約1か月も間が空きましたが、今回のフィリピン魚はイエローダブルドフラウンダーBrachypleura novaezeelandiae Günther, 1862です。属名から「ブラチプレウラ」などと呼ばれたりすることもあります。
●コケビラメ科とは
この魚はカレイ目、コケビラメ科に属します。コケビラメ科の魚は世界で4属7種が知られる程度の小さなファミリーです。日本産は2種で、コケビラメがその中では浅い場所に生息しており、見る機会が多いかと思われます。
コケビラメ科の魚は腹鰭に棘があることや、有眼側の胸鰭は無眼側のより小さいなどの特徴からほかのカレイやヒラメの仲間と区別できるようです。鱗ははがれやすく、背鰭・臀鰭の後ろに小さい黒色斑があることなどが特徴です。
雑魚として捨てられることも多いのですが、干物にするとおいしいそうです。この個体は残念ながら標本用で、味は未確認。カシベタとも呼びます。
●イエローダブルドフラウンダーの特徴
イエローダブルドフラウンダーは、コケビラメに似ていますが、眼は(少なくとも、観察した個体では)体の右側にあり、背鰭・臀鰭後方に黒色点が見られず、それぞれの基底に黒色斑があること、そしてなんといっても背鰭の前部が長く伸びるのが特徴です。ただしこの背鰭の前方の鰭条がのびるのは雄のみで雌はのびていないようです。
本種の分布域はインド・西部太平洋で、アラビア湾にも生息します。ただしタイプロカリティのニュージーランドについては誤りということです。水深20mから90mに生息しており、底曳網で漁獲されていますが、フィリピンでは雑魚としてあつかわれているよう。