前文科省事務次官の前川喜平の言動は、一般の人たちの社会常識とはかけ離れている。文科省が法律に触れる天下りを行ったことについて、前川は一片の反省もないのである。さらに、独善的な官僚の典型として、獣医学部の新設を認めてこなかった既得権益に固執した▼小室直樹は『危機の構造』で日本の官僚の問題点を指摘していた。「官庁、学校、企業などの機能集団は、同時に生活共同体であり運命共同体である。各成員は、あたかも『新しく生まれたかのごとく』この共同体に加入し、ひとたび加入した以上、他の共同体に移住することは著しく困難である。しかも、彼らは、この共同体を離れては生活の質が得られないだけでなく、社会的生活を営むことすら困難である。かくて、共同体は、各成員の全人格を吸収しつくし、個人の析出は、著しく困難なものとならざるをえなくなる」▼前川にとっては「共同体組織は天然現象のごとく所与不動のもの」なのである。組織が最優先されるからこそ「共同体における規範、慣行、前例などは、もはや意識的改正の対象とはみなされず、あたかも神聖なるもののごとく無批判の遵守が要求されるようになる」のだ。獣医師の需給見通しを示さなかったのは、省益を優先させたからであり、この場に及んでも抵抗勢力として安倍首相や内閣府に刃を向けるのである。
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