魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ワニギス

2016年04月21日 19時50分23秒 | 魚紹介

昨日は長崎県の「たくじー」さんからすごいのが来たのですが、まだ小型底曳網の魚が少し残っているため、先にご紹介。今回の魚「ワニギス」はスズキ目・ワニギス亜目・ワニギス科・ワニギス属と、亜目・科・属の名前にまでなっているのだが、これまで紹介できていなかった種類。

 

ワニギス亜目にはトラギス科・ミシマオコゼ科・イカナゴ科な12の科が含まれている。日本産は8科。ほとんどの種類が暖かい海の海底に生息しているが、トビギンポの仲間のようにごく浅い潮だまりで見られる種もいるし、クロボウズギスの仲間のように中深層を遊泳するものも知られている。このワニギスは海底付近に生息していて、上方にすむ魚などをぱくっ、と捕食するものと思われる。

水深40~400mほどの海底に生息し、主に底曳網漁業によって漁獲される。この個体はやはりこれまで何回か紹介してきた魚と同様に宇和海の小型底曳網、水深70mほどの場所から漁獲されたものであるが、沖合底曳網漁業でも本種の姿はよく見られるものだ。分布域は広く、新潟県、鹿島灘以南の日本海および太平洋岸、そして東シナ海に見られる。国外では黄海や台湾、オーストラリア南東岸にも分布する。ワニギス科の魚は小型のものが多く、本種も全長15cmほどと小型の種である。

体は鱗に覆われているが、腹部には鱗がない。これによりクロワニギスを除く日本産ワニギス科のほかの種と区別できる。クロワニギスはワニギスに似ているが、前上顎骨先端付近に凹みがない(ワニギスにはある)、下顎腹面に鱗がある(ワニギスにはない)、などの特徴や鰓耙数(ワニギスの鰓耙下枝10~11、クロワニギス同12~14)で見分けられる。またワニギスの背鰭は一様に灰褐色で、第1背鰭上半分が黒いミナミワニギスとも区別できる。ワニギス以外の種類は、多くが水深200m前後の海底に生息することが多いため、お目にかかる機会は少ないといえるだろう。クロワニギスは水深1000mほどの海底にまで生息している。

ワニギスは底曳網で頻繁に漁獲されているがほとんど利用されていない種である。その一方でアンコウなど底生の肉食魚の胃の中から本種が見られることもあり、餌としてかなり重要な魚類であるようだ。ほかに同じワニギス亜目の魚類としてはイカナゴやクロボウズギスもほかの魚の胃の中から出てくることもある。クロボウズギスの仲間は深海性で、自分よりはるかに大きな生き物を飲み込むことができる魚であるが、逆にクロボウズギス自身もアカマンボウやメバチなどの餌になることもある。まだ食べたことはないのだが、ヒトが食べても美味しいに違いないだろう。

 


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