今回登場していただく深海の魚は、ギスPterothrissus gissu Hilgendorfです(キスとは違います)。この個体は水深270mから採集されました。
ギスは、ソトイワシ目ギス科に属する魚です。ソトイワシは四国では殆どなじみがないですが、琉球列島では浅瀬からの投げ釣りでつれるそうです。
種数はわが国から知られるギス科魚類は本種1種のみ(世界でも2種)、ソトイワシ目全種含めてもわが国には3種(世界でも10種)しかいないという、小さなグループです。
英名はLongfin bonefish、長い鰭のソトイワシ、という意味です。ギスの背鰭はソトイワシよりも長く、軟条数も多くなります。Fishbase(※)による英名はJapanese gissu、「これはそのまま日本のギス」という意味です。
本種では葉形仔魚期を経て変態して成長するという特徴があります。これはソトイワシ目全体にあてはまるようで、他にカライワシ目魚類やウナギ目魚類も同じように変態し成長します。四国ではアナゴ類の葉形仔魚を「のれそれ」と呼び、生で食べます(美味しい)
ギスの成魚は高級練り製品の原料として使われています。
※Fishbaseではギスをソトイワシ科に含めていますが、ここでは日本産魚類検索に基き、独立の科として扱います。
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