久しぶりのぶろぐの更新。我が家に珍しいフグの仲間がやってきた。フグ目・イトマキフグ科のキスジイトマキフグ。イトマキフグ科の魚がやってきたのはこれがはじめてである。
この仲間は体が硬い甲に覆われていて、ハコフグ科に極めてよく似ているが、背鰭や臀鰭の直後が体甲に覆われていないという特徴がある。イトマキフグ科の魚は世界中で13種が知られているが、そのうちの多くがオーストラリア~ニュージーランドに見られ、ハコフグと異なり大西洋には産していない。日本には2種が分布している。もう1種イトマキフグは南日本沿岸のやや深場から底曳網で漁獲されるものの、あまり多くは漁獲されないらしく、私は見たことがない。ちなみにキスジイトマキフグを触れたのは初めてとなるのだが、先述のイトマキフグも見たことがなく、イトマキフグ科の魚自体触るのは初めてである。ただしイトマキフグ科の魚は水族館ではそこそこ飼育しているところがあり、ホワイトバードボックスフィッシュなどはまれにアクアリウムショップで販売されているのも見られる(ただし高価)。
キスジイトマキフグの背面
キスジイトマキフグは背鰭軟条数が9~11軟条であるが、この数値はイトマキフグと多少被る。キスジイトマキフグの体側には黄色の模様があり、ほかの種と見分けられるかもしれないがこの個体ではかなり薄いなど変異があると思われる。同じように南ア~モルディブ方面に住むKentrocapros rosapintoもよく似た色をしている。一方ニュージーランドにのみ生息するキマダライトマキフグは青灰色の体に黄色い斑点があるが、生態写真がないのが残念である。また本種は背中隆起に目立つ棘がなく、イトマキフグやキマダライトマキフグと見分けることができる。
ハコフグ科の魚は皮膚から毒をだすことでよく知られているのだが、このイトマキフグ科の魚も皮膚から毒を出すとされている。そのためほかの魚とは一緒に飼わないほうがよいだろう。筋肉に毒性はあるのかないのか不明であるが、万が一ということもあるため、食べないのが無難である。今回は食べないで、耳石標本用に保存しているのだが、耳石を採取するような暇がないため現在は冷凍庫の中でお昼寝中である。
今回は愛知県の鈴木項太さんより、魚を初めて送っていただいた。ありがとうございました。
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