八月二日は我が国にとって歴史的な日であった。韓国をホワイト国から除外したからである。あくまでも安全保障上の観点から、輸出管理を強化したに過ぎないが、それを決断した安倍内閣の勇気を高く評価したい。ようやく日本は普通の国家となったのである▼かつて林房雄は、日本が国家として立ち上がるには、それなりの歳月が必要であると説いた。「日本民族はいましばらく歴史の舞台から退き、『入山』して天に問い、おのれ自身と対話する資格と権利がある。あわてることはない。再び山を下る時が十年後であるか二十年後であるか、それは知らぬ。今は熟慮の時だ。自己充実の時だ。傷ついた、内容空虚の人間が、いくら世界をとびまわっても、何の役にもたたぬ」(『大東亜戦争肯定論』)▼林の『大東亜戦争肯定論』の初版上巻は昭和三十九年に、下巻は昭和四十年に世に出た。敗戦から我が国が抜け出しつつあった頃で、政治的には自民党の安定政権が続いていたとはいえ、国家意思を示すだけの力はなかった。ようやく令和の御代になって我が国は、理不尽な国家に対して、ノンと主張することができるようになったのである。次に手を付けるべきは、いうまでもなく憲法の改正である。憂国の志士であった林が待望していたことだ。自国の軍隊を「日陰者」のままにして置くべきではない。お国のために命を捧げる者たちに、名誉ある地位を与えなければならない。林の言葉を借りるならば「出山」して、日本という国家を根本から再建しなければならないのである。
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