミヤマセセリ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:東京都あきる野市 2016.5.01)
ミヤマセセリ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 200(撮影地:東京都あきる野市 2017.4.15)
ミヤマセセリ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 200(撮影地:東京都あきる野市 2017.4.15)
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