東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言をめぐって、辞任しろと野党やマスコミが騒いでいる。本人が謝罪して、国際オリンピック委員会も問題視しないことを表明しているのに、なぜそこまでする必要があるのか。日本もポリコレがまかり通る世の中になってしまったようだ▼森会長は3日の日本オリンピック委員会の臨時評議会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言したことが、女性差別だと批判されたわけだが、本人も口が滑ったことを認めているわけだから、大会も目前に迫っており、ここで辞めれば混乱するのは目に見えている▼花田清輝が『復興期の精神』において、面白いことを書いていたのを思い出した。花田は「女の論理」について論じていたからである。女は男とは違って理屈ではなく、レトリックで語るというのだ。女性を馬鹿にしているわけでない。イエスがアガペーの愛を示すことが出来たのは、通り一遍の論理ではなく、どんな人にも寄り添うことができる言葉をもっていたからで、それもまたレトリックであるというのだ▼多様性を重んじるのであれば、単純に物事を判断して、言葉狩りをするのは行き過ぎである。かつての左派のオピニオンリーダーであった花田の書いたものを、私たちはもう一度読み直すべきではないだろうか。
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