このニシキベラも、高知県の海では高い確率で出会うことができる魚である。この防波堤では南方性のベラ科魚類が多く、本種の含まれるベラ科ニシキベラ属はヤマブキベラ、オトメベラなどに出会うことができ、いずれも成魚も見ることができる。この近隣ではほかにコガシラベラもいるがほぼ幼魚である。一方、ハコベラ、ヤンセンニシキベラ、リュウグウベラ、セナスジベラは姿を見たことがあるが絶滅してしまったのか、最近は全く姿を見せなくなった。ここ近年は冬季に高知県南部でも積雪することがあり、寒さに耐えられなくなったのだろうか。上記のベラは寒さにも耐性があるのかもしれない。またニシキベラは温帯の種であり、このあたりでは周年いる一方、琉球列島ではあまり見られない。
ニシキベラといえば派手な色彩というイメージが強く、飼育しているとその派手な姿を楽しめるが、実際に海に潜ってみるとニシキベラは暗くて濃い緑色であまりカラフルなものではない。光の当たり方なども影響しているのだろうか。小さな群れで浅い磯に潜む甲殻類や軟体動物、ゴカイ類を捕食し、釣り人の仕掛けにも食いつく。しかしながら味のほうはあまりよくなく、キュウセンのように喜ばれることはない。奥にいるのはニラミギンポだが、ベラに擬態しているのかも?
いつも9~10月に訪問することが多いためニシキベラは大きいものが多いのだが、5月の連休にこの磯を訪れたときには全長1cmほどのかわいい幼魚が採集できた。ニシキベラ属の成長速度は不明であるが、大体初夏産卵だという。ただ、もしかしたら4月にも産卵している可能性はあるだろう。幼魚はかわいいが、ヤドカリなどの甲殻類に襲われる可能性もあるため、これらのいる水槽にはいれられない。成長すると逆に甲殻類が大好物になる。成魚は90cm水槽で飼育するとよい。ニシキベラは雌雄差は小さいが、大きな雄は鮮やかな青色が美しい。
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