今日の日曜報道THEPRIMEにエマニュエル・トッドが出演していた。そこでトッドが日本の核武装に必要性について話したことの意義は大きかった。
トッドは名著『帝国以後』(石崎晴己訳)の「日本の読者へ」のなかでも、明確に言い切ったわけではないが、遠回しにそのことを述べていた。今から19年前のことである。
「もしアメリカ合衆国の外交的・軍事的無責任性が今後ますます確実となっていくとしたら、日本が軍事的。戦略的により自立的でないことを、もっと明確な言い方をするなら、世界の均衡の再編成によりよく参画するためによりよく武装されていないことを、ヨーロッパ人たちは大いに悔やむことになるかも知れない」と書いていたのだ。その時点では、広島や長崎のこともあり、深くは言及しなかったが、今回の発言と大差ないのである。
それは一つの見識ではないだろうか。このまま中国の属国になり、我が国の分断が深刻化するよりは、核武装をして自立の方向に一歩踏み出せば、混乱は最小限におさえられるからだ。中国との付き合いも対等の関係となり、最悪の事態は避けられるかも知れない。その部分をトッドは重視しているのだ。
これまでの日本の防衛外交は、米国一辺倒で事足りた。しかし、今後はそうではない。日本自身の力で舵取りをしていかなくてはならないのだ。トッドの主張を無視すべきではないのである。