ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

ヘイケボタル(千葉県)

2021-06-27 15:28:13 | ヘイケボタル

 私がホタルと出会ったのは、今から49年前。千葉県松戸市の水田でヘイケボタルを見たのが最初であり、それが始まりである。

 ヘイケボタルの生態については細かく調べ、飼育では1976年に羽化させるまで成功させている。11月21日に羽化させ、26日間生存させたこともある。1978年には、昆虫愛好会月刊誌「インセクタリウム」において「ヘイケボタルの研究」を発表し、同年に東京動物園協会より奨励賞を受賞、NHKの朝の番組にも出演するなど、ヘイケボタルとの昔の思い出は多い。
 昨今では、ゲンジボタルの保護保全、環境再生等に多く関わっているが、ヘイケボタルを忘れたわけではない。やはり、私にとっては大切な昆虫であり、今回、千葉県の生息地を訪れた。残念ながら、49年前にヘイケボタルと出会った千葉県松戸市の水田は今はなく、房総方面の水田を訪れた。
 そのヘイケボタルの水田は、先月28日にゲンジボタルの観察で訪れた場所と同じである。(記事:ゲンジボタル(東日本型))当地は、ゲンジボタルよりも一か月遅れてヘイケボタルが発生する。昨年と一昨年に観察した東京都八王子市川町の谷戸のようにヘイケボタルとゲンジボタルが同時に発生し、両種が同じところで乱舞するいわゆる「源平合戦」が見られる生息地も全国にはいくつもあるが、ほとんどの所はヘイケボタルの方が発生は遅く、地域によっては、8月になってからという所もある。
 今回、現地には25日の17時に到着し、18時より準備を開始した。農家の奥様お一人ずつお二人に「ホタルですか?」と声を掛けられ、色々とお話を伺うことができた。お一人は田んぼの管理をされているとのことで、聞けば、農薬を空中散布したと仰っていた。年々、ゲンジボタルが谷戸の最奥の湿地に追いやられている原因が判明した。おそらく、来年以降も水田脇で乱舞するゲンジボタルは見ることができないだろう。
 では、ヘイケボタルはどうなのだろうか?私の親友が先週訪れたらしく、数は多かったとの事。この週末が最盛期だろうとの連絡を頂いているので、いつもの田んぼ脇にカメラをセットした。今回は、映像が主目的である。2年前にも映像を撮っているが、1分ワンカットのみであったため、若干違う光景を残したかった。「いつもの田んぼ脇に・・・」谷戸には、いくつも水田があるが、ヘイケボタルが発生する水田は1つなのである。数頭が他の田んぼでも発光したり飛翔もするが、幼虫が生息しているのは、おそらく水田一枚である。その水田は、一年を通じて部分的に水が溜まった場所が存在しているのである。
 6月21日が夏至で、日の入りは18時59分。なかなか暗くならない。いつもどこでも、ホタルの生息地では日の入り時刻のかなり前から待機しているので、目が慣れて、余計に暗さを感じない。それでも、19時半に畔の草むらで1頭が発光開始。20時頃には50頭以上が発光飛翔していたのではないかと思う。それもいつもの範囲内だけである。

 ヘイケボタルの発光は、映像をご覧頂くと分かるようにゲンジボタルと違ってオスがリズムを合わせる集団同期明滅はない。淡い黄緑色の光で1秒に1回程度、不規則に弱く発光する。勿論、地上で発光するメスを探すためである。オスの発光を見たメスは、地上で光る。それを見つけたオスはメスに近寄っていき、光によるコミュニケーションが始まる。何頭ものオスが1頭のメスに集まるが、一番強く発光するオスが選ばれるのである。

農薬とホタルについて

 ヘイケボタルの発生状況を見る限り、農薬の空中散布の影響は、まったく感じられない。今回、農薬の種類までは伺っていないが、ヘイケボタルは極めて毒性の強いものでない限り、一時的な散布では壊滅的な打撃を受けることがないと言える。ただし、ゲンジボタルは大きなダメージを受けて水田近辺は発生がほぼゼロであり、他の地域では、ヘイケボタルも姿を消してしまったという話も聞く。
 ヘイケボタル同様に水田に生息するトンボ類も各地で減少傾向にあるが、近年、水稲栽培で用いられる浸透移行性の育苗箱施用剤、特にネオニコチノイド系殺虫剤の普及が原因となっているのではないかと指摘されており、これに関して国立環境研究所が実験水田を用いて、水稲栽培で用いられる新タイプ稲作農薬が、トンボ類を含む水田の生物相に対してどのような影響を与えるのかを調べている。
 実験では、現在国内でも広く使用される浸透移行性殺虫剤3剤、クロチアニジン(ネオニコチノイド系)、フィプロニル(フェニルピラゾール系)、及びクロラントラニリプロール(ジアミド系)を用いて行われている。その結果、いずれの農薬も、水中濃度は田植え後最初の2週間で急速に減少し、3か月程度で検出限界レベルまで減少するが、土壌中濃度は田植え後から徐々に増加し、土壌中に長期間残り続けることが分かった。また、3種の殺虫剤のうち、特にウンカ類やカメムシ、イネドロオイムシの防除に使用されているフィプロニルは、トンボ類の発生数を顕著に減少させることが分かっている。
 トンボの幼虫は水底で生活し、時には稲の茎等で静止するが、ヘイケボタルの幼虫は土壌に潜ることが多い。国立環境研究所の実験にはヘイケボタルに関するデータはないが、トンボ以上に影響があることは容易に想像できる。
 従来の農薬は、DDTなどの有機塩素系農薬から有機リン系農薬、そして浸透移行性殺虫剤へと移行した。現在の稲作では、殺菌剤と除草剤に殺虫剤を加えて散布するのが一般的で、殺虫剤には浸透移行性殺虫剤のフィプロニルが多用されている。浸透移行性殺虫剤は、生産者にとって使い勝手が良い。農薬の散布回数が少なくて済むので「減農薬」登録ができるのである。農水省も“減農薬”推進のために浸透移行性殺虫剤は欠かせない農薬として位置づけているのである。
 農作物の栽培において殺虫剤は害虫の発生をコントロールするために必要な薬剤である。トンボやホタル、ひいては生態系や生物多様性に対する影響に配慮しながら使用して頂きたいが、それは非生産者の勝手な言い分である。法人化し販路も独自に開拓できる農場・農家であれば、殺虫剤を使わない有機肥料無農薬栽培で環境保全型農業をアピールしたり「ホタル米」などのブランド力で販路拡大もできるだろうが、現在の日本のほとんどの稲作農家は、農協の指導に従わなければならない。農薬の散布に関しては、地域ごとに日取りを決めて一斉に決められた薬剤を空中散布する一斉防除が当たり前である。自分の田んぼだけ外そうとすれば、周囲の農家から迷惑がられ、農薬の売り上げ低下から農協からの風当たりも強くなると言う。農薬の種類と使用量を自分でコントロールできる農家は、ほとんどないのが現実である。

 千葉県のヘイケボタル生息地。地元の方も他地域からの観賞者も来ない。将に真っ暗な地上で瞬き煌めく小さな星々。20時半頃にり天空にストロベリームーンが顔を出すと、田んぼの中の銀河は徐々に消えていった。この懐かしく美しい日本の原風景。この日に撮影した写真と映像が最後にならないことを祈るばかりである。

参考論文

  • A. Kasai, T. I. Hayashi, H. Ohnishi, K. Suzuki, D. Hayasaka and K. Goka. (2016) Fipronil application on rice paddy fields reduces densities of common skimmer and scarlet skimmer. Scientific Reports. DOI: 10.1038/srep23055
  • 上田哲行,神宮字寛 (2013) アキアカネに何が起こったのか:育苗箱施用浸透性殺虫剤のインパクト.TOMBO, Fukui, 55: 1?12.

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

千葉県のヘイケボタルの写真

ヘイケボタル(千葉県)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 140秒相当の比較明合成 ISO 400(撮影地:千葉県 2021.6.25 20:00)

ヘイケボタル(千葉県)

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ヘイケボタルの飛翔映像

2019-07-14 13:14:28 | ヘイケボタル

 ヘイケボタルの飛翔映像を撮影してきた。

 ホタルの写真は、フィルム、デジタル、時間の連続性の有無はあっても、どちらも数分という時間を一枚の静止画にしたものであり、ある意味創作風景作品に近い。写真を見る方々の中には「そんなにホタルがとんでいるんですか!?」と勘違いする方もいらっしゃる。特にデジタルでは、品のない過度な表現が溢れ、これらは見栄えだけを狙ったいわゆるインスタ映え写真で、私のデジタル写真もその傾向はある。その良し悪しは別として、多くは生態学的には意味のない写真である。とは言え、正統派のフィルム写真も、実際とは違う。
 「ホタルの舞う姿、光景をできるだけ見た目に近い記録として残し、またご覧いただきたい。」そんな気持ちから、昨今では「ホタルの飛翔映像」の撮影に力を入れている。4Kあるいは8K映像ならば、高精細なのは勿論の事、明暗の幅が格段に広がることで、暗いシーンもより鮮明に描写できるし、動きの速い映像であっても「ぼやけず」「なめらかに」表示することができる。夜間のホタルの飛翔映像には、その威力を発揮するであろうが、今の所、手持ちの機材で撮影するしかない。Canon EOS 5D Mark Ⅱでのフルハイビジョン動画である。

 ヘイケボタルの飛翔映像の撮影場所は、昨年「ヘイケボタルの乱舞」として、今年は「ホタルの乱舞~里山で舞う東日本型ゲンジボタル~」として紹介している里山である。前記事では、ゲンジボタルとヘイケボタルが同時に舞う、たいへん貴重な東京都内の谷戸(東京都八王子市川町/大沢川源流部の谷戸)を紹介したが、今回の撮影場所でも両種が生息している。ただし、ヘイケボタルは、ゲンジボタルの発生が終盤になってくると発生が始まり、ヘイケボタルの最盛期にはゲンジボタルは姿を消してしまうため、ヘイケボタルのみの映像である。
 当日は、気温22℃。霧雨という天気。19時27分から光り始め、20時半には、木の葉裏に止まって飛翔発光を終了。昨年よりも5日ほど遅い訪問であり、また今年は、梅雨寒が続いているためか、飛翔数は昨年の半分以下であった。それでも、ゲンジボタルとはまったく違う飛翔写真、そして映像を撮ることはできた。
 写真と映像で分かるように、ヘイケボタルは、水田に棲むホタルであるが、水田全体を生息域としているのではない。畔近くを生息域にしているのである。幼虫は、畔近くの水田内で生活し、上陸して畔で蛹になる。成虫は、畔の草やコケに産卵する。飛翔範囲も畔を中心としている。ヘイケボタルの保全には、無農薬は勿論大切だが、物理的環境の保全として「畔」付近の環境保持が重要になる。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

ヘイケボタルの写真

ヘイケボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 320 4分相当の多重露光(撮影地:千葉県 2019.7.12)

ヘイケボタルの飛翔映像
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影地:千葉県 2019.7.12)

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ヘイケボタルの乱舞

2018-07-08 16:54:30 | ヘイケボタル

 ヘイケボタル Luciola lateralis Motschulsky, 1860 は、ホタル科(Family Lampyridae)ホタル亜科(Subfamily Luciolinae)ホタル属(Genus Luciola)で、南西諸島を除く日本、朝鮮半島、中国東北部、東シベリア、サハリン、千島列島に分布している。 里山の流れのひじょうに穏やかな小川や水田、湿地等に生息しており、地方によっては「コメボタル」「ヌカボタル」等とも呼ばれている。
 近年、ヘイケボタルは、ゲンジボタルよりも個体数と生息地が著しく減少しており、安定して発生する場所は局地的になっている。圃場整備事業、農薬汚染、水質汚濁、各種開発行為、人工的な光源等が減少要因である。環境省カテゴリーにはないが、東京及び群馬では絶滅危惧Ⅰ類に、千葉、長崎、宮崎では絶滅危惧Ⅱ類に、栃木、埼玉、神奈川、長野、静岡、大阪、香川、愛媛、福岡、熊本では準絶滅危惧種に選定している。

 梅雨が明けたと思ったら、天候不順の一週間。この週末も強風が心配されたが、GPV気象予報を信じてヘイケボタルの生息地へと向かった。
 この場所にはゲンジボタルも生息しており、ゲンジボタルの発生が終わりに近づくとヘイケボタルの発生が始まり、一ヶ月ほど続く。何度も訪れているが、ヘイケボタルの観察と撮影では2016年に続いて二回目。
 現地に18時に到着。気温25度、薄曇りで無風。蒸し暑く、まさにホタル日和である。谷戸の奥まで水田が続くが、ヘイケボタルが発生する水田は2枚ほど。その脇で待機すること1時間半。 稲の中で光り始めた。ゲンジボタルのように「一番ボタル」はいない。数頭があちこちで光り始める。
 20時をまわると水田も暗さを増し、光るヘイケボタルも多くなった。無風であるため、飛翔数も多い。ホタルに取り囲まれ、服やカメラの三脚にも止まって光るほどである。畦においても発光する多くのメスを確認できた。

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ヘイケボタルの乱舞写真

ヘイケボタルの乱舞
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 400 15分多重(撮影日:2018.07.07)

ヘイケボタルの写真

ヘイケボタルの乱舞
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / SAKURA COLOR

ヘイケボタルの写真

ヘイケボタルの乱舞
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / SAKURA COLOR

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ヘイケボタル

2016-06-25 13:42:09 | ヘイケボタル

 ヘイケボタル Luciola lateralis Motschulsky, 1860 は、ホタル科(Family Lampyridae)ホタル亜科(Subfamily Luciolinae)ホタル属(Genus Luciola Laporte, 1833 )で、南西諸島を除く日本、朝鮮半島、中国東北部、東シベリア、サハリン、千島列島に分布している。 里山の流れのひじょうに穏やかな小川や水田、湿地等に生息しており、地方によっては「コメボタル」「ヌカボタル」等とも呼ばれている。
 ゲンジボタルは、東日本、西日本、九州という大きな3つの系統と6つの遺伝子型グループに分けられるが、ヘイケボタルでは、9種類の遺伝子型が検出されているが、遺伝子間の塩基差異はほぼ1%で、ゲンジボタルのようなグループは特定できない。また、地域集団間の分化もそれほどは進んではいない。

 今回訪れたの生息地では、ゲンジボタルの発生が終了するとヘイケボタルが羽化してくる。発生期間は長く、一か月以上も続く。観察と撮影に訪れた日は、雨の止み間で無風、気温24℃という絶好の条件で、谷戸の一部において小集団が見られ、全体では50頭程度の発生であった。
 19時半頃から発光を始めるが、ヘイケボタルのオスはゲンジボタルのオスように盛んに飛び回ることはない。稲やあぜ道の下草でメス同様に静かに発光し、時折、飛び立つ程度である。(写真1.)20時半頃になると飛ぶオスも多くはなるが、飛び回るという様子はなく、1mほどの高さを直線的に弱々しく飛ぶといった感じである。この日は、2組ほどの親子ずれがホタル観賞に訪れてきたが、たいへんマナーが良く、懐中電灯を照らすことなく観賞していたことに感心した。(写真2.)は、畦の下草にいるメスに対して多くのオスが集まってきている様子である。
 ホタルの発光は、最大発光波長 562nmを示す黄緑色だが、この日の観察では、ヘイケボタルの発光色は青白くも見えた。これは、我々の目は、暗くなると明るさを感じる能力の方が強くなり、色を識別する能力が低くなっているためである。(プルキニエ現象)本記事の写真は、ヘイケボタルの実際の発光色を表している。

注釈:写真3.は、かつて自宅のセットで撮影したヘイケボタルであり、本記事の生息地の個体でもありません。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ヘイケボタル

ヘイケボタル
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
バルブ撮影F1.4 4秒×75 ISO 320(2016.6.24)

ヘイケボタル

ヘイケボタル
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
バルブ撮影 F1.4 4秒×80 ISO 320(2016.6.24)

ヘイケボタル

ヘイケボタル
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1

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ヘイケボタルが40年ぶりに復活。

2006-08-12 10:16:51 | ヘイケボタル
 盛岡市でヘイケボタルが40年ぶりに復活。こんな嬉しいニュースが飛び込んできた。
 住民団体が「ホタルの里」を取り戻そうと手掛けた地道な環境整備の結果である。この湿地では、1960年代ごろまでホタルの群舞が見られたが、70年代に入ると湿地や周辺の環境が悪化し、ヘイケボタルは徐々に姿を消していき、近年はまったく見ることができなくなった。「かつての美しい池を取り戻し『ホタルの里』を復活させたい」と願う住民が、2000年に会を結成、環境整備に取り組んだ。ニセアカシアを伐採、木炭化し、生活排水の浄化を図ったり、ヘドロを分解するEM菌を投入し、水質保護に努めるなどの地道な活動を継続し、ヘイケボタルの生息条件を整えた。昨年は数匹のホタルが確認され、長年の地道な努力が少しずつ形となって現れてきている。
 一度失った自然環境を取り戻すことは、たいへんな時間がかかる。しかし、環境の再生という地道な努力は、ホタルの幼虫を放流し続けなくても、ホタルを再び自然発生させることができるのである。

ヘイケボタルに出会えず・・・

2006-08-06 11:24:31 | ヘイケボタル
 千葉県の水田にヘイケボタルの観察に行ってきた。そこは、いつも8月になってから発生している場所である。東京の自宅からは、すいていれば1時間半で行ける距離なのだが、首都高速は4号線の外苑から両国までいつものように渋滞。常磐道の柏インターで降りると、16号線は花火大会の影響で大渋滞。16時半に自宅を出て、目的地の水田に到着したのは20時であった。まあ、発光する時間帯にはちょうどよかったのだが、いくら探しても1匹も見あたらない。気配すらない。道路整備と農薬の影響であろう。あえなく断念。帰りがけに鎌ヶ谷の実家に久しぶりに寄って24時に帰宅した。
 私は、ヘイケボタルの観察がスタートであった。8月上旬、毎日のように水田に自転車で通っていた。ゲンジボタルは6月が発生時期であるので、あまり感じないが、私の中ではホタルと言えば夏である。夏の夜の蒸し暑さと稲の香り、畦道の草むらに輝く小さな光。残念であるが、その情景には出会えなかった。
by 東京にそだつホタル