草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

柳田国男における保守の心

2025年03月17日 | 思想家
 保守は思想ではないという言い方がありますが、その根本にあるのは皇室です。しかし、その根拠となると明確に述べることができない歯がゆさがあります。
 敗戦後のインタビューで柳田国男は天皇陛下への思いを語っています。日本人にとっては理屈を超えたある種の感情であるというのです。
「天皇陛下についてはあまりはっきりいいたくないのだけれども、私としては勤皇心を持っております。如何なる場合でも陛下に忠実であるべきだと思っております。ただ非常に苦しい立場においでになるものだから、今我々がわいわい騒ぐとわずらわしく思いになりはしないかという意味から何も言いません。…今のように天皇問題の議論が盛んになった時代というものはあまりありませんが、天皇問題は日本にとって運命的といってよいくらいで、宗教と同じように感情問題ですから、理論で説明しなければやれないというものではありません」
 それは西行が伊勢神宮で詠んだ歌と相通じるものがあります。「何事のおはしますをば知らねども かたじけなさに涙こぼるる」。理論で説明することは難しくても、日本人のコアパーソナリティを支えてくれるのが、天皇陛下であり皇室なのです。


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