世界フィギュア、Cuoreさんのコメントでジュベール選手の発言について知った。
メダリストたちの記者会見で、「自分やランビエール、高橋は4回転に挑戦したが、バトルは挑戦しなかった」「新採点システムでは、簡単でミスのないプログラムが有利になっている。4回転ジャンプはもっと評価されるべきだ」と発言。それに対してバトル選手は、「ジャンプだけでなくスピン、ステップ、スケーティング、全てがフィギュアスケートだ」と反論。ちょっとした論争になっているようだ。
くわしいことは、スポーツナビの青嶋ひろのさんのコラム、Golden Skateの記事をまずお読みいただきたい。ジュベール選手が自分の演技を棚に上げてバトル選手を批判したように受け取られたようだが、くわしく読むと、新採点システムに対する意見を述べたのが主旨だと思われる。
同時に、ジュベール選手にしてみれば、トリノ五輪銅メダルのバトルほどの選手が守りに入るなんて、、、と残念に思う気持ちもあっての発言だったのではないかと思う。
今回の演技の内容と結果、それに対する発言は、ジュベール選手とバトル選手の、アスリートとしてのタイプの違いが出たのではないだろうか。
ジュベール選手は、高難度の4回転ジャンプに挑戦して決めることで調子を上げ、スケート全体が良くなっていくタイプ。練習で調子が悪かったために本番で難度を落としたりすると、気分がのらずに失敗してかえって点を伸ばせなかったりしそう。そして勝負に勝ちにいくための挑戦を辞さない。
一方バトル選手は、確率の低い技に挑戦しないことで余裕が出て、演技全体に集中できるタイプ。無理に高難度のジャンプに挑戦して失敗したとき、ほかの部分で取り返そうとしてあせり、かえって点数が伸びない―というのが不調だったときのパターンだったのでは? そして、点数より自身の実力を出し切ることに強く達成感を感じている。
器械体操でも飛び込みでも、演技採点種目では両方のタイプがいると思う。でも最終的には、難度と出来栄えの両方が揃わなくては勝てない。
今回はバトルが勝ったけど、たとえ完璧な演技を来年またできたとしても、同じ内容では勝てないだろう。“4回転を跳ばずに勝てた最後のチャンピオン”になる可能性は低くはない。それはきっと、バトル自身もわかっていると思う。
4回転ジャンプの豪快さか、スケーティング全般の美しさか、それは青嶋さんが書いているように二者択一のものではなく、兼ね備えた選手がチャンピオンになるのが理想。というより、ジャンプが素晴らしい選手は必ずスケーティングがよくなるし、スケーティングのいい選手はジャンプも跳べるようになっていくように思う。理想の演技への挑戦と、それを正当に評価する採点システムに向かっていってほしい