2013年、鹿児島で漁獲されたハタを入手した。カケハシハタという種類である。
カケハシハタはインドー西太平洋に生息するハタの一種である。日本ではあまりよくみられる種類ではないようで、幼魚が釣れれば「あれ、この魚なんだろう、わからん。ちょっと聞いてみるか」というようになる種だ。またホウキハタと混同されていることもある。たしかになれないうちはわかりにくいかもしれないが、なれれば決して難しいものではない。ホウキハタには弧を描くような斑紋があるが、本種にはそれがなく、斑紋は虫食い状である。少なくともイヤゴハタとホウキハタの区別よりは簡単であろう。
インド—西太平洋に分布するといっても、広範囲にいるわけでなく局所的な分布のようだ。「日本産魚類検索」によれば、日本においては相模湾、駿河湾、和歌山県、愛媛県、高知県に分布とあるが、琉球列島でも漁獲されている。
生息場所は岩礁域だがやや深場をこのむ。ホウキハタ・イヤゴハタ、そして本種の「よくにた3兄弟」はいずれもやや深い、水深50~300mの岩礁域から釣りや延縄などで漁獲されている。いずれの種類も食用となり、この個体も美味であった。刺身や鍋物、煮つけなどさまざまな料理に利用できる。もっとも、ハタ科の魚は美味しくない種をさがすのが難しい。ルリハタなどちょっと苦みがある種もいるが、皮目を除けば美味しく食べられたし、ほかの種は巨大なクエから成魚でも20cmまでのハナスズキの類まで美味しいものばかりである。
沖縄県那覇(いゆまちで購入した個体)
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