魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

クロウシノシタ

2022年06月04日 09時38分05秒 | 魚紹介

この間の磯採集ではカレイ目ウシノシタ科のクロウシノシタが見られた。クロウシノシタはその名の通り、黒っぽい牛の舌のような魚、ということである。

クロウシノシタはこの属ではもっともふつうに見られる魚である。属の特徴は口唇に鬚があることで、これがないイヌノシタ属と見分けることができる。写真からもこの特徴は見えるので、同定にはあまり苦労しないだろう。

なお属の標準和名は「クロウシノシタ属」ではなく「タイワンシタビラメ属」である。日本には3種いるとされるが、そのうちの一種、チンゼイシタビラメについて、魚類検索図鑑では日本国内の分布(九州と琉球列島)にクエスチョンマークが付けられている。Fishbaseによれば世界で6種類が知られており、いずれもインドー西太平洋域に生息している。クロウシノシタは日本産のほかの種からは側線が3本あること、背鰭106~117軟条であること、無眼側の背鰭・臀鰭が明瞭に黒いことなどで見分けられるようだ。ただし幼魚では色彩による同定は不可能と思われる。なお、有眼側の体側には黒い点があるが、これは同定の決め手にはならない。

この個体は干潮時(マイナス潮位のとき)、水深10cmもないくらいの場所で見られた。クロウシノシタは結構このような浅場で見られる種のため、何度か採集したことはあるが、これほど大きい個体は初めてであった。食用に持ち帰ってもよかったのだが、今回はリリースした。結構鈍足で、逃がした後も岩陰に隠れて砂の中にうずもれていた。ダルマガレイなどのように俊敏に逃げ回るというよりも、隠れて身を守るタイプらしい。

 

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