山手線に乗り上野に移動。暑い中を東京国立博物館へと向い、まずは「台北國立故宮博物館印 神品至宝」を見る。例の「翠玉白菜」は恐ろしいほどの待ち時間(3時間以上の時もあったとか)だったが、それが帰ってしまい、現在の本展は待ち時間ゼロ。まあ、良かった。
→東京国立博物館の入口のあたりが新しくなっており、(ミニ)ミュージアムショップ兼カフェになっていた。
王義之筆「草書遠宦帖巻」:周りに蔵書印がたっぷり押してある。皆「我こそ認めたり」と押したのかな。
蔡襄筆「草書脚気帖頁」:脚気が良くなってきたという記録書らしい。いろいろあるね。
李嵩筆「市擔嬰戯図頁」:物売りが何と500個の品物を売っているという、実に細かい画。
馮大有筆「太液荷風図頁」:蓮と水鳥。なんとも優雅な図。これは相当良い作品だと思う。
「松蔭図玉山子」:松の下にたたずむ人を立体彫りにした驚きの作品。
「明皇幸蜀図軸」:いわゆる青緑山水。これからやまと絵が生まれ、日本画につながったと言う解説が書いてあった。中国ではこの後、水墨画が発展し、青緑山水は廃れたらしい。
楊維禎筆「行書晩節堂詩冊」:宮廷から下賜された墨を使ったせいか、実に黒々とした字なのである。こういうのも良し悪しがあったのだろうな。
張中筆「桃花幽鳥図軸」:画はともかく、18人もの賛があり、もはや見づらくなっている。
景徳鎮窯「白磁雲龍文高足杯」:ライティングのせいかもしれないが、この白い肌はすごい。
景徳鎮窯「青花葵花文椀」:ふちの薄い器が私のお気に入りである。
「緙絲吉祥喜金剛像軸」:これはまったく刺繍に見えない細かさである。
「刺繍咸池浴日図軸」:雲のうねうね感、海の流れ、岩のグラデーションを刺繍で表現した作品。
「玉帯飾」:帯を飾る玉を使った透かし彫り作品。中国にはこういう透かし彫りが多いような気がするのだが、日本にはあまりない気もする。玉があまり算出しなかったのか、それ以外の素材は透かし彫りにむかないのか?
「「天地人」三連玉環」:穴の開いた円環を3つ重ねたもの。平たくもなるし、展開すると球状にもなる。どうも私のイメージと違うのが、一番内側が「天」ということである。普通は外側なのでは?
「玉」:新石器時代の玉。四角柱で軸に沿って穴が開いており、まだ未解読の記号が彫られているのだそうだ。
「動物文玉鏡台」:青銅器時代の文様を玉で再現したもの。乾隆帝の所蔵していたものらしい。
「鰲魚玉花挿」:鯉が跳ね上がるところと、その水しぶきを表現したもの。
「暖硯」:冬に墨が凍らないように、下から炭火で暖める形式の硯。ふーん、なるほど。
「載湉入承大統詔」:公用語が漢文と満文で書かれている。満文は満州語なのか、モンゴル語なのかねえ?
「朱批奏摺」:地方の豪族? からの手紙に対し、中国皇帝が朱でコメントを入れたもの。マンゴーを知らなかったという皇帝に対して干しマンゴーを送ったところ、皇帝の返事がマンゴーは再送無用である、とのこと。何だか面白い。
「古希天子之宝」「八徴耄念之宝」玉璽:まさに緑色の玉で作られた、15センチ四方くらいの皇帝印。これは押されたら重みがありそうだ。
「紫檀多宝格」:箱から隠し扉のように中の引き出しが現れ、そこにさまざまな小物・宝物が入っていると言うもの。
景徳鎮窯「臙脂紅椀」:外側のピンク色、薄いふち。これは実に良い。
景徳鎮窯「藍地描金粉彩游魚文回転瓶」:器の中に金魚を描いた器が入っており、回転させて泳ぐ様子を見て取れるというもの。
もう少し私に見る目があれば、すごさに驚くのかも知れない展覧会であった。暑いので外を避け、連絡通路を通って本館へ。今回撮影した作品群はどこかでご紹介の記事を作ることにしよう。忘れないように、とりあえず国宝だけメモしておこう。
熊野速玉神社「桐蒔絵手箱及び内容品」:なかなか充実したセットである。
久隅守景「納涼図屏風」:いや、これ有名な作品だけど初めて見た。男女子どもは家族ではなく、守景本人と離散した娘・その息子という説や、「憧れの家族像」という説もあるらしい。
「秋草文壺」:多分、「形が良い」と言われそうな大きな壺。
東洋館もちらりとのぞいておこう。
「青磁下蕪瓶」:やはり中国の青磁はいいものがあるねえ。
この日は35度。死ぬほど暑い。