魚のぶろぐ

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コモンイトギンポ

2023年01月18日 15時48分15秒 | 魚紹介

今日は冬から春の磯で見られる魚の紹介。スズキ目・ゲンゲ亜目・タウエガジ科のコモンイトギンポ。

コモンイトギンポをふくむカズナギ属の魚はニョロニョロしていて、ウツボの仲間と間違えられやすいが、小さいながらも胸鰭があり、背鰭前部にしっかりとした棘条も確認できるためウツボの仲間と見分けられる。ウツボの仲間は胸鰭がなく、鰭条も退化している。食用魚として知られるギンポとは、尾部の形で見分けられそうだ。ギンポでは尾鰭が丸いが、カズナギ属ではとんがっている。なお、カズナギ属はギンポとは異なり、一般的にはほとんど食用になっていない。ただ、薄い側扁した体であるため、ギンポ同様天ぷらにして食べると美味しいかもしれない。ただし、季節を外すと出会えないし、あまり多い魚でもない。本種は従来はゲンゲ科とされていたが、近年はタウエガジ科の中に入れられているようだ。ただし、タウエガジ科についてはいくつかの亜科に分かれていてそれぞれ別の科とされることもある。FishbaseではNeozoarcidaeとされ、ヒメイトギンポ属2種、カズナギ属8種の計10種が知られている。日本産は7種が知られており、日本に産しない3種もサハリンやオホーツク海、極東ロシア、朝鮮半島などの分布で、東アジアにのみ分布するものと考えてよさそうである。

カズナギ属ではいずれも背鰭や臀鰭に模様が入る。本種では背鰭と臀鰭に、2本でひと組となった暗色の線が入っている。関東沿岸ではこのほかにトビイトギンポという種もいるのだが、この種は三角形状の暗色斑が並んでいるので見分けることができる。

コモンイトギンポは分布域が狭く、千葉県~神奈川県までの沿岸に生息する。それ以外の地域ではノトカズナギ(能登半島羽咋)、オオカズナギ(三重県、和歌山県、京都府以南日本海岸、瀬戸内海、九州北岸および東シナ海岸など)に置き換わる。また本種は冬~春にかけて浅いタイドプールに姿を現すも、やがて消えてしまう。どこに行くのかわからないが、ギンポ同様に夏季は深場に行くのか、それとも高水温にも耐えられる卵を残して一生を終えるのかは定かではない。よく見るときれいな色をしていて、かわいいので持ち帰って水槽で飼育してみたくなるが、高水温に弱いためカクレクマノミなどの熱帯性の海水魚とは混泳させられないので注意が必要。ダンゴウオなどと飼育してもよいかもしれないが、いずれにせよ一般の水槽用クーラーを使用した飼育では夏季を乗り切るのは難しいだろう。


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