今年初めての魚紹介(今年購入した魚ではないが)。スズキ目・イシナギ科・イシナギ属のオオクチイシナギ。
オオクチイシナギは北海道沿岸~九州までの日本海・太平洋沿岸、屋久島、東シナ海、九州-パラオ海嶺と、海外ではピーター大帝湾、朝鮮半島周辺の沿岸に生息している。
全長2mにもなり、深海に生息しているが、幼魚のうちは浅場でも見られる。漁法は深海の釣りや底曳網漁業などである。大きいものは時折底曳網に入りかなりの値がつくこともあるが、ハタ科のクエほどではない。しかしながら市場ではクエと間違えられることもある。ただし背鰭軟条数がクエよりもやや少ないこと、主鰓蓋骨に2棘があることなどで見分けられる。またオオクチイシナギでは老成していない個体では体側に縦帯がうっすらと入ることが多いため、やや傾斜した横帯を有するクエと区別することができるだろう。従来はスズキ科の中に入れられていたが、現在ではスズキ科はスズキ属のみが含まれるとされ、本種はイシナギ科の中に入れられる。この科の魚はいずれも大型になり、2属4種からなる。もうひとつPolyprion属は大西洋の北半球・南半球、インド洋および太平洋の南半球に見られ、2mオーバーのものもいる。
オオクチイシナギ頭部
なお、イシナギ属は日本近海に2種が知られているとされる。もう1種コクチイシナギというのがいるのだが、コクチイシナギのほうはカリフォルニア沿岸など北米西岸に分布するとされるが相模湾でも漁獲されている。「日本産魚類検索」この2種を見分けるには上顎後端が眼の中央より後ろにあるものがオオクチイシナギ、眼前縁下にあるのがコクチイシナギとされている。ただし老成した個体のものを見ると上顎後端が眼前縁下にあるようなものもいるため、この見分け方は使えないかもしれない。側線有孔鱗数はオオクチイシナギが57~68、コクチイシナギでは約80とされているので、これで見分けるのがよいよう。また日本産魚類検索の分類学的付記と文献の中では、「コクチイシナギがオオクチイシナギの老成魚である可能性を含め検討が必要である」とされる。今後の再研究がまたれる。
オオクチイシナギはこれまでは図鑑などの書籍で見たり、釣れた写真を見たり、あるいは市場に上がったのを見てきたが、なかなか魚そのものを入手することができなかった。なんといっても大型のものが多く、下手するとハタの仲間よりも高価なのである。しかし、2018年についに手に入れることができた。この個体は長崎の「印束商店」さんで購入したもので全長570mm、すぐ購入を決めたが、幸いにも安価であった。「印束商店」のみなさま、いつもありがとうございます。なお上の写真は「シーフーズ大谷」さんで撮影。ありがとうございます。
この個体は刺身でいただいたが美味であった。なお、肝臓は食べるとビタミン中毒になる可能性があるので食べてはいけない。肝を使わなければ刺身のほか、煮物や焼き物、鍋物などにもよいと思われる。
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