魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ゴマテングハギモドキ

2016年04月22日 09時02分56秒 | 魚紹介

先日長崎のたくじーさん(闇の中に潜んで生きている方のようなので本名や勤務先は伏せさせていただきます)に面白い魚を送っていただきました。ありがとうございます!

これがその魚。実は3種いるのですがまずは最初の1種目をご紹介。ゴマテングハギモドキという魚。

ゴマテングハギモドキはニザダイ科・Nasinae・テングハギ属の魚。テングハギ属の魚はインドー太平洋および東太平洋より20種が知られているが、日本には16種(ほかにNaso reticulatusという種が知られているがこの種は標本が残っておらず、日本からは写真のみの記録、標準和名もついていない)が知られている。

「テングハギ」といえば頭部に「つの」がはえているものというイメージがあるが、このゴマテングハギモドキにはつのは生えていない。体は一様に灰褐色で、体に黒っぽい斑点があるのが特徴だ。このような斑点をもつのはほかにナガテングハギモドキと、Naso reticulatusが知られているが、ナガテングハギモドキはその名の通り体が長いこと(体長は体高の3倍以上、ゴマテングハギモドキはもっと短く体高がやや高い)、背鰭棘数はナガテングハギモドキでは5(ゴマテングハギモドキでは6~7)であることにより区別できる。またN. reticulatusは背鰭棘数が5と少ないほか、体の斑紋が虫くい状の斑紋であることにより本種と区別できるようだ。

体の模様は斑点状

背鰭棘数6~7

ゴマテングハギモドキは暖かい海域のサンゴ礁域や岩礁に生息している。やや深場に生息していることが多いのだろうか、ウメイロなどを狙っていると本種も釣れてくることがあるようだ。ニザダイといえば藻類などを食うイメージがあるが、本種は水深200m以深の場所にも生息しており、動物プランクトンや底生動物などを食べているものと思われる。分布域は日本においては伊豆諸島、相模湾以南太平洋岸、琉球列島、南大東島、小笠原諸島。海外では台湾や西太平洋に分布し、ハワイ諸島にもいる。南はロードハウ島にまでいるよう。成魚は全長60cmに達する。

釣りではたまに釣れる魚であるが、食はどうなのだろうか。ネット上では美味しいという意見が多い。今回は刺身で食べたが味は極めてうすい。しかしまずいわけではなく、臭みもなかった。このほか現在は味噌につけていてそれは焼いて食べてみる予定である。本種に限らずニザダイの仲間はよく食されている。ニザダイ科の代表種、ニザダイは釣り人には敬遠されているような魚ではらうが、きちんと処理したものについてはこれより美味しい魚を探すのは難しいようなものであった。

なお尾柄部には2対の大きな骨質板がある。取り扱いには注意すべき種といえるが、気をつければそれほど問題にはならない。クロハギなどでは尾柄部に大きく鋭い棘があるためさらによく注意しなければならない。


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