魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

フィリピン魚28.ホシゾラヤッコ

2012年03月30日 13時55分16秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚はキンチャクダイ科のホシゾラヤッコChaetodontoplus caeruleopunctatus Yasuda and Tominagaです。

ホシゾラヤッコは1976年、フィリピンで採集された個体をもとに、日本の安田富士郎氏と富永義昭氏により記載されたものです。掲載されたのは日本の「魚類学雑誌」です(※)。今でこそ魚類学雑誌は和文誌ですが、当時は和文と英文の両方が掲載されていました。「魚類学雑誌」は当時、外国の研究者の方々も多く記事を書かれており、ランドール博士らが記載し、アクアリストにもなじみの深い「マルチカラーエンゼル」や、「ゴールデンエンゼル」の記載論文などもありました。

さて、本題。

「ホシゾラヤッコ」という和名の由来は、体側のこの模様でしょう。遠目からはわかりにくいですが、実際には小さな青白斑がありきれいです。個人的には、英名の「Bluespotted angelfish」より、ホシゾラヤッコの和名の方が「ぴん」とくる、あるいはイメージがわいてくるのは、私が日本人であるからでしょうか。

頭部です。鰓蓋に大きな棘があります。ヤッコの仲間はこの強い棘があるので気を付けないといけません。

 

尾鰭は一様に黄色。尾柄部にまで青い小さな斑があります。キンチャクダイ属は尾鰭が黄色い魚が多いですね。

この個体は全長が20cm近くあったように思います。英語の魚類データベース「Fishbase」では最大全長14cmと書いてありましたが・・・あまりにも迫力満点の個体です。飼育は話を聞くところではやや難しいとされており、やや臆病とも聞いています。サンゴ水槽でゆったりと泳がせたい魚です。

●キンチャクダイ属

キンチャクダイ属の魚は太平洋、一部インド洋から14種が知られています。サンゴ礁が発達した暖海にすむものや、波の荒い温帯の岩礁域に生息するものもいます。フィリピンには本種のほか、キヘリキンチャクダイ、チリメンヤッコの3種が分布します。日本産は5種で、チリメンヤッコ、キヘリキンチャクダイ、アカネキンチャクダイ、キンチャクダイ、そして謎の多い珍種、クロキンチャクダイの5種が分布します。ただし、そのうちアカネキンチャクダイは、キンチャクダイとキヘリキンチャクダイの交雑種であるという指摘もされています。

うち、キンチャクダイは浅海の磯などで採集できることもあります。磯採集者においてはあこがれの魚のひとつといえます。

チリメンヤッコChaetodontoplus mesoleucus (Bloch)

チリメンヤッコは、奄美以南のサンゴ礁に生息する普通種です。浅いところに生息し、幼魚は磯採集も可能だそうです。腹鰭は灰色っぽく、尾鰭が黄色です。インドネシアなどで見られる、腹鰭が黄色、尾鰭が灰色っぽいのは別種グレイテールエンゼルフィッシュとして最近記載されています。写真の個体はフィリピン産。

キンチャクダイChaetodontoplus septentrionalis(Temminck and Schlegel)の成魚。定置網で漁獲された個体。観賞魚として近海ものがたまに流通するが、大きいものは餌付きがあまりよくないともいわれ、食用にもあまりされていないようです。南日本から中国、台湾に生息します。ベトナムのものは頭に青い模様がありますが、今でも本種と同一種とされているのか気になります。これは愛媛県産。

オーストラリアやその近辺には種が多く「コンスピ」の愛称で人気の観賞魚コンスピキュオスエンゼルフィッシュや、スクリブルドエンゼルフィッシュなどが分布します。ほか、アクアリストの世界にはまだまだなじみのないオーストラリア固有種、バリナエンゼルフィッシュもいます。

(※)魚類学雑誌の過去の文献は、日本魚類学会のサイトhttp://www.fish-isj.jp/index.htmlからPDF形式でダウンロード可能です。

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