ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

玉川大学「第九」演奏会/指揮 石丸 寛

2019-01-20 18:09:11 | 音楽

シリーズ:自演クラシック音楽7.~玉川大学管弦楽団

ベートーヴェン 序曲 レオノーレ第3番 作品72a 石丸 寛 指揮 玉川大学管弦楽団

ベートーヴェン 交響曲第9番 二短調 作品126「合唱」 石丸 寛 指揮 玉川大学管弦楽団

 1984年11月19日 石丸 寛 氏を指揮者に迎え、東京厚生年金会館大ホールで行われた「玉川大学第九演奏会」において演奏した序曲「レオノーレ第3番」と第九交響曲。ソリストは、東 敦子(ソプラノ)、西 明美(アルト)、下野 昇 (テノール)、岡村 喬夫(バリトン)各氏である。
 筆者は、当時まだ大学2年生。実は2年生になった途端にフルート・パートの上級生がいなくなり、必然的に筆者は首席となっていた。9月に定期演奏会があり、「レオノーレ第3番」とドボルザークの交響曲第8番を演奏していたが、上手く吹ける訳がない。当然、猛練習の毎日である。そして秋の「玉川大学第九演奏会」。もちろん、フルート・パートは1stを吹かなければならない。まずは「レオノーレ第3番」。この曲には、途中にフルートの難しいソロがある。しかも、指揮者は、あの「石丸 寛」・・・
 練習は厳しかった。音楽にプロもアマもない。表現する音楽芸術に妥協はない。たしか、練習での演奏がひどくて、一度怒って途中で帰ってしまったことがあった。力が入ってくると、曲の途中で「唸る。」パートの呼び名もフルーティ、ファゴッティ・・・(イタリア語か?)35年経った今でも、鮮明に覚えている。
 およそ一か月の練習後の本番。大学には音楽専攻科もあり、演奏会当日はプロの音楽家をはじめ多くの専攻生も会場にいた。農学部の一学生が吹くフルート。好きなものにはのめりこむタイプ。極めるまで突き進む性格だ。演奏が終わって袖に引き上げると、当時NHK交響楽団でオーボエを吹いておられた似鳥先生が走ってきて、「きれいな音色は邪魔にならないから、次の第九ものびのびと吹きなさい。」とおっしゃってくれたのを今でも覚えている。続いての第九交響曲は、良い緊張感の中で吹き終わることができた。今、こうして聞き直せば、どちらも大した演奏ではない。しかし、とても印象的な思い出として大切にしたい演奏である。そして、当時、一緒に演奏した仲間に、是非聴いていただきたいと思う。
 尚、交響曲第9番は全曲で65分を超えるため、動画はおよそ42分のダイジェスト版になっている。下記参照のリンク先には、この録音の翌年以降1985年と1986年の「玉川大学「第九」演奏会/指揮 山田 一雄」を掲載している。石丸先生の師でもある山田一雄先生を迎えての第九交響曲と聞き比べるのも面白い。(筆者自身のフルートの音色も吹き方も違っている。個人的には、全体的に山田一雄先生との演奏の方が気合が入っている感じがするが・・・)また、どの曲もマスターテープからダビングする際のミスで、左右のチャンネルが逆になっている。ご了承いただきたい。

石丸 寛・・・石丸先生は、1922年、中国の青島生まれ。管弦楽法と指揮法を山田一雄先生に師事する。1952年、東京交響楽団を指揮してデビュー、1953年、九州交響楽団を創設、初代指揮者に就任。日本各地のオーケストラと共演し、放送やレコーディングにも活躍した。玉川大学客員教授も務め、「玉川大学第九演奏会」において指揮をされたが、残念ながら1997年サントリーホールでの「玉川大学第九演奏会」を最後に1998年3月23日大腸がんで死去された。

参照(玉川大学管弦楽団による演奏録音)

Youtubeの再生は、設定をHDに

ベートーヴェン 序曲レオノーレ第3番 作品72a(1984年11月19日 東京厚生年金会館大ホール ライブ録音)

ベートーヴェン 交響曲第9番 二短調 作品126「合唱付き」(1984年11月19日 東京厚生年金会館大ホール ライブ録音)

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無伴奏フルートのための ラ・フォリア

2016-09-19 16:46:12 | 音楽

シリーズ:自演クラシック音楽6.~フルート

マラン・マレー作曲 スペインのフォリアによる25の変奏曲(無伴奏フルートのための ラ・フォリア)

 フォリアは、イベリア半島起源の舞曲。15世紀末のポルトガルあるいはスペインが起源とされるが、いずれかは定まっていない。 サラバンドと同じく3拍子の緩やかな音楽。フォリアとは、「狂気」あるいは「常軌を逸した」という意味があり、もともとは騒がしい踊りのための音楽であったことが窺われるが、 時代を経て優雅で憂いを帯びた曲調に変化し、変奏曲形式で演奏することが広まった。
 この動画は、私の自演で25年前のライブ録音。1年ほど前に1分ほどのものを当ブログにて公開していたが、主題と25の変奏曲から成るこの曲を抜粋し、日本各地で撮影した風景写真とともに9分20秒に編集し直して、再度公開した。

 9月の長雨。静かに冷たく降っている。夏が終わり秋の到来を告げる季語でもある。そして、もうすぐ秋。芸術の秋。静かにクラシック音楽に 耳を傾けながら、夜を過ごしたいと思う。

関連ページ:J.S.バッハ/フルート・ソナタ集(フルート:古河義仁)

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J.S.バッハ/フルート・ソナタ集

2016-01-16 14:36:08 | 音楽

シリーズ:自演クラシック音楽5.~フルート

J.S.Bach フルートソナタ

 1985年、バッハ生誕300年の時に無謀にもリサイタルを開き、その録音が残っていた。音楽に夢中になっていた若い頃の思い出として、下手な演奏を公開することにした。
 演奏当時は、大学3年。ピアノを弾いていた女子大生は、現在、妻である。
 J.S.バッハのフルート・ソナタ3曲とC.Ph.E.バッハのフルートとオーボエのためのトリオ・ソナタ2曲、いずれも全楽章を演奏したが、このムービーでは、フルート・ソナタ3曲からそれぞれ1楽章ずつとアンコールで演奏した1曲を編集し、冬の奥多摩で撮影した写真とともに11分13秒にまとめている。(ちなみに下の写真は、別の演奏会のものである。)

曲目

  1. J.S.バッハ/無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013 ~サラバンド
  2. J.S.バッハ/フルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV1034 ~アンダンテ
  3. J.S.バッハ/フルートとピアノのためのソナタ ホ長調 BWV1031 ~シチリアーノ
  4. J.S.バッハ/フルートと通奏低音のためのソナタ ハ長調 BWV1033 ~メヌエットⅠ.Ⅱ

 演奏時のフルートは、ムラマツの頭部管が銀、その他は洋銀で、とても良く鳴り、音色も柔らかな楽器であった。その後、ムラマツの14金や総銀製のフルートを所持したが、現在は、YAMAHAの総洋銀製リングキーのフルートを所持している。

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サン=サーンス 交響曲第3番(玉川大学管弦楽団)

2015-12-21 22:46:30 | 音楽

シリーズ:自演クラシック音楽4.~玉川大学管弦楽団

サン=サーンス 交響曲第3番 ハ短調 作品78「オルガン付き」

 掲載するクラシック音楽が、段々とマニアックな曲になってきたが、自演のアーカイブも少なくなり、聞くに堪えないものばかりになりつつあるが、今回は、フランスのサン=サーンスが作曲した交響曲第3番「オルガン付き」。玉川大学管弦楽団の演奏で首席フルートは私である。
 サン=サーンスと言えば、チェロが奏でる「白鳥」が有名で、クラシック好きでなくてもメロディーは聴いたことがあるのではないだろうか。サン=サーンスは、3つの交響曲を書いているが、最後の第3番は、副題に「オルガン付き」とあるようにパイプオルガンが用いられており、響きも荘厳で壮大だ。ブラームスやベートーヴェンのようなドイツ音楽とは違って、たいへん煌びやかな曲である。サン=サーンス自身、「この曲には、私が注ぎ込める全てを注ぎ込んだ」と言っている。
 静かな出だしだが次第に盛り上がり、私的には「かっこいい!」と思う曲である。

サン=サーンス交響曲第3番の楽譜

サン=サーンス交響曲第3番の楽譜

 写真も音楽も芸術である。写真は、「感動をもとに心に描いた絵を写真として表現した芸術作品」であり、 音楽は、「"音"(メロディー・ハーモニー・リズム)によって表現する芸術作品」である。「音」でしか伝えることができない。
 それゆえ、首席フルートであった当時は、フランス風に柔らかく響かせるように吹くことにしていたことを思い出す。在学中に多くの曲を演奏したが、このサン=サーンス 交響曲第3番が一番良い出来ではなかったかと自己満足している。(実は、家内も同楽団でチェロを弾いており、この曲ではピアノを弾いていた。)
 また本記事では、当日アンコール曲として演奏した「サムソンとデリラ」よりバッカナール も掲載した。是非とも、当時、一緒に奏でていた玉川大学管弦楽団OBは勿論のこと、現役の学生諸君にも聴いてほしい。

サン=サーンス 交響曲第3番 ハ短調 作品78「オルガン付き」(1985年10月6日 町田市民ホール ライブ録音/デジタルリマスター)

サン=サーンス 歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール(1985年10月6日 町田市民ホール ライブ録音/デジタルリマスター)

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玉川大学「第九」演奏会/指揮 山田一雄

2015-12-04 21:08:57 | 音楽

シリーズ:自演クラシック音楽3.~玉川大学管弦楽団

ベートーヴェン 交響曲第9番 二短調 作品126「合唱付き」 山田 一雄 指揮 玉川大学管弦楽団

ベートーヴェン 序曲「コリオラン」 作品62 山田 一雄 指揮 玉川大学管弦楽団

 「第九」として、日本では年末になると恒例行事のように演奏されているベートーヴェン作曲 交響曲第9番「合唱付き」。私も学生時代に11月から12月にかけて何回も演奏してきたので、かつての演奏から第一楽章の冒頭部分と第四楽章(抜粋)を編集してみた。演奏風景や指揮者等の写真を色々と使いたいところだが、著作権上1枚のみの固定で動画ではない。今回は「音」だけに耳を傾けていただきたい。

 「第九」において、多くの方が知っているメロディーは、第4楽章の「歓喜の歌」で、これはシラーの詩「歓喜に寄す」(An die Freude)の「抱き合おう、もろびとよ!この口づけを全世界に!」( Seid umschlungen, Millionen! Diesen Kus der ganzen Welt!)をもとにベートーヴェンが曲を付けたものだが、「第九」は全部で4つの楽章から構成されており、演奏時間はおよそ90分になる。(第4楽章だけでも約30分)クラシック好きでなければ、全楽章を聞く機会は少ないかもしれないが、聞いたことのない方は、是非とも全楽章を聞いていただきたい。
 簡単に解説すると、第1楽章は「音楽は情熱だ!」第2楽章は「音楽はリズムだ!」第3楽章は「音楽は愛だ!」このようなことを表現していて、聞きながら、それを感じて頂ければ良いだろう。
 そして第4楽章。初めの方に第1~3楽章のさわりのフレーズが少しだけ出てくる。そして、その後にコントラバスのフレーズ。このフレーズは、否定を表わしていると言われている。つまり、音楽は、情熱?いや違う。リズム?いや、それだけだけではない。愛?でも足りない・・・では何なのか?
 これらの否定のフレーズの後、静かに「歓喜の歌」のメロディーが出てくるのである。そして、大合唱へと続いていく。これら全楽章を聞いて初めてベートーヴェン作曲 交響曲第9番「合唱付き」の意味が分かり、感動できるのだ。
 大晦日、または前日にNHK交響楽団の演奏がテレビで放映されるが、その時期その時間に見ることは難しいだろう。CDで聞く場合は、 日本コロンビアから発売されているオトマール・スウィトナー指揮 ベルリン・シュターツカペレの「第九」がお薦め。ありきたりな演奏だが、ドイツらしい風格がある。何と言っても、B&K社の録音用マイクを使用し、合唱付きの大オーケストラの幅や奥行きが的確に捉えられた名録音で、音の素晴らしさは類を見ない。

 さて、今回の演奏は、1985年11月に東京厚生年金会館大ホールにて行った玉川大学「第九」演奏会のライブ録音を編集したもの。第九交響曲は、全曲で65分を超えるが、以下の演奏は第一楽章から第四楽章までをおよそ28分にまとめたダイジェスト版である。指揮は、山田一雄(1912年~1991年)先生である。
 山田一雄先生は、日本のクラシック音楽界を支えた指揮者の一人で、学生時代に2度、先生の指揮でフルート(首席)を吹いた経験がある。この演奏が最初で、翌年のベートーヴェン作曲 序曲「コリオラン」が二度目であった。ちなみに、山田一雄先生の前年は、山田先生の弟子である石丸寛(1922年~1998年)先生の指揮でベートーヴェン作曲 序曲「レオノーレ」第3番と「第九」を首席として吹いている。
 石丸寛先生は厳しかったが、山田一雄先生は、更に厳しかった。一番最初の練習のことは、今でも忘れられない。皆、物凄い緊張感の中で待っていると、扉が開いて先生が指揮台に立った。挨拶もそこそこに、すぐに練習が始まった。小柄で銀髪、メガネの奥に光る眼差し。そして独特のスタイル。はっきり言って、指揮がよく分からない。しかし、その時に奏でていたオーケストラの音は素晴らしかった。先生もおっしゃっておられた。「時々、プロの音がするね。」
 迎えた本番。先生は、指揮をしながら唸る。皆も、その気迫にどんどん付いていく。私も4人のソリストにオブリガートで張り合ってしまった。全体的に荒削りの感じで、乱れた音や外れた音だらけだが、指揮者と演奏者、観客が1つになり、ホールの空間に響く「第九」に感動したことを覚えている。
 演奏終了後に舞台裏で、楽譜にサインをしていただいた。その時、おっしゃった。「笛さん、大きな音が出てたね。」と。

 また以下には、翌年の第九演奏会の時に演奏したベートーヴェン 序曲「コリオラン」も掲載した。この時まで「アルルの女」「モルダウ」「サン=サーンス 交響曲第3番」「ベートーヴェン 第9」の主席フルートを務め、山田先生とは2度目の演奏。そして、この「コリオラン」が学生時代最後の演奏でもあった。(第九は、下級生に譲って降り番)フルート・パートは難しいパッセージがなく、ソロもない。しかしながら、気合を入れて演奏したことを覚えている。これまでの「玉川大学管弦楽団」の演奏の中で一番の名演かもしれない。絶対に忘れてはいけない思い出として大切にしたい。

参照(Youtube動画では、山田一雄先生をご覧頂けます。)

  1. 玉川の「第九」
  2. モーツァルト作曲 交響曲第41番 山田一雄 指揮 NHK交響楽団(Youtube動画)
  3. マーラー作曲 交響曲第一番「巨人」第四楽章 最終部分 山田一雄 指揮 NHK交響楽団(Youtube動画)

Youtubeの再生は、設定をHDに

ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付き」/山田一雄 指揮 玉川大学管弦楽団(1985年11月15日 東京厚生年金会館大ホール ライブ録音)

ベートーヴェン 序曲コリオラン 作品62/山田一雄 指揮 玉川大学管弦楽団(1986年11月21日 東京厚生年金会館大ホール ライブ録音)

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ビゼー「アルルの女」/ドボルザーク 交響曲第8番(玉川大学管弦楽団)

2015-11-02 22:25:51 | 音楽

シリーズ:自演クラシック音楽2.~玉川大学管弦楽団

ビゼー「アルルの女」第二組曲からパストラーレとメヌエット 玉川大学管弦楽団

ドボルザーク 交響曲第8番 ト長調 作品88より第一楽章 玉川大学管弦楽団

 ビゼー「アルルの女」は、ドーデの同名の戯曲の付随音楽として作曲されたもので、物語は南フランスのアルルに近い農村を舞台にした牧歌的な悲劇である。第1組曲と第2組曲の2つから構成され、第1組曲はビゼー自身が選んだ4曲、第2組曲の方はビゼーの死後、友人のギローが4曲を選んだものである。
 この音楽ムービー前半は、「パストラール」で、後半は「メヌエット」を演奏している。この「メヌエット」のメロディーは 歌の旋律ではなく、歌にかぶさる対旋律(オブリガート)で、フルートがソロを努める。ピアノやハープの伴奏で単独曲として演奏されることも多い。

 もう一曲は、ドボルザーク 交響曲第8番。ドボルザークと言えば交響曲第9番「新世界より」が有名だが、この8番は、とても甘美なメロディーが印象的である。

 今回の演奏も、玉川大学管弦楽団。フルートは私である。1985年9月に北海道へ演奏旅行に行き、道東を一週間かけて巡りながら小中学校を中心に演奏会を行った時のものである。録音も演奏も良いものではないが、今でも忘れることのない学生時代の良き思い出である。当時の団員が聞いたら、さぞ、懐かしく思うだろう。

Youtubeの再生は、設定をHDに

ビゼー「アルルの女」第二組曲からパストラーレとメヌエット(1985年9月 北海道にてライブ録音)

ドボルザーク 交響曲第8番 ト長調 作品88より第一楽章(1985年9月 北海道にてライブ録音)

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スメタナ「モルダウ」(玉川大学管弦楽団)

2015-10-28 23:20:01 | 音楽

シリーズ:自演クラシック音楽1.~玉川大学管弦楽団

スメタナ 連作交響詩「わが祖国」よりモルダウ

 前々記事にて掲載した音楽ムービー。懲りずにまた作成した。今回は、「モルダウ」である。

 「モルダウ(The Moldau)」は、チェコの作曲家スメタナ(1824~1884)による全6曲からなる連作交響詩「わが祖国」の第2曲。モルダウ川(Vltava)は、ボヘミアを南から北に流れ、ラベ川(エルベ川)に合流するチェコの重要な河川の一つであり、曲は、源流からプラハ市内へと続く、上流から下流への川の情景が非常に鮮明に描写されている。
 スメタナの「わが祖国」では、この「モルダウ」が有名だが、是非、全6曲を聞いて頂きたい。お薦めは、社会主義化を逃れて亡命したチェコ出身の指揮者クーベリックが、祖国の民主化に際し42年ぶりに帰国し、かつての手兵チェコ・フィルハーモニーを振った「プラハの春」の記念的演奏の翌年、チェコ・フィルと共に1991年11月2日東京サントリーホールで行った、格調高く気迫に満ち溢れた演奏(ライブ録音)である。第5曲「ターボル」から間を置かずに第6曲「ブラニーク」へ。冒頭の金管楽器の気合いに満ちた美しいファンファーレに鳥肌が立ち、最後の「高い城」のメロディーには、涙が止まらない。CD及びDVDが販売されている。参照:クーベリックの「我が祖国」に感涙

 この動画は、玉川大学管弦楽団(首席フルートは、私)が、1986年に演奏した時のライブ録音を編集したものである。オーケストラでのフルート吹きなら、「モルダウ」は一度は吹いてみたい曲の1つである。LPレコード化したものを音源としているため、後半は雑音がかなり入ってしまっている。

Youtubeの再生は、設定をHDに

スメタナ 連作交響詩「わが祖国」よりモルダウ(1986年10月5日 川崎市麻生文化センター ライブ録音)

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オーレル・ニコレの芸術

2006-05-07 11:12:57 | 音楽
 これまで、フルーティストのゴールウェイ、ランパルと紹介したが、今回は80歳を迎えたオーレル・ニコレを紹介したい。
 フルートを手にする人たちは、一度はこう自問してみたことがあるにちがいない。一体、フルートという楽器にどれほどのことが可能なのか?音の戯れを越えて、その背後にある人間精神の内奥に切り込むには、その音はあまりにも無力なのではないか・・・
 ニコレは、フルートに無理強いして、意志的な表現や激しい感動を求めようとするのではない。フルートを出来る限り美しくやわらかに響かせて、その美観の中に感覚を越えたものを見いだしていこうとするものである。透明で暖かく、心の底にまでしみ通ってくる響きである。この道は、音楽という芸術の本道であろう。なぜなら、音楽における精神性は、音の中にしか示されず、音によってしか伝達されないものだからである。
 今日、パユやバイノンなど艶やかで達者なフルートを聞かせてくれる奏者は少なくない。しかし、フルートにその先があることを教えてくれる人は、ニコレを除いて何人の奏者の名を挙げることができるだろうか。
 そんなニコレの音楽芸術を味わうには、やはりバッハが一番であるが、私の一番のお気に入りは、今から42年前に録音したフランソワ・クープラン/王宮のコンセール第4番ホ短調である。