トランプの再登場で改めて国家の持つ意義が強調されるようになってきた。トランプ、習近平、プーチンの三人は国益を中心に考えている。
グローバリズムとは根本において相容れないのである。グローバリズムの本家本元であったアメリカが、急速に方向転換している。私たちが直視すべきは「ユーラシア大陸中心部と周辺部との地政学的・文明史的対立」をどう乗り切るかである。
梅棹忠夫が『文明の生態史観』で述べていたように、全体主義的なユーラシア大陸中心部と、民主主義が機能している周辺部とは、そもそも価値観が異なるのである。これまではアメリカのプレゼンスがあったが、それを期待できないとなれば、日本は独自に防衛力を強化するしかない。
国家が軍隊を保持することは禁止した現行憲法は、そうした現実を無視している。危機に当たって正当な暴力を行使することは、国際法上も認められている。右であれ左であれ、アメリカの力を頼りにして戦後の平和を謳歌してきた。それができなくなりつつある今、私たちは、国家として身構えなければならないのである。断じて優柔不断は許されないのである。