オオトラフトンボの飛翔と産卵を撮るべく、一週間前に訪れた池を再訪した。前回は羽化個体は撮影したが、成熟個体は1頭を見かけたのみ。今回の再訪では、多くの成熟個体が池面上を飛んでいたことから、羽化から10日ほどで成熟して池に戻ってくることが分かった。
同属のトラフトンボのオスは数秒というホバリングを行うが、オオトラフトンボのオスは全くホバリングをしない。岸辺から数メートルの所を左右10mほどの範囲を縄張りとして行ったり来たりの飛翔を繰り返す。時々、他のオスが侵入してくれば、激しい空中戦で追い払う。
全くホバリングをしないオオトラフトンボの飛翔を撮るのは容易ではない。いわゆる「流し撮り」で撮るが、相手は小さく距離もある。移動するオオトラフトンボをファインダー内に収めながら
ピントリングを回して、ピントが合ったと思った瞬間にシャッターを切るしかない。一週間前に撮影したカラカネトンボの飛翔撮影が楽に思える。当然、ピンボケ写真の量産であるが、まぐれで撮れることを期待して、とにかく撮りまくる。成功率は5%以下であったが、以下に飛翔写真を掲載した。
前回、羽化殻を見つけた時に気になっていたが、今回も飛翔撮影中に見たオオトラフトンボの脚の長さが気になる。エゾトンボ科は全般に脚が長いが、特にトラフトンボは長く、中でも後脚が長い。生態における必然で、必要であるからこのように進化したのだと思うが、その理由は分からない。メスが卵塊を作る際に姿勢を保つのに有利であったり、ヤゴが羽化場所に移動するために有利であると考えられるが、仮説にもならない勝手な推論である。
飛翔を狙っていると、時々、メスを見つけたオスが交尾態となる。トラフトンボの場合は、池上をタンデム飛翔した後に池の草に止まる。しばらくすると離れてメスは産卵体制に入るが、
オオトラフトンボの場合は全く違う。交尾態のまま隣接する林内の高い梢へと飛んでいく。目撃はできても、撮影は困難であった。それよりも、メスが、いつ、どこから戻ってくるかが分からない。両種ともに、メスは植物などに止まって数分間かけて腹端に卵塊を作り、1回だけ打水してその卵塊を沈水植物に絡ませるような産卵を行うのであるが、交尾を終えたメスを発見できなければ、産卵の様子を撮影することができないのである。
午後になり、オスの飛翔を撮っていると、目の前にメスが飛んできて茎に止まった。しかも、腹部先端に紐状の卵が付いている。おそらく、卵塊を作った後に打水はしたものの、上手く沈水植物に絡まなかったのであろう。このメスは、再度、打水して産卵を終えて飛び去っていった。卵塊を作る瞬間は撮れなかったが、今回の瞬間も、お目にかかることは多くはないだろう。
前回の記事同様に、本ブログでは撮影地の記載をしておりません。またお問い合わせにもお答えできませんのでご了承お願い致します。
参照
以下の掲載写真は、1920×1080ピクセルで投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 2500 +1/3EV(撮影日 2017.05.27 12:16)

Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影日 2017.05.27 9:54)

Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 2000 +2/3EV(撮影日 2017.05.27 9:26)

Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 640 +2/3EV(撮影日 2017.05.27 10:15)

Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 500 +2/3EV(撮影日 2017.05.27 10:16)

Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 640 +1/3EV(撮影日 2017.05.27 10:30)

Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 400 +1/3EV(撮影日 2017.05.27 12:42)

Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 1250 +1/3EV(撮影日 2017.05.27 12:43)

Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE
東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------