だいぶまえにいただいた魚のご紹介。スズメダイ科・オヤビッチャ属のシチセンスズメダイ。
オヤビッチャ属の魚は日本に8種類が知られている。喜界島には6種がいるのを確認しているが、すべての種が浅いサンゴ礁に生息していて、イノーでのウキ釣り、脈釣りで多数釣れる。多くはシマスズメダイ、オヤビッチャで、イソスズメダイやシリテンスズメダイも釣れるのをみている。ロクセンスズメダイは防波堤に多い。
シチセンスズメダイはロクセンスズメダイに名前がにているものの、実際にはロクセンスズメダイよりもシマスズメダイに似ていて、地味な灰色の縞模様が特徴。シマスズメダイよりも顔つきが丸く、頭部には黒い斑紋がない。シチセンスズメダイの分布は国内では千葉県以南の太平洋岸、琉球列島、尖閣諸島だが、関東ではあまり見ない。海外では東アフリカからトゥアモトゥ諸島に至るインド-中央太平洋域に見られるが、ハワイ諸島にはいないようである。
シチセンスズメダイ
シチセンスズメダイ頭部
シマスズメダイ
シマスズメダイ頭部
シチセンスズメダイとシマスズメダイの見分け方は頭部を見るとよい。シマスズメダイは頭部に黒い斑点があるあるが、シチセンスズメダイのそれは明瞭ではなく、後頭部に斜めの線が入る。シマスズメダイは眼下骨上に鱗があまりないが、シチセンスズメダイにはびっしりと鱗がある。
シチセンスズメダイ尾部
シマスズメダイ尾部
日本産魚類検索ではシチセンスズメダイの尾柄部には黒色斑がないことになっているが、実際には成魚には薄いけど黒色斑のある個体もいるし、幼魚には明瞭な黒色斑があったりする。
シマスズメダイは千葉県以南太平洋岸、九州北西岸からインド-太平洋域に広く分布しているが、ハワイ諸島に分布するところはシチセンスズメダイとことなる。生息環境自体は2種ともあまり違いはなく、サンゴ礁域のごく浅い場所に見られる。幼魚の写真だけでは同定が難しい場合もあり、成魚まで育ててみたいところだが、性格は荒くほかの魚との飼育はむずかしい。もっともこれはほかのスズメダイにもいえることだが。
今回の個体はHN「がほー部長」さんより頂いたもの。ありがとうございました。