今回初採集の魚。ハゼ科オオモンハゼ属のカタボシオオモンハゼという種類である。
オオモンハゼ属の魚はみな暖かい海に生息していて、普通はサンゴ礁周辺の砂底に生息している。カタボシオオモンハゼは図鑑などではその存在を知っていたし、飼育したこともあったのだが、採集したのは今回が初めてである。
カタボシオオモンハゼの頭部。特徴としては胸鰭基部後方に黄色の点があることなのだが、この個体ではそれは見られない。眼の下に明瞭な黒い線が腹方にまっすぐ伸びているのも特徴といえるかもしれないが、この特徴はオオモンハゼのほかの種も持っていることが多い。なお、このオオモンハゼ属は10種ほどが知られ、多くはインドー太平洋に生息する。そこまでは多くのハゼがそうなのであるが、このオオモンハゼ属のうち、Gnatholepis thompsoniという種類は大西洋に分布する。しかも西大西洋から、東大西洋の島嶼域にまでである。すごい。
分布域は広く、千葉県でも記録があるというが、基本的には熱帯性の種で琉球列島に多くみられる種のようである。海外ではインドー太平洋(東アフリカからフィジー、ピトケアン)に分布している。観賞魚店では近縁種のアデオオモンハゼがまれに販売されていたのを見たことがあり、本種も沖縄の海水魚店で見たことがあるものの、地味な色彩のためあまり流通することはないようだ。その時の個体は購入したのだがなぜか導入して数日後にお亡くなりになってしまった。なぜかは不明だが、底生のハゼは状態よく飼育できていてもある日突然死亡してしまう、なんていうことが多いように思う。ほかの魚か、甲殻類に攻撃されるのか、水質の変動に弱いのかわからない。
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