ニューズウィークの日本版10月14日付にアップされた「千人計画で流出する日本人研究者、彼らはなぜ中国へ行くか」というコラムにはガッカリした。何のことはない。「日本の研究者の100人に1人が米中で活動している」と言いたいだけで、日本の研究者が中共とどれだけ深くかかわっているかについては、まったく触れていないからだ。同じ日付のデイリー新潮の「参加の東大名誉教授が告白『中国は楽園』」という記事の方が生々しい▼アメリカと中共とを同等に見ているわけで、日本から米中への頭脳流出の問題にすり替えて論じているのだ。筆者の澤田知洋氏には、日中関係がどのような事態になっているかの認識はなく、尖閣諸島をめぐって一触即発であるとの危機意識が皆無なのである。だからこそ、習近平が推進する「千人計画」についても、「多くの日本人研究者が中国に奪われ、研究成果が軍事転用されるのではないかとの懸念が取り沙汰されている」とお茶を濁すのである▼海外で学ぶことや研究することを問題視しているのではなく、日本を敵対視している国家に利用されることの是非こそ議論すべきなのである。戦後の日本人が失ってしまったのが国家への忠誠心であった。金になればどうでもいい。そんな風潮に日本学術会議が汚染されてしまっているのだ。それを正面から批判する日本のネット民の主張の方がはるかに正論なのである。
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