あれだけ騒いだわけだから、どんな法案にになったかと確認してみたら、何のことはない、旧統一教会被害者救済法案というのは「取消権」を強化しただけであった。しかも、法の解釈では、旧統一教会に限らず、どこの団体にも適用できるような内容であり、今後色々と問題が生じることになりそうだ。
もっとも注目されていたマインドコントロールに関しては、当初から予想された通りで、まったく踏み込んでいない。マスコミがこだわったわりには、何ら反映されていないのである。もともと個々人の信教の自由に国家権力が介入できるはずもなく、中途半端なものにならざるを得ないのである。
こんな法案でも、与党案に立憲民主まで賛成したのは、自民党親中派と立憲民主の利害が一致したからではないだろうか。テロリストの安倍さん殺害をきっかけに旧統一教会叩きが始まったが、ターゲットにされたのは自民党安倍派であった。
中国の習近平体制の独裁化が強まり、普通であれば、日本の親中派の立場がなくなるはずであった。しかし、そのテロ事件をきっかけに、反転攻勢に出たのが自民党の親中派や特定野党なのである。そんな者たちの考え付く法律など、せいぜいその程度なのである。
宗教についてどう考えるかは、まさしく人間としての根源的な問いかけである。それによって物質的な被害とか、精神的なダメージを受けた人たちへの救済策を講じられなければならないが、それは拙速に判断してはならず、時代の推移も見極める必要がある。間違っても政争の具にしてはならないのである。