今回のコロナウイルスによる新型肺炎の拡大は、習近平ら中共の全体主義政権が引き起こした人災である。それにWHOまで加担したばかりか、日本政府までもが中共に忖度し、武漢からの観光客を野放しにした結果、日本国内で日本人が感染する事態にまでなったのである。悲惨なのは武漢市をはじめとして、湖北省の都市が外部から遮断されていることだ▼カミュの『ペスト』(宮崎嶺雄訳)は、アルジェリアの要港オランが舞台になった小説だが、知事か差し出した「ペストチクタルコトヲセンゲンシ シヲヘイサセヨ」という公電で閉鎖されたのだった。閉じ込められることの恐怖を、カミュは小説のテーマにしたのである▼「この瞬間から、ペストはわれわれすべての者の事件となったということである。それまでのところは、これらの奇怪な出来事によって醸された驚きと不安にもかかわらず、市民各自ふだんの場所で、ともかく曲がりなりにもめいめいの業務を続けていた。しかし、ひとたび市の門が閉鎖されてしまうと、自分たち全部が、かくいう筆者自身までも、すべて同じ袋の鼠であり、そのなかでなんとかやっていかねばならぬことに、一同気が付いたのである」▼オランはあくまでも小都市であり、食べ物を確保することはできた。武漢市は東京都に匹敵する大都市である。地獄のような惨状にならなければいいのだが。
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ところで、「2019年の自殺者数が統計を開始した1978年以来、最少の1万9959人となったことが17日、警察庁の集計(速報値)で分かった。減少は10年連続で、人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)も前年より0.7人減り、15.8人となった。速報値が2万人を切ったのは初めて。ただ3月発表の確定値は例年増加する傾向にあり、最終的な自殺者数は2万人超となる可能性が高い。
政府は17年の自殺総合対策大綱で自殺死亡率を米国やドイツの水準に並ぶ13.0人以下にすることを目指しており、データをまとめた厚生労働省は『約2万人の方が命を絶たれており、依然として深刻な状況。引き続き対策をしっかりやっていく』とした。」(2020/01/17 日本経済新聞)
自殺者本人と近しい者の絶望感、悲しみは、言葉にし難いものだ。
しかし、自殺者2万人超の数字をもって、ある人たちのように、「日本は地獄だ」と語ることは、一面的に過ぎると言わなければならない。というのは、ある国には自殺を禁じる宗教教義があり、ある国はおそらく統計数字を操作している(1970年当時、ソ連は、用心深く、自殺率も殺人率も公表していなかった)、ある国は日照不足(一日のうち20分以上太陽光にあたらない日が続くとウツ病になりやすい)で、ある国にはまともな統計をとる役人がいない。「183のWHO加盟国のうち、自殺に関して、質の高い統計を持っている国は80カ国程度とされる。また留意点として、自殺死亡率は、統計の信頼性や更新頻度が国によって異なるため、単純な比較が難しいとされる。」(WIKI)
例えば、世界保健機関(WHO)が2019年9月に発表した自殺死亡率調査(2016年時・統計集約)では、アフガニスタン4.7、あの麻薬戦争のメキシコ5.1。中国が9.7、「北朝鮮」は11.2であり、ベルギー20.7、韓国26.9、日本18.5であるから、これを見るだけでも、自殺者数、自殺死亡率だけから、無媒介に「この世の地獄」について語ることはできないのである(なにしろ、トラカイ城という青い湖に浮かぶ赤いレンガのまさに絵になるお城のある、バルト三国のひとつ、リトワニアは、31.9なのだ)。また、戦争中の当事国では、自殺が大きく減少することが知られているのであるから。