プロフィールによると、2000年のCASH流行曲創作大奬を受賞した後、張學友や鄭秀文、許志安、薛凱など、多くの歌手に楽曲を提供。作詞、作曲両方こなし、広東語のみならず北京語の詞も書ける。曲もきれいだが歌詞も丁寧に韻を踏みつつストーリー性があって、独自の世界にひきこまれる。藍奕邦の女性版と言ってもいいかも?
声は細くて高い、中華圏の女性歌手によくあるタイプだが、キンキンうるさくなくて、柔らかい、優しい感じ。こう書くと「癒し系」に分類されそうだが、それだけでじゃなさそうだ。声量はそれほど大きくないが、いっぱいいっぱいな感じではなく、余裕があって安心して聴いていられる。ボサノバ風の曲なんかとっても爽やかで気持ちいい。曲調や歌い方は王菲を彷彿とさせるものがあるが、よく聴くと違う。王菲はちょっと投げやりな声の出し方をする部分があって、そのレイジーなムードが魅力のひとつだけど、イヴァナは一音一音、包み込むように歌っている気がする。全曲自作で、どの曲も自分の子どものように、大切に世に送り出しているんだろう。その音楽への愛情が曲に乗って聴く者の心に響く。
ミュージシャンは案外いろいろなタイプの人が参加。Jim Lau、劉志遠、Alex Fung、ギターのDanny Leung、ドラムのMelchior Sarreal、プロデュースにはベテラン金培達や、Invisible Men(たぶん陳奐仁のこと)の名前もある。上質の素材(楽曲)はどんなシェフ(ミュージシャン)が料理してもばっちり、なんだろう。
発売は5月なのですっかり紹介が遅れてしまったが、このタイミングで紹介する気になったのは、アルバムには収録されていない新曲「手望」がヒットしたから。そして、同じ曲でタイトルを「守望」と変えたバージョンで、張敬軒をフィーチャー! これはぜひぜひ聴いてみたい・・・商業電台の会員の方は、903専業推介の第42週で2位にランクインしているので聴いてみてください(商業電台は有料会員じゃないとアーカイブが聴けないのが残念)。「手望」(一人で歌っている)はTVB勁歌金曲でMVが見られる。
才能と将来性では、マジで今年の新人中一番かも。あ、ジャケに顔が出てないけど、色白で大人しそうな、地味なキャラ(アイドルじゃないからモウマンタイ)。音楽好きの人に聴いてほしいアーチストだ。こんな人が出てくるんだから、香港ポップス界も捨てたもんじゃないんだって。前にも書いたけど。
ivana王[艸/宛]之 @YesAsia.com