なんだか一昨日は体調不良に陥り、一日中起きられなくて 全日本フィギュアスケート選手権のエキシビション、メダリスト・オン・アイスも録画しただけでまだ見てない。昨日ネットを見たら、織田信成選手が引退を発表したというニュース。そんなぁ~~~
「オリンピックか世界選手権代表に選ばれなかったら、そこで引退と決めていた」という。四大陸は若い選手に機会を、だそうだ。世界選手権に小塚崇彦と織田信成を派遣することにしてたら、もう少しだけ織田選手の試合での演技が見られたのかな・・・。3枠なら小塚と織田で取れないということはない。まさにバンクーバー五輪の前年、6位と7位でもぎとってきたのがこの2人。羽生結弦もいるんだし
引退セレモニーで選手仲間から花束を贈られて涙している写真を見ると、これはこれでいい引退なのかな、とも思うけど。
小塚と織田、選ばれなかった理由を、技術点から考えてみた。
全日本の小塚選手のフリーを見ていて、あれっと思ったのが最後のジャンプ。ダブルアクセル+2回転トウループだった。セカンドに3回転つけたらザヤックに引っ掛かるような構成? 後でジャッジスコアを見たらそうでもなかった。単に3回転がつけられなかっただけのようだ。
でも終盤の一番疲れているときのジャンプとはいえ、ダブルアクセル+2回転トウループでは、男子のトップクラスとしては寂しい。元々こんな構成だったのか?と、今シーズンのジャッジスコアをチェック。
最後の一つ前が、本来なら3回転ルッツ+3回転トウループだった。今回はルッツで転倒してしまったので、その分リカバリーしたわけだ。それはいいけど、最後がダブルアクセルというのは、少しもったいないような、、、。羽生結弦や町田樹のフリーには入ってない。
さらによく見ると、今シーズンの小塚は3回転ループを跳んでいない。
遡ると、昨年の全日本、その後のガルデナ・スプリング・トロフィーでも跳んでいない。昨年の全日本といえば、後から足に怪我があったことが明かされた頃。その後なかなか痛みが取れず、根本的な治療には手術が必要で、手術をしたらソチ五輪には間に合わないので、今季は手術せずにここまできたという話だった。
8つのジャンプ要素でザヤックルール違反を避けつつ少しでも高得点を取るには、全種類の3回転は必須のはず。ループより基礎点の低いサルコウを残しているのは、ループジャンプが足に負担をかけるからなのか?
今シーズンの理想ジャンプ構成を推定してみると(基礎点1.1倍になる後半はx):
4回転トウループ
トリプルアクセル
3回転ルッツ+2回転トウループ+2回転ループ(3連続は後半に回すことも)
xトリプルアクセル+2回転トウループ(前半で3連続を跳ばなかった場合はここで+2回転ループ)
x3回転フリップ
xダブルアクセルまたは3回転サルコウ
x3回転ルッツ+3回転トウループ
x3回転サルコウまたはダブルアクセル
ジャンプ合計は63.87が基礎点になる(後半に3連続を跳んだら64.05)。スピンとステップが全部レベル4が取れたと仮定すると、合計は79.77(79.95)。全日本では3回転予定が2回転になったりステップのレベルが3だったので、基礎点合計は76.09だった。GOEの加点はしっかりついて、技術点は86.11。だいたい85点から90点が目標のプログラムといえる。
演技構成点は今回89.00だったが、国際大会では前にGPシリーズで84点台が出たことがある。今季は80点ちょうどくらいだが、出来がよければもう少し乗せられるはず。合計では175点くらいが見込めるだろうか。
・・・見込めるけど、今季のGP2大会ではちょっと遠かった。全日本では174点出たけど。
織田はもう少し点が取れる構成。
4回転トウループ+3回転トウループ
4回転トウループ
トリプルアクセル+2回転トウループ
xトリプルアクセル
x3回転ルッツ+1回転ループ+3回転サルコウ
x3回転フリップ
x3回転ループ
xダブルアクセル
ジャンプ合計で70.63。織田も最後がダブルアクセルだけど、3連続コンビネーションが3-1-3、全種類の3回転を網羅した上で追加がダブルアクセルの形。スピンとステップで全部レベル4が取れたら合計は86.53だけど、なかなか全部は取れないので、、、レベル3なら84.53というところ。グランプリファイナルではこの目標に近い83.49の基礎点に約8点のGOE加点だった。全日本では4回転が1本しか入らず、スピンのレベルも1があるので基礎点は77.89と低めになったが、GOEは14点近い加点をもらった。90点以上、理想的には95点に近づけたいプログラム。
演技構成点はだいたい84、5点なので、MAX180点くらい。全日本はほぼそれに近かったかな。
小塚も織田も、全日本での演技はよかった。ただ、さらに得点を伸ばせるかどうかという点では、小塚は構成の面で限界があり、織田はあと4回転1本分だけ、というところかと思われる。
全日本の高橋大輔は理想には程遠い出来だったが、予定通りできたら
4回転トウループ
4回転トウループ+2回転トウループ
トリプルアクセル
xトリプルアクセル+2回転トウループ
x3回転ルッツ+2回転トウループ+2回転ループ
x3回転ループ
x3回転フリップ
x3回転サルコウ
ジャンプ合計67.25。コンビネーションにつけるトウループをどれか一つ3回転にすると、70.05ないし70.23になる。ステップはレベル4が期待できるし、スピンは全日本ではコンビネーション2つでレベル4、レイバックでレベル3を獲得。合計15.8を加えて83.05から86.03が理想の基礎点(レイバックが認められずアップライトになると0.5下がるけど^^;)。GOE加点10点でも95点前後になる。
なんといっても高橋大輔は、演技構成点で高得点が見込める。NHK杯でも91.34だし、過去にISUの大会で何度も90点越えしている。合計185点かそれ以上出せる可能性は十分にある、かもしれない。
実際にそれを今季見せてはいない。が、可能性は一番大きいと看做されたのではないだろうか。
さて、町田樹はどうだったか。全日本でのジャンプは:
4回転トウループ
4回転トウループ+2回転トウループ
トリプルアクセル+3回転トウループ
xトリプルアクセル
x3回転ループ
x3回転ルッツ
x3回転フリップ+2回転トウループ+2回転ループ
x3回転サルコウ
理想の構成をきっちりやってみせた。基礎点合計85.12、もう上げるところはスピンのレベル一つ分、0.4しかない 加点も10点以上稼いだし、演技構成点は今季国際大会でも82、3点取れてるから、180点に手が届く。あとは五輪本番で再現するだけ!
4回転が2本入れば織田のほうが点は取れそうだが、大一番でSP・フリーとそろえたのが偉い。文句なしだった。
高橋大輔の可能性が大きく評価されていたということは、小塚と織田が倒すか迫るべき相手は町田だったかも。織田はSPで出遅れてなければ…。小塚は順位より得点を狙う必要があったのかもしれない。
こちらの記事に「選考基準には言葉が足りなかった。選手たちは自分の立ち位置がわかっていれば」とある。高橋大輔はたしかに無理する必要がなかったかもしれないが、無理して2本の4回転に挑んだことで、可能性の大きさを改めて示すことになった。一方で小塚は、堅実に得点を重ねる力は示せたが、可能性の大きさで高橋大輔より優位に立てなかった。わかっていたら、構成を変える選択もあったかもしれない。
選考基準とはなんの関係もないけれど、SPが終わって小塚が「なんでこんなに点が出たのか」と高得点にとまどう発言をしていた。久々に小塚らしいスケーティングが評価されたんだから、そんな謙遜しなくていいのに…(何度も転倒しても高得点が出ることもあるんだし)。少し“弱気”な印象を与えたのでは、、、少なくとも後押しにはならなかった気がする。天下の高橋大輔を押しのけて出ようと言うからには相当の覚悟を見せてほしかった?!
織田の引退表明を受けて、四大陸選手権には無良崇人が出場となった。無良も小塚も今は口惜しいだろうけど、今ある力を発揮してほしい。来季以降につながるように