ネタが少ないので、今日も以前入手した魚のご紹介。スズキ目・ベラ科・テンス属のヒノマルテンス。ヒノマルテンスはテンス属としては最もわかりやすい模様を持っているため、ほかの種とは見分けやすい。
ヒノマルテンスの体側。体は白もしくは灰色っぽく、体側中央部には目立っている日の丸模様がある。ただし水中では暗色に見えることが多い。また小さいうちは模様が楕円形になったりするなどして、きれいな日の丸にはならないことがある。ホシテンスなどに見られる横帯などは見られない。ホウキボシテンスも体側前半に大きな赤黒い模様をもつが、体側後方にも縦帯の斑紋を有することで見分けられる。またIniistius umbrilatusという種もよく似た模様を有しているのだが、これはハワイ諸島の特産種である。
テンス属はベラ科としては特異的なグループ。体がうすっぺらで、かなり側扁している。睡眠はほかのベラの多くと同様、砂の中に潜って眠る。
和歌山県以南に見られ、分布域は広めなのだが生息水深が20mほどの砂地、ということでやや深場であるため、ダイバーに観察されることは少ないようである。海外では西太平洋とインドネシアに生息している。生息地では食用とされ、今回も煮て食べたが美味であった。観賞魚としてはごくまれに入荷されるものの、めったに見られない希少な魚である。数が少ない、というよりは現地漁師さんがあまり本種を採集しないのだと思われる。というか、テンス属自体観賞魚店ではほとんど見られず、市場行きとなることが多いように思われる。
この個体はHN「どぅ」さんよりいただいたもの。ありがとうございました。今日は鹿児島からまた「大物」が届く予定ではあるのだが、紹介はまた後日で。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます