今日は時間に追われているので短くいきます。スズキ目・メバル科・メバル属のクロメバル。
過去に「メバル」という種標準和名で呼ばれているのは「アカメバル」「クロメバル」「シロメバル」の3種に分けられている。そのうちの1種である。クロメバルはアカメバルやシロメバルに比べて黒っぽいのが特徴であるが、体色には変異が多いメバル属、色彩はあまりあてにならないようである。
メバル3種の共通点としては、眼の下方、涙骨に顕著な2棘があること。また頭頂付近の棘はほとんど目立たない。これによりソイの仲間などとは異なる雰囲気である。また体側には不明瞭な斑紋があるが、トゴットメバルやウスメバルのものほど顕著ではない。この個体のように薄れてしまっている個体もいる。
さて、「メバル3種」の見分けであるが、これが難しい。基本的には胸鰭の軟条数、臀鰭の軟条数、側線有孔鱗数により見分けられる、とされている。「日本産魚類検索」第三版だとクロメバルだと胸鰭16軟条、アカメバル15軟条、シロメバル17軟条であることが多いが、個体によってはアカメバルでも14軟条であったり、シロメバルでも16軟条だったりする。また、臀鰭軟条数は通常クロメバルでは7~8軟条、アカメバルでは7軟条、シロメバル8軟条とされるが、これもやはりばらつきがある。側線有孔鱗数はクロメバル43~49,アカメバル36~44、シロメバル37~46となっているが、やはり数値は重複する。結局この3種は分子分類学的には3種に分けられるものの、外見では見分けるのは難しいといえるだろう。淡水魚のヨシノボリなどのように闇が深い魚といえそうだ。
メバル3種はいずれも釣り魚、食用魚として重要。ウスメバルやトゴットメバルといった種はやや深い場所から釣りによって漁獲されることが多いが、本種は沿岸の岩礁域、海藻が多い場所に小さな群れをつくって海底から離れ浮かぶようにして泳いでいることが多い。防波堤からの釣り、サビキ釣りやソフトルアーで釣ることができる。北は北海道南部から、南は九州の沿岸、宮崎北部にまで分布している。四国では愛媛では普通種であったが、高知では1回しか見たことがなかった。あるていど水温が高いのはOK.であるが、黒潮がガンガン当たるような場所は苦手なのかもしれない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます